1月9日(金)~11日(日)の十日えびす。西宮神社も福を求め、多くの参拝者で賑わいました。

開門神事「福男選び」は毎年1月10日午前6時、西宮神社の正門「赤門」が開け放たれ、本殿までの230m、いち早くたどり着いた3人が「福男」の称号が与えられる伝統の神事です。

開門神事を運営「開門神事講社」講長 平尾亮さんから、その約2ヵ月前、裏方の花形「門押さえ」をはじめ、開門神事を一緒に作り上げる協力者を、前回に続いて能登半島地震で被災された方、出来れば女性をご紹介いただけないかと依頼がありました。

女性…この人しかいない。石川県珠洲市正院町のご実家で、能登半島地震により被災された小町史華さんです。

 



史華さんは高校からウエイトリフティングの選手で、スポーツ推薦で早稲田大学に進学。全国6位。12年間東京で暮らしていましたが、体調を崩し、珠洲の実家で療養生活をしていた約2ヵ月後に「死ぬかもしれない…」と思ったほどの大地震に遭いました。

避難所では花壇にトイレを作ったり、炊き出しをしたりetc...。また同じく被災した姪、中学生の一嘉さんとユニット「のとのおと」を結成。被災した様々な場所で歌を歌い、その動画と、現状や想いをインスタグラムで発信。これまで110本以上の投稿、再生総数は180万回以上に上ります。

以前インタビューしたことがありますが、引き受けてくれるかな?どう口説こうかな?と悩みつつ電話をしたところ「え、私でいいんですか?」と驚きながらも、その大役を引き受けていただけました。女性の門押さえは7年ぶり史上2人目です。

現在、金沢市に近い地域にお住い。特別支援学校の教員で、生徒さんらから「小町先生がんばってね!」と送り出してもらったそうです。

史華さんは1/8(木)お昼ごろに西宮神社に到着、その後、門押さえの練習をされました。

 

(西宮神社 赤門)

 

-史華さん、赤門の高さは9mです。門押さえの練習いかがでしたか?

これがウワサの門かと。立派な門で重そうで迫力ありました。自宅アパートの前で何度か練習したんです。倉庫を押さえて「かいも~ん」と言いながら走るのを。心配だったので。

-開門神事講社の平尾さんのアドバイスはいかがでしたか?

アドバイスをいただいて、実際に練習をしてみて「この2歩をしっかり踏み込めば大丈夫だな」と安心しました。自宅で練習したことも踏まえて答え合わせが出来たので良かったです。

-学生時代ウエイトリフティングの選手でしたね。すっごい練習をされたのでは?

高校、大学と7年。結構しんどかったです。当時はガムシャラにやってたので、めっちゃキツかったです。早く普通の女の子に戻りたかったです(笑)

-その練習が今に活きていますよね。

低い姿勢だったりとか、体幹の使い方だったり、きちんとハムストリングスに効いてるなと思って。思い出してきました、身体が!

 



-開門神事講社の平尾亮さん。開門神事に携わって長いですよね。

最初は福男選びの参加者で、それが1997年ですから、人生の半分以上この神事に染まって、開門神事がなければ生きていけない身体になってしまいました。

-史華さんの動きはどうでしたか?

門押さえに対する不安をずっと感じてこられたみたいで、その不安をどうやって取り除くか考えていたんですけど、はじめ会ったときと、門の方に行きましょうと言ったときと、顔つきが変わりましたから、やっぱり元アスリート、そういうDNAが目覚めてスイッチが入るんでしょうね。

 



-史華さん、素敵な法被ですね。

色がシルバーで、たまたま実家にあったものを母が出してくれて。母は昔から書道が得意で、力強く、繊細に書いてくれました。それをデータに起こしてデザインして作りました。

-背中に「珠洲」の文字ですね。

生まれ故郷の珠洲。読めない人もいて「たます」と呼ばれることがあるのでローマ字「SUZU」も入れました。珠洲市の花がツバキなので必ず使いたい、赤なので映えるかなと思って付けました。

-しめ縄も描かれていますね。

お正月なのでお祝いの意味も込めて。珠洲の珠が「たま」と読めるのと、私自身がこの2年を通して沢山の人と繋がってご縁をいただいたので、その繋がりをイメージしました。刺繍は友人にしてもらいました。年末の忙しい時に依頼したので、何日も徹夜して何回もやり直してくれてありがたいなと思います。習字のデータなのでかすりも多いですけど、そこも細かく再現して雰囲気が出るようにしてくれました。

 


西宮神社に滞在中、想いのこもった法被を着て、開門神事だけでなく様々な奉仕活動をされました。赤門入ってすぐ開門神事講社のブースではチャリティグッズの販売。

 

 

人気のストラップ。今年は絵馬型の「福」ストラップが新登場。

 

 

お馴染み、黄色の福男手ぶくろも!

 

 

グッズの売り上げは能登半島地震の被災地に。

 

 

後日、神戸新聞に掲載されていました。平尾さん、能登の被災地にご寄付ありがとうございました。

 

 

1/9(金)西宮神社の神社会館では、小町史華さんによる講話が2回行われました。

 

 

能登半島地震発生当時のこと、避難所での経験、「のとのおと」の活動などを話されました。

 

私が前日にさせていただいたインタビューで「珠洲市では公費解体がほぼ終了し町の風景が変化。実家に帰る度に刻一刻と変わっていく様子をずっと見てきたので寂しい気持ちもあります。ただインスタグラムの「のとのおと」では、能登の魅力を伝えられる場所も増やして投稿。能登の現状と復興の歩みを伝えていくというのがテーマなので、今後は復興していく町の様子を伝えていきたい!」と力強くお話いただきました。今後の活動にもご注目下さい。

 



ところで31年前、阪神淡路大震災を経験された開門神事講社の平尾さんは「全国から支援を受けて復興した。今度は俺たちが」と、東日本大震災(2011年)発生後、東北から被災者を招き、開門神事に裏方として携わっていただいたり、チャリティグッズの売上げや募金などを被災地に送ってこられました。そして2024年から復興が進まず、報道も少ない能登に目を向けて下さっています。

 

-その想いを聞かせて下さい。
 

人によっては、被災地から人を呼んで一緒に門を開けて「それって何の支援になるの?」って思うかもしれませんけど、僕はこの神事の持つエネルギーは、沢山の人を幸せにする、元気にするということを信じてずっと関わってきました。被災地の人と一緒に神事を作り上げることで、沢山の元気と福を、被災地のみならず全国に発信できるのではないか、という考えを持って活動を続けています。安全対策など色々大変ですが、一番のご褒美は門が開いたあと、参加された人が戻ってくるとき、すれ違うときのその人たちの笑顔ですね。「あ~、来て良かった」「福もらったわ」と、笑顔を見たときに、もう全部が報われるんですよ。毎年、それが出来ると思って自信をもって臨みますけど、今年もそれを出来る方をお呼びで来たと思うので、一緒に笑顔を見られたらと思います。

 


*****

1/12(月)の生放送では「防災番組いつもおそばに的 開門神事「福男選び」~ドキュメント1.10~」と題してお送りしました。 

1月10日(土)午前5時過ぎ、西宮神社内の赤門前に到着。

 


門押さえを担当されるのは7人。平尾さんの「開門」の掛け声とともに、後ろに振り向いて走る、本番さながらの練習が何度も行われていました。

 


史華さんは夜通し奉仕に努められましたが動きが良い。向かって左から2番目で、斜め左後ろに走る練習を繰り返していました。

 



開門が近づき、赤門の外では走り参りをする大勢の人たちが「イチ、ニー、サーン」と、大きな声を上げて気合を入れ、門の内側では緊張感が次第に高まってきました。

 

 

1分前まもなく開門。

 

 

「かいもーーーん!!!」

 

平尾さんの力強い大きな声が響き、門が開きましたー。

 

 

-史華さん、お疲れ様です。門が開きましたね

いやぁ…。めっちゃ緊張しました。

-今、どんな心境ですか?

もう、無事に終えられて…。ホッとしてます。

-素早く後ろにダッシュ出来ましたね。

そうですね…(涙)

-この雰囲気はどうですか?

熱量あって…。ホッとしました(涙)

-緊張から解放された気持ちですね。

はい…(涙)

-この西宮神社にどのような想いでこられましたか?

全国の皆さんからいただいた支援の感謝と、能登へ復興のエネルギーを送りたいと思って…(涙)

-そのエネルギーを能登に送れそうですか?

はい、皆さんに受け取ってほしいなと思います。

-そして沢山の福を、ぜひ珠洲に、能登に持ち帰って下さい。

ありがとうございます。

-今年2026年の抱負を聞かせて下さい。

復旧から復興へということで能登の皆さんと、全国の皆さんと頑張っていきたいなと思います(涙)

-能登の復興が進むように祈っています。


今年も多くの報道陣が取材に来ていましたが、門押さえの大役を果たされた史華さんに、イの一番にインタビューさせていただきました。緊張から解き放たれ、感極まって涙がポロっとこぼれた瞬間、その表情がとても美しかったです。

 



史華さんも、平尾さんも、暫くテレビや新聞社の取材を受け、ようやく開門後、顔を合わせ、がっちり握手。2人は泣き崩れ、そして笑顔でした。

 

改めてインタビューしました。

 


-平尾さん、開門しましたね。

 

史華さんを呼んで良かったです、今回の開門神事の成功は、みんなで作り上げましたけど、その中で史華さんが担った部分ってすごく大きいので、それは誇りにして能登に持ち帰って下さい。

 

-史華さん、いかがですか?

 

ホッとして、メッチャ泣けてきて(涙)2ヵ月間、結構緊張感がすごくて、自分で勝手にプレッシャーを感じて、寝れなくなったりして。でも、3日間通して皆さんの声も直接聞けて、沢山の気持ちとご縁をいただきました。

(平尾さん)これが終わらないと年が明けない、というのがよく分かるでしょう?

(史華さん)はい、年が明けた感覚が無くて。やっと明けたな「明けましておめでとうございます」という気持ちになりました。

(平尾さん)ホントに呼んで良かった。ありがとうございました(涙)



人一倍、責任感の強い史華さん。開門。あの一瞬のために、相当な緊張とプレッシャーを与えて、負担をかけてしまいましたが、本当に見事なダッシュ、瞬発力。大役・門押さえを務められました。阪神淡路大震災で被災した人から「西宮も復興したから大丈夫やで」という言葉は、未来からの伝言にも聞こえて、能登の未来に向けて希望を感じたそうです。この経験を今後の人生に活かしていただければ幸いです。小町史華さん、ありがとうございました。

 

 

さて、友人が開門前の写真を送ってくれました。こんなに人がひしめき合っていたんですね。

約5千人が参加した開門神事「福男選び」一番福は兵庫出身の大学生、豊川さん。スタート直後に転倒しましたが、猛追し一番福。二番福も大学生、澤井さん。三番福も大学生、地元西宮の赤松さん。ぶっちぎりと思われましたが、あと一歩で転倒。それでも三番福。転倒した2人が、逆境を跳ね返した2026年の開門神事「福男選び」でした。この写真は開門後です。

 

 

では最後に、小町史華さんが参拝者の皆さんにお配りされていたメッセージカードをご紹介します。

 

 

 


史華さんからのリクエスト曲は「しあわせ運べるように」でした。今回の開門神事のスタッフの皆さんと赤門前で「しあわせ運べるように」を歌い、その動画が「のとのおと」のインスタグラムに公開されています。ぜひご覧ください。@notonooto1.1

 

2025.2.13の記事もぜひお読み下さい。

 

 


(1/12 ON AIR LIST)
M1.トミタショウゴ/突破口
M2.岡本真夜/TOMORROW
M3.神戸市立住吉小学校合唱団/しあわせ運べるように(ゲストリクエスト)
M4.ソウルフラワーユニオン/満月の夕(リクエスト)
M5.back number/水平線(リクエスト)