歯止め効かない
「 電動キックボード 」違反。
最大手Luupが新たな対応策
BUSINESS INSIDER JAPAN 2024年3月19日(火)
8時10分 配信
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2023年7月の改正道路交通法施行で「ほぼ自転車」扱いとなった電動キックボード。安全面の課題が指摘され、事業者は対策を求められている。
歩道を走行するなど、交通違反の急増が問題になっている電動キックボード。
2023年12月の交通違反件数は1800件を超え、半年前に比べると違反件数が4倍以上に急増しており、事業者らが対応を迫られる事態が続いている。
そんな中、最大手のシェア事業者が新たな違反対策に着手する。
電動キックボードのシェアサービスを手掛ける「Luup(ループ)」は、大通りを避けて電動キックボードが運転しやすいルートを提案する「ナビゲーション機能」の提供を3月下旬から試験的に始める。
「走りづらさ感じる」8割
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ループのナビ機能では、電動キックボードが原則走行禁止の歩道を避け、交通量が少ない道路を優先的に表示する。自転車向けのナビ機能を提供するナビタイムジャパンと連携して開発した。
ループがユーザーを対象に実施した調査によると、自転車や電動キックボードで車道を走る際に走りづらいと感じた経験がある人は83
%に上った。
理由は「路肩に路上駐車されている(68%)」、「車やバイクの走行量が多い(43%)」など。
「無意識に(路上駐車や交通量の多い)大通りを走行してしまう」「マップアプリでは大通りをメインに走行するルートを提案されることが多い」といった声もあり、こうしたユーザーの課題を解決する。
ループの岡井大輝CEOは
「既存のマップでは当然のように大通りを提案されるが、細い道に入ってしまうとどっちに行くか分からなくなってしまう。
交通量が少ない道、もしくは大通り以外の道を優先的に提案するナビが存在すれば、便利かつ快適にユーザーの皆様にも使っていただけるんじゃないか」
と話す。
増える交通違反に次の一手
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2023年7月の改正道路交通法の施行で、一定の条件を満たした電動キックボードは「特定小型原動機付き自転車(特定原付)」に区分された。特定原付は16歳以上であれば運転免許がなくても乗れるようになり、交通ルールの面でも「自転車同等レベル」の乗り物になった。
裾野が広がったことで、電動キックボードの利用者数やライド数が増加。これに伴い違反件数や事故件数も増加している。
警視庁のデータによると、2023年7月~12月の交通違反の検挙数は計7130件。件数は月を追うごとに増え、法改正直後の7月と半年後の12月の検挙数の差は約4.6倍だ。
違反の内訳で最も多いのが歩道の走行といった「通行区分の違反」で48%に上る。電動キックボードは原則、車道の左側を走る必要があり、歩道の走行は特定の標識がある区間以外は禁止されている。二番目に多い違反は信号無視(38%)だった。
ループでは上記のような交通ルールについて、ユーザーに全問正解が必須のテストを課すことで周知を図っている。
岡井CEOは
「正直、テストをしっかり受けていただいているという前提に立つと、(歩道走行の禁止などについて)知らないということはないはず。
今回のナビ機能を通して、違反する気はなくても、あまりにも車道の走行環境が悪いので歩道に入ってしまうというような方の違反も抑止していく」
と話す。
ループでは以前から、警察と連携した交通違反の認知や、飲酒運転といった重大な違反を確認した際にはアカウントを凍結するなどの措置を取ってきた。
一方で、現在ループが設置しているポート(専用駐車場)数は約6500カ所と、1年前に比べて2倍以上に増えた。利用者数の増加に伴い、違反者数が増えるのは当然の流れでもあるが、事業者としての責任も問われている。
「違反の絶対数は右肩上がりに伸びています。ただ、そもそもの電動キックボードの台数も増えているのと、ユーザー数が増えているので、ライド数あたりの違反数でみると微減もしくは横ばいです。それが今回のナビ機能によって、ガクッと下がるのが望ましい」
(岡井CEO)
土屋咲花
電動キックボードLUUPに
「ナビ機能」試験提供、
「交通違反の根本的な削減につなげたい」
OLICON NEWS 2024年3月18日(月)
18時20分 配信
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電動キックボードLUUPに「ナビ機能」試験提供
2023年7月に改正道路交通法が施行され、「特定小型原動機付自転車」という新たな枠組みに位置付けられた電動キックボード。ただ、
交通違反行為も目立ち、歩道乗り上げなどの「通行区分違反」がもっとも多いとされている(警察庁発表)。自転車の交通違反行為について「青切符」による取締り導入も発表されている現在、電動キックボードにおいてもこうした違反行為に繋がる走行を減らすには? 18日、株式会社Luupが発表した新たな取り組み「ナビ機能」はその役割を果たすことができるのか?
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一目瞭然! LUUP「ナビ機能」を使うと? 従来のマップアプリとの比較
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■もっとも多い「通行区分違反」、故意に歩道を走行する悪質な違反者が減らない理由
株式会社Luupは、LUUPの電動キックボードや電動アシスト自転車の安全な走行をサポートする取り組みとして、「ナビ機能」の試験提供を3月最終週より開始することを発表した。こちらは、「NAVI
TIME API」(株式会社ナビタイムジャパン)の自転車ルート検索機能を活用し、LUUP利用時の推奨ルートをアプリ画面上に表示するもの。マイクロモビリティのシェアリングサービスにおいて、ナビ機能の実装は日本発となる(同社調べ)。
「特定小型原動機付自転車」である電動キックボードは、改正道路交通法上、最高速度20km/hの制限で車道の左側端を走行し、特定の標識のある歩道は最高速度6km/hのモードに切り替えることで走行できる。同社も施行と合わせ、交通ルールに則った電動キックボードの利用を案内、乗車に必須の交通ルールテストなどを実施。それでも故意に歩道を走行するなど悪質な交通違反を繰り返す利用者には、アカウント凍結などの対処をしてきた。
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なぜこのような交通違反を犯すのかを調査するため、利用者向けにアンケートを実施したところ、回答者のうち83%が「自転車や電動キックボードで車道を走る際に「走りづらい」と感じた経験がある」と回答。理由としては、「路肩に路上駐車されている」(68%・最も多い)や「車やバイクの走行量が多い」(43%)や「自転車レーンがない」(36%)といった、幹線道路等の自動車の交通量が多い車道に当てはまりやすい特徴に関連する回答が多かった。
同社では、そもそも交通違反行為に繋がる走行そのものを減らしていくことが必須だとの考えから、今回の「ナビ機能」実装に至ったという。
■交通量の多い大通りを回避、利用者・歩行者ともに快適なルートを提示
今回の「ナビ機能」は、LUUPの出発ポートから目的地ポートまで、自転車に適したルート検索機能を活用して推奨ルートをアプリ内で表示されるというもの(ライド前に必ず目的地ポートを予約する必要あり/全車両にスマホホルダーを装着)。なぜ自転車ルートかというと、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車向けのルートにはまだ特定のナビゲーションサービス等が定着していないこと、一方で特定小型原動機付自転車は多くの点で自転車の走行ルールと共通していることが理由だ。
「ナビ機能」では、交通規制や道幅など自転車特有の情報を考慮し、自転車が通行可能なルートが表示されるのが特徴で、経路の距離・所要時間・道路の幅や勾配などのバランスを考慮して算出されたものが推奨ルートとして提案される。
実際に使用してみると、従来の地図アプリでは交通量の多い大通りが示されるが、LUUPの「ナビ機能」では大通りの通行はなるべく回避され、交通量の少ない道が推奨されていた。道路事情に詳しくない場所だと、どうしても大通りを選んで通行しがちだが、そこにはもちろん自分以外の自動車や自転車、歩行者が大勢いる。好んで交通違反をしようとは思わなくとも、交通量の多い場所では致し方ない、このくらいならバレない…と思う人も多いだろう。「ナビ機能」ではその前提から回避し、ユーザーが通りやすい道を教えてくれる便利な機能に感じられた。ちなみに、従来のナビのように歩道橋を通るルートなどは推奨されないという。
「ナビ機能」により、交通量が多い車道での走行の危険を回避するために歩道に乗り上げる利用者が減少し、「快適なルートで移動すると、利用者・歩行者双方にとって、結果的に安全な走行になる」という状態を目指すとしている同社。今回は試験的な取り組みであることから、3月最終週より、東京都内のライドのみ、iOS端末のみを対象に提供。同社CEOの岡井大輝氏は、「ナビ機能により危険を感じない道をサジェストすることで、交通違反の根本的な削減につなげたい。今後はナビ機能を使用したユーザーの声を元にアルゴリズムをアップデートし、本格実装に備える」としている。