筍の季節

 



あの頃

この季節になると、母は竹藪まで筍掘りに出かける。

毎年欠かさず入れ代わり立ち代わり(母は変わらない)父、友達、親戚のおじさん(何故か選挙の前になるとお土産片手にすっくと訪ねてくる)遠〜ぃ親戚で学会の信者でした。

家は宗派が違うが「そんなの関係ねぇ~」笑"


が、この叔父さん優しくてね、父の晩年病院へ行く時などいつも同行して下さって、面倒をものともせず本当に優しく寄り添って頂けた。

男子トイレにはおんぶして連れ添って下さった。

私は必ず有休を取り、車で連れ添うのだけれど、車に乗せる時など男手は本当にありがたかった。

弟は一度も。。言いたくないのでやめる。


芽吹きの頃

その中で、韓国の女性の友人と言うか、この方も凄く優しくて、大柄で力持ちで、母の事を「お母ちゃんお母ちゃん」って凄く慕ってくれたと聞く。

季節の山菜採りにはいつも仲良く連れ立って、朝の早いうちから大きなリュックを背負い出掛ける。


達人級だと思って感心したのは、ある時同行したおりに、地割れでも見つけ、土から出ていない筍迄、スニーカーの厚い靴底を通しても、足先で真探り当てる事に舌を巻いた。


採ると一箇所に集めて置く、次の場所へは一手に引き受けて運んでくれたと、楽しそうな母の友達自慢を聞きながら、私は筍を口に運ぶ。。

よく思った、色んな形で、色んな方達の優しさに包まれてたなぁって、見返りなど求めない本当の優しさに。。


筍掘りの日

そんな日のお弁当作りは同行しない私の役目。

二度食せるようにと多い目のデカ弁!


会社から帰るとキッチンは筍と糠のふんわりとした匂いで充満していた。。

母は業務用のびっくりするほどデカいアルミ鍋。

2鍋に入り切らずに、頭のでているのを物ともせず湯がいていた。

あの頃の我が家のガスレンジも妙にデカかった。

並べて灰汁抜き出来るほどだから。


そうして保存には塩漬けにも、おから漬けも、佃煮も、お寿司(ばら寿司に巻き寿司)に煮物、木の芽和え(イカもサイコロに切って入れてた)

毎日食卓に上るのに、ちっとも嫌じゃなくて、どのお料理も美味しかった。


そんな季節の訪れの繰り返しで楽しかった思い出。

数年経ったある日の事、母が泣き腫らした目で、大声で人目憚らずオイオイと、子供みたいに泣いていた。

いつも季節になると「お母ちゃんそろそろ行こうか?」って電話があるのにかかって来ないので電話して知る。

母の事を大事にしてくれて、

「いつ山へ出掛けても、ほぼ重い荷物は全て持ってくれたんやで」と泣きながら話す。

たった数ヶ月と言う速さで癌で亡くなったと。

スキルス癌で非常に進行が早かったと聞いた。

母の落胆ぶり、自分の娘を失ったみたいだと。

その友達の女性に、母に付き合って頂いた事や、優しく接して頂いた事に感謝して、私も悲しくて一緒に泣いていた。

そんな母も他界した。

母も筍も恋しい私。


私は一度もお会いした事が無いのですが、しっかりとした体格の背の高い女性だと聞いていた。


私は筍掘りに行く気甲斐性がない、疲れるから。。(若い頃から)

今度、道の駅にでも買いに出掛けようかなぁ。




中華粽


この季節、 私は必ず中華粽を作る。

もう何度作ったでしょう。。 

 材料もさることながら、一つだけ必ず入れないと味がしまらないのが五香粉(ウーシャンフェン)これを入れるか入れないかで、偽物と本物くらいの差があるように思える。



 しっかし 本物はどんなお味かは知らない… 

その次に思ったのが、干し海老の良し悪しが凄く味の決め手に関わってくるように思う。

干した肉厚の海老も絶対的な素材で、これが無いと物足りない間の抜けたお味となる。悪魔で私の主観ですが…

この干した身の厚い干し海老がやたらお高いのだが、手間を考えるとさもあらんと納得。

で、 

筍の皮で三角形の形を作り、もち米とともに炒めた材料をいれてタコ糸でクルクル巻くわけなのだけれど、きちんと巻けて、筍の皮がきちんと最後に納まった時は小さな満足感があるのです。 


ここで、普通はこれを蒸篭で蒸すわけなのだけれど、これが時間がかかるし、出来上がりのもち米が私i的には少し強いのです。。

何度か作ってるうちにだんだん手の抜き方を覚えた・・・ とは言っても、中身に手を抜くわけではないのです。。

タコ糸で縛った粽を大きなお鍋に、お湯をたっぷり沸かしてその中へポンポンと入れて行く。

中身がベトベトになってそうでしょ?

ところがね、丁度よい感じに蒸したような感じの出来上がりになるのです。

ホッカホカの出来上がりも、勿論冷めても美味しく頂けるこの中華粽は、この季節のもっともな私の好物なのです。

未だ若い時分の事で、ネットの環境などもなく、この湯がく方法は近年ネットで見ると実にあるあるではないか!

皆さん同じ様に面倒くさいと思ったのかなぁ?

それとも、はなっからそうであったのか??

私は作り過ぎて蒸していると1日がかりになりかねないと、

一瞬の悪魔の囁きで、蒸し鍋のスノコを取り、お湯をタップリ足して放り込んだのである。


中国では竹の皮で粽にして、ぶら下がり方式で家の前の軒先に吊るして保存するのだとか、何かの文献で読んだ事がある。

今回、ネットで吊るし粽を探してみたが、何処にも載っていなかった。


中華粽って確か端午の節句の季節のものだったね。

ただ、今の中国の光化学スモッグで漂う空気の中で、軒下に吊るされた粽はちょっと頂けないかも。

          *^~^*ゞ


やっぱり和風の料理は、素材の香りも形も味も、
何一つ損なうことなく、品があって最高だと勝手に思う私である。

ココちゃんのお気に入りの場所   

お姫様の座る場所は、いつも空いてるし何も置いてないよ。
ルイ君もココちゃんの帰りを信じているので、ここには座らない。
ココちゃんのいた頃は、隙を見てちゃっかり座っていたのにね。