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「保護の成功例」

カッショクペリカンが謎の大量餓死

餌はあるのになぜ、米西海岸

 

ナショナル ジオグラフィック 日本版

2024年5月31日(金) 17時10分 配信

 

 

住宅の裏庭や駐車場など珍しい場所での目撃や不可解な行動も、2年ぶり2度目の危機

 

 

羽繕いをするペリカン。米国カリフォルニア州にある鳥類保護団体インターナショナル・バード

・レスキューの施設で撮影。2022年に続いてペリカンの飢餓が発生し、数百羽が命を落としたり瀕死に陥ったりしている。(CARLOS AVILA GONZALEZ)

 

 

米国カリフォルニア州沿岸では2022年に続き、病気やけがのカッショクペリカンが大量に発生しており、科学者はその理由を探ろうとしている。

 

 

飢餓や低体温で保護されたペリカンたち、100羽以上の受け入れも

 

 

2024年5月下旬現在、数百羽のカッショクペリカンが命を落としている。現時点の証拠からは飢餓が原因だと示唆されるが、餌(通常はニシン、カタクチイワシなどの海面付近を泳ぐ魚)は豊富にあるこの種は米国東部の大西洋沿岸にも生息しているが、同様の傾向は見られない。

 

「理由はわかりませんが(西海岸のカッショクペリカンは) 必要な餌を見つけられていません」と米水族館テーマパークのシーワールド・サンディエゴで動物保護プログラムの動物学芸員を務めるジェニー・スミス氏は話す。「もしそうであれば、彼らはほかの場所で餌を探していることになり、内陸や珍しい場所で見つかっている理由の説明になるかもしれません」

 

4月下旬、野生動物のリハビリ施設には、ペリカンが住宅の裏庭や駐車場などの珍しい場所で目撃されたという報告が寄せられるようになった。その多くが不可解な行動を取り、 不活発や無反応、あるいは衰弱しているように見えたという。

 

 

 

 

こうしたペリカンを保護した後、野生動物の専門家はトリアージ (治療すべきかどうかの選別) を行う。「脱水や昏睡(こんすい)、低体温の状態にあり、けがをしていることもあります」とスミス氏は話す。「できる限りのことはしますが、やって来たときにはもう手遅れという場合もあります」

 

 

 

 

弱ったカッショクペリカンには若い個体もいれば、完全に成長した個体もいる。成鳥は大きなくちばしと翼をもち、海に飛び込んで餌を捕まえるのに適した体つきをしている。カッショクペリカンは20メートル近い高さから水中へ急降下することで知られ、40年生きる個体もいる。

 

カッショクペリカンは2009年に、数が回復したため米連邦政府の絶滅危惧リストから外された。専門家たちは今、カッショクペリカンが再び大量死している理由を調査している。

 

 

 

 

原因は?

 

米魚類野生生物局によれば、2022年に同じような飢餓が発生した際には、800羽近くのカッショクペリカンが野生動物のリハビリ施設に入れられ、394羽が野生に戻された。残念ながら、命を落としたペリカンの解剖では、飢餓の原因を突き止められなかったとスミス氏は述べている。

 

米非営利団体サンタバーバラ野生生物保護ネットワーク (SBWCN)は、2024年に入ってから116羽のペリカンを保護している。2022年は270羽だった。

 

「生息環境で起きていることに関連して特定の種が私たちの施設に押し寄せるのは、今回が最後ではないでしょう」とSBWCNの事務局長アリアナ・カトビッチ氏は予想する。「そのため、私たちにとっては、それぞれの出来事から教訓を学び、生かすことが重要なのです」

 

今回の危機も原因はほとんど解明されていないが、いくつかの興味深い推測が飛び交っている。たとえば、天候が原因だという説だ。強風や視界の悪さがペリカンの潜水を妨げているというのだ。この説は、漁具によって負傷したペリカンがたくさん保護されていることの説明にもなる。空腹のペリカンが釣り針にかかったり、釣り糸に絡まったりすることがよくあるためだ。

 

鳥類保護団体インターナショナル・バード・レスキューの研究・獣医学ディレクターであるレベッカ・デュール氏によれば、鳥インフルエンザの検査まで行われたという。2024年に入ってから新たに多くの哺乳類が感染しているが、幸い、弱ったペリカンから陽性反応は出なかった。

 

 

 

 

ほかの生きものへの影響は?

 

多くのカッショクペリカンが命を落としているものの、ほかの海洋生物は影響を受けていないようだ。少なくとも今のところ、専門家の目に見える変化はない。

 

カッショクペリカンが立たされ続けている苦境に対して、直接の原因ではないにせよ、人為的な環境の変化がどのくらい責任を負っているのかは、さらに見極めが難しい。

 

カッショクペリカンは保護の成功例とされてきた種だが、今は2年前と同じように飢えている。それが専門家にとって唯一確かなことだと、カリフォルニア州魚類野生生物局の上級環境科学者レアード・ヘンケル氏は言う。

 

「人間が直接引き起こしたことだと示唆する兆候はありません」とヘンケル氏は述べている。「私たちが知る限り、原因は人間の行動ではありません」

 

 

 

文=Tatyana Woodall/訳=米井香織