今日は この歌を聴きながら・・・・




「ねぇ・・・今度の金曜日 あいてる?」

「ん・・・」

「じゃあ ハンズの前で 待ってる」

「ん・・・わかった」


その日 私は いつもより ずっとずっと

丁寧に 綺麗に お化粧をして

一番お気に入りの 一番似合う服を着て

少し凝った髪型にして

待ち合わせ場所に 向かった


ドキドキ ドキドキ 足がもつれやしないかと

危ぶみながら あなたに会いに 向かった


黒いボディの その車は 私を待っていた


いつものように 助手席に 乗り込む

・・・私の 指定席・・・・


「ごめんね 待たせちゃった」

「イヤ いいよ・・・」

「ん・・・ね・・・元気・・・してた?」

「まぁね」

「・・・そっか・・・」

「お前は?」

「・・・うん・・・ま、それなりに・・・」

「そっか・・・・お前は 相変わらず 強いよな」

「あは・・・

 ね・・・彼女と上手くいってるの?」

「ま・ね。

 お前と違って 優しいし 素直だし 弱い子なんだよ」

「・・・・・・そか・・・・・」


気付かれない程度に そっと窓に目をやる・・・

こぼれそうな 涙・・・見せたくなかった・・・



別段 どこに行く目的もなく 

ただ 思いつくまま走らせてるだけのドライブ・・・


「俺さ 再就職したんだ」

「へぇ・・・おめでと。」

「へへ。ありがと。

 俺さ、なんかいい部署にいけてさ

 今 チームリーダーになっちゃった」

「へぇ!すごいじゃん」

「ま、こんなもんでしょ」

「ははっ よく言うよ」

「はははは 言わせろよ」


こんな話をしてるうちに 

私の家の近くまで 来てしまった


ここなら 誰も来ないから と

寂れた駐車場に 一旦車を止めた


「お前さ 俺がいない間 どうしてた?」

「ん?・・・・いろいろ・・・わはっ」

「そか・・・俺さ、お前がいない間 めちゃくちゃ凹んだ・・・」

「・・・・そか・・・・」

「ん・・・・で、どうしようもないときに

 今の彼女に 出会った・・・」

「・・・・・・そか・・・・・よかったね」

「・・・ん・・・さんきゅ・・・

 ・・・・・なぁ・・・お前さ・・・」

「ん?何?」

「最後くらい 俺の名前 呼んでよ。

 恥ずかしいから とか 照れるから とかで

 呼んでくれたことないじゃん」

「ん・・・わかった。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ははっ
 
 もういいよ・・・・・ごめんな」

「あっ ごめんっ ごめん・・・・ちょい待って・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・淳・・・・・・・・・・・・」

「おっ!

 ・・・・・・・・・・・ありがと・・・・・・・・・・」

「ん・・・・・ごめんね・・・・・ちゃんと呼べんくて・・・・」

「いいよ、わかってる」

「ん・・・・・ねぇ・・・・」

「ん?」

「じゃあさ 私の最後のお願いも 聞いてくれる?」

「ん・・・なに?」

「最後に・・・・・・・・・・キス・・・・・・したい・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・いいよ。・・・・おいで」


そっと抱き寄せる彼の 腕に

息が詰まりそうになる・・・

目を閉じて そっと 最後の くちづけ・・・・


気が付くと こぼれる涙を 彼の親指が 拭ってくれていた


「泣くな・・・・・な・・・・泣くな・・・・」

「ん・・・・ごめんね・・・・・ごめんね・・・・」

「俺 もう抱きしめてやれないから・・・・・・」

「ん・・・・わかってる・・・・」

「ごめんな」

・・・・・・・・・・・・・
 
「さよなら・・・・ばいばい」


出来るだけ 普段どおりの歩調で 歩き出した

コツコツコツコツ・・・・・・


肩越しに エンジン音が聞こえる

・・・・・・・さよなら・・・・・・・・・

去っていく その音を 耳だけが 追いかける


まだだよ まだ まだダメだよ


そのエンジン音が 消え そ・・・っと振り返る・・・・


もういいよ もう大丈夫 もういいんだよ



その場に座り込み 大声で泣いた

強くないんだよ 私だって

彼女と同じ 弱いんだよ・・・・・・・

あなたがいない間 私

一度も笑えなかった 何にも食べれなかった

誰とも 話も出来なかった・・・・・・


その背中には まだ 抱きしめてくれた手のぬくもり

その唇には まだ キスしたあなたの 体温

残ってるのに

広い胸も 優しいキスも そのキスのリズムも

私だけのもの・・・・だった・・・のに・・・・



きっと 幸せになってね

私が願うのは ただ あなたの 幸せだけです・・・・




さようなら・・・・・

あなたとの思い出は ずっと大事に とっておくから



さようなら・・・・・

私が 初めて 愛した人・・・・・・・