長野県内の山岳遭難発生状況(週報)
更新日:2021年7月26日
1.先週の発生
7月19日
南アルプス 奥茶臼山
75 男 道迷い 無事救出
単独で奥茶臼山山頂から下山中、道に迷い、行動不能
7月20日
北アルプス 針ノ木岳
71 男 滑落 負傷
単独で針ノ木雪渓を登山中、滑落、負傷
7月20日
北アルプス 五竜岳
55 男 疲労 無事救出
単独で鹿島槍ヶ岳から五竜岳に向けて縦走中、疲労により、行動不能
7月20日
北アルプス 前穂高岳
58 男 転倒 負傷
3人パーティで重太郎新道を下山中、転倒、負傷
7月21日
北アルプス 奥穂高岳
77 男 滑落 死亡
単独で入山中、ザイテングラートにおいて、何らかの原因により、滑落
7月21日
北アルプス 槍ヶ岳
62 女 滑落 死亡
単独で東鎌尾根付近を登山中、何らかの原因により、滑落
7月21日
北アルプス 槍ヶ岳
76 男 疲労 無事救出
単独で槍沢大曲付近を下山中、疲労により、行動不能
7月21日
上水内郡信濃町 御巣鷹山
47 男 道迷い 無事救出
単独で御巣鷹林道を散策中、道に迷い、行動不能
7月22日
北アルプス 白馬岳
62 女 発病 無事救出
4人パーティで白馬大雪渓を登山中、発病により、行動不能
7月22日
北アルプス 涸沢
48 女 その他 無事救出
2人パーティでテント設営中、腰痛により、行動不能
7月23日
八ヶ岳連峰 赤岳
69 男 疲労 無事救出
単独で権現岳から赤岳に向けて縦走中、疲労により、行動不能
7月23日
北アルプス 槍ヶ岳
59 男 落石 負傷
5人パーティで登山中、落石により、負傷
7月23日
北アルプス 焼岳
61 女 転倒 負傷
2人パーティで焼岳から上高地に向けて下山中、転倒、負傷
7月23日
諏訪郡富士見町 入笠山
72 女 疲労 無事救出
6人パーティで入笠山へ登山中、山頂付近で疲労により、行動不能
7月23日
北アルプス 餓鬼岳
64 男 滑落 死亡
単独で餓鬼岳から下山中、紅葉ノ滝付近で何らかの原因により、滑落
7月24日
北アルプス 槍ヶ岳
53 男 発病 無事救出
単独で槍ヶ岳に入山し、山小屋で宿泊中、発病により、行動不能
7月24日
北アルプス 前穂高岳
54 男 滑落 負傷
単独で重太郎新道を岳沢に向けて下山中、滑落、負傷
7月24日
北アルプス 燕岳
67 男 発病 無事救出
13人パーティで燕岳から大天井岳に向けて登山中、発病により、行動不能
7月24日
八ヶ岳連峰 阿弥陀岳
47 男 疲労 無事救出
4人パーティで阿弥陀岳に向けて登山中、山頂付近で疲労により、行動不能
7月24日
南佐久郡川上村 小川山
41 女 転落 負傷
9人パーティで廻り目平においてロッククライミング中、転落、負傷
7月25日
北アルプス 白馬岳
73 女 発病 無事救出
ツアー登山で白馬岳へ入山し、山小屋で宿泊中、発病により、行動不能
7月25日
北アルプス 常念岳
41 女 滑落 負傷
2人パーティで常念岳から一ノ沢に向けて下山中、滑落、負傷
7月25日
北アルプス 鹿島槍ヶ岳
73 男 転倒 負傷
2人パーティで爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳に向けて縦走中、転倒、負傷
7月25日
北アルプス 奥穂高岳
55 女 滑落 死亡
2人パーティで奥穂高岳南稜を登山中、滑落
7月25日
北アルプス 涸沢
34 女 発病 無事救出
2人パーティで北穂高岳から上高地に向けて下山中、発病により、行動不能
7月25日
北アルプス 西穂高岳
52 男 滑落 負傷
単独で奥穂高岳から西穂高岳に向けて縦走中、滑落、負傷
7月25日
上田市 四阿山
65 男 疲労 無事救出
2人パーティで四阿山から根子岳に向けて縦走中、疲労により、行動不能
7月25日
北アルプス 餓鬼岳
63 女 転倒 負傷
4人パーティで唐沢岳から餓鬼岳に向けて縦走中、転倒、負傷
7月25日
中央アルプス 木曽駒ヶ岳
29 男 転倒 負傷
2人パーティで木曽駒ヶ岳山頂から下山中、転倒、負傷
針ノ木7月20日針ノ木岳の遭難現場
前穂高7月20日前穂高岳の遭難現場
槍ヶ岳7月23日槍ヶ岳の遭難現場
前穂高岳7月24日前穂高岳の遭難現場
2.山岳安全対策課からのアドバイス
先週県内では、山岳遭難が多発しました。4件の死亡遭難を含む、29件の遭難が発生し、熱中症による行動不能や持病の悪化による遭難が多発しています。
夏本番の厳しい暑さにより、標高の高い山域でも日中は気温が上昇し、樹林帯は風が無く、稜線は時間帯によっては、厳しい日差しになるところもあります。コロナ禍により、久しぶりの登山の方や初めて登山をする方もいるかと思いますが、計画を立てる際には、行程や技術面・体力面を考慮するだけでなく、暑さによる疲労も考慮しましょう。
また、持病をお持ちの方は、医師に必ず相談し、決して無理をしないようにお願いします。
なお、暑さと疲労で集中力が切れることにより、転倒や滑落のリスクも高まります。行動中は、のどの渇きを感じる前に、スポーツドリンクなどの塩分を含む飲料水をこまめに補給しましょう。また、ハンガーノック、いわゆる 「 シャリバテ 」 にならないためには、空腹を感じる前にエネルギーを補給をすることが大切です。下山するまで体力や集中力を切らさないために、こまめな補給を心掛けましょう。
夏季は午後になると雷が発生する場合があります。稜線の行動は落雷の危険が伴うため、「 早出・早着 」 ができるように、ゆとりある計画を立てましょう。
「 滑落した 」 同行者が通報 北ア奥穂高岳
一夜明け、
女性登山者を心肺停止の状態で発見・収容
NBS長野放送 2021年7月26日(月)
12時15分
「 滑落した 」 同行者が通報 北ア奥穂高岳 一夜明け、女性登山者を心肺停止の状態で発見・収容
北アルプス奥穂高岳で25日に滑落した女性が県警ヘリにより、発見・収容されました。心肺停止の状態ということです。
警察によりますと、25日 午前9時前、北アルプス奥穂高岳南稜 ( 標高約3000メートル付近 ) で登山していた人から 「 同行者が滑落した 」 と通報がありました。
滑落したのは県外の女性で、25日はガスで視界が悪くなり、収容できませんでしたが、26日 朝7時頃、県警ヘリによって南稜付近で発見・収容されました。女性は心肺停止の状態だったということです。
警察が身元の確認を進めています。
北ア奥穂高岳で滑落
三重県の女性(55)の死亡確認
同行登山者が目撃 通報から一夜、ヘリで収容
NBS長野放送 2021年7月26日(月)
15時49分配信
長野放送
北アルプス奥穂高岳で25日に滑落した女性が県警ヘリによって収容され、その後死亡が確認されました。身元は三重県伊勢市の女性とわかりました。
警察によりますと、25日 午前9時前、北アルプス奥穂高岳南稜 ( 標高約3000メートル付近 ) で登山していた男性から 「 同行者が滑落した 」 と通報がありました。
滑落したのは三重県伊勢市の会社員・杉田直美さん(55)で、通報から一夜明けた26日 朝7時頃、県警ヘリによって南稜付近で発見・収容され、その後、死亡が確認されました。
杉田さんは知人の男性と山で合流し、一緒に行動していたということです。
山岳遭難が多発
4連休含む1週間で29件4人死亡
単独登山目立つ
シーズン最盛期前に注意呼びかけ
NBS長野放送 2021年7月27日(火)
12時50分配信
長野放送
7月19日から25日までの1週間、長野県内では山岳遭難が相次ぎました。夏山シーズン最盛期を前に注意が必要です。
長野県警によりますと、4連休を含む7月19日から25日までの1週間、県内では山岳遭難が29件発生し、4人が死亡しました。過去3年の夏山シーズンで最も多いペースです。
4連休中の好天や、コロナ禍でアウトドアレジャーに注目が集まっていることなどから登山者が増えたことが要因とみられます。
目立つのは単独の登山者で、今月死亡した7人のうち6人は単独登山でした。
県警は、事前の体調管理の徹底、体力や技術に見合った計画を立てるなど、改めて注意を呼びかけています。
長野で山岳遭難 過去3年 “最多ペース”
・・・ 要因は?
テレビ朝日系(ANN) 2021年7月28日(水)
10時46分配信
All Nippon News Network ( ANN )
過去3年間で、最も多いペースとなっています。
救助隊員 : 「 動かないで下さいね。そのまま、もう少し頑張って。ちょっと上がる時、痛いかもしれないけど、もう少し頑張って 」
断崖絶壁にしがみ付く登山者に声を掛け、励ます救助隊員。遭難した登山者を、救助する様子を撮影した映像です。
上空にはヘリコプターが待機していて、救助隊員が降りてきたロープを手際よく、体に装着。登山者は、無事にヘリコプターで救助されました。
長野県では、4連休があった先週1週間で、遭難が29件発生。4人が亡くなりました。過去3年間の夏山シーズンで、最も多いペースとなっています。
県警によりますと、4連休中は天候に恵まれたうえ、コロナ禍で、密を避けられるアウトドアレジャーとして登山者が増えたことなどが、遭難の増加につながったとみられています。
( 「グッド!モーニング」 2021年7月28日放送分より )
長野県内の山岳遭難発生状況(週報)
更新日:2021年8月3日
1.先週の発生
7月27日
中央アルプス 木曽駒ヶ岳
9 女 病気 無事救出
4人パーティで木曽駒ヶ岳を登山中、体調不良により行動不能
7月28日
八ヶ岳連峰 赤岳
16 女 病気 無事救出
31人パーティで赤岳に入山し、付近の山小屋に滞在中、体調不良により行動不能
7月29日
御座山
71 男 滑落 負傷
単独で山頂から下山中、滑落、負傷
7月29日
北アルプス 蝶ヶ岳
56 女 滑落 負傷
2人パーティで蝶ヶ岳に向けて登山中、バランスを崩し、滑落、負傷
7月31日
北アルプス 奥穂高岳
58 男 落石 負傷
3人パーティで南稜を登攀中、落石により負傷
7月31日
北アルプス 奥穂高岳
57 男 その他 無事救出
44 男 その他 無事救出
上記遭難者の同行者。技量不足により行動不能
御座山7月29日御座山の遭難現場
奥穂高岳7月31日北アルプス奥穂高岳の遭難現場
2.山岳安全対策課からのアドバイス
先週県内では、6件の遭難が発生しました。 うち2件は登山中の体調不良でした。安全に登山を楽しむためには、事前の体調管理や準備が大切です。
特にこの時期は、暑さのため普段の生活で 「 夏バテ 」 になってしまい、睡眠不足や食欲不振になりがちです。そのような状態で入山すると、行動中に体調不良や疲労により動けなくなってしまう場合があります。普段から運動を習慣化し、体調を整えて登山当日を迎えましょう。
また、標高の低い市街地で生活されている方で、登山経験の浅い方は、登山中の高山病の発症にご注意ください。頭痛や吐き気などの症状が現れたら、症状が深刻化して行動ができなくなる前に下山をし、できるだけ標高を下げましょう。