4月12日(金)朝の生放送を終えて、能登半島地震の被災地・石川県珠洲市へ。私自身、珠洲市で5回目のボランティア活動。今回は昨年8月、台風による被害で京都府綾部市で活動した2人の仲間と珠洲に向いました。

4月13日(土)「災害ボランティア愛・知・人」の災害支援103日目。ボランティア29人。作業班4班と炊出し班。

私を含め6人で活動したのは、珠洲市の中でも被害が深刻な地域の一つ宝立町鵜飼。マンホールが最大で1m50㎝も飛び出た地域です。

 



全壊した2階建て住居。家主であるご主人に地震発生時の状況をお聞きしました。*写真撮影の許可を頂いています*

 


 

奥様とお母様の3人暮らし。奥様は母屋の1階にいました。地震でうずくまり、揺れがおさまって見上げると空が見えたそうです。屋根が2つにパカッと開いたような状態で、そこから這い出て、崩れて落ちた2階の屋根をつたって無事脱出。すぐ近くに鵜飼漁港。津波が来る。急いで避難されました。



母屋は1階部分が押し潰され2階の屋根が1階部分にありました。昨年5月5日の震度6強の地震で母屋に被害があり、修理が終了した約1か月後に元日の大地震…。そのようなお宅が実はたくさんあります。


ご無事で何よりでしたが、その地区で5人亡くなられたそうです。家主さんは「助かったのは奇跡です」と。被害を受けていない住居はほぼ無いに等しく、その惨状が何ともやるせない…。



以前「愛・知・人」のメンバーが、家財の運び出しや崩れた母屋からパソコンなどの貴重品を取り出す作業をしました。その後、データを復旧することが出来たと、とても喜んでらっしゃいました。

母屋は解体されますが、家主さんの希望は「離れを修復して住みたい」

母屋は元々は平屋で2階を増築。さらにその奥に離れを昭和53年に建てられました。離れも2階建て。倒壊は免れましたが屋根の被害、そして津波の被害を受け約60〜70㎝の床上浸水でした。

 

 

床下の泥を取り除かなくてはいけません。まずは茶室。床を剥がすため茶道具などを廊下に移動。

 



今回のチームリーダーにハンマーとバールで釘の抜き方を教わりました。釘が錆びていたこともあり、堅くてすんなり抜けず悪戦苦闘しましたが、1度上手くいくと要領を得ました。

 

 

丸ノコで床板をカット。

 



床下は泥が溜まり湿っていました。

 


このまま放置しておくとカビやシロアリなどの原因になります。

 

 

乾燥させてから後日、泥出しをすることになりました。

 

 

その茶室から廊下を通って右側に倉庫があります。倉庫の引き戸が開けられず困ってらっしゃいました。窓があると聞き、外からアプローチすることに。

 


脚立を立て、アルミ格子を外し、スパイダーマンの如く2人が窓から進入。内側の鍵(カンヌキ)を外すことに成功。

 

 

さすが「愛・知・人」のスパイダーマン&スパイダーウーマン!



無事、開きました。

 


倉庫の中は、地震の影響で散乱。倉庫の手前の荷物を移動させ床剥ぎ。やはり床下に湿った泥。ともかく床下の乾燥が先決。離れの床下には合計6台の送風機を設置しました。

 

 

次はピアノ教室。離れの玄関を入り少々重い扉を開けると、防音設備が整った20畳の部屋。奥様がピアノ教室をされていました。

 

 

見た目は綺麗でした。しかし、津波が押し寄せ、重い扉が閉まり、津波が渦を巻いていたそうです。津波がおさまったあとの写真を家主さんに見せて頂きました。絶句…。物が凄まじく散乱。泥も堆積していたそうです。

ボランティアの協力を得て、奥様と一緒に片付けをしていましたが奥様に疲れが出たようで入院。ピアノ教室の変わり果てた姿に精神的にも相当お辛かったとお察しします。すでに退院されましたが、その後はご主人が1人で泥を出したりコツコツと片付けを続けられ、ダスキンさんに清掃を依頼するまで頑張られました。

しかし…。

 

津波で60~70㎝の浸水。壁の内部を確認するため1枚剥がすと。

 



グラスウールと言う防音効果がある断熱材がぎっしり詰まっていて、浸水した下の部分は灰色に変色。湿っていてカビが生えていました。そのグラスウールをめくると浸水跡がくっきり。

 

 

かなりショックを受けておられた家主さん。でもこのままでは前に進めません。そこで、大工さんに引き継ぎが出来るところまで作業を進めることになりました。

 


壁が約20面。全て剥がします。

 

 

家主さんも一緒に作業。実は建設会社にお勤めですが休業状態だそうです。

 

 

釘抜き。

 

 

変色したグラスウールを取り除くと、石膏ボードにもカビが生えていました。

 



壁を8面外した状態。続きは翌日に。

 

 

休憩時、家主さんからのドリンクやお菓子の差し入れをありがたく頂きました!

 

 

 

4月14日(土)「災害ボランティア愛・知・人」の災害支援104日目。ボランティア28人。作業班3班と炊出し班。

 

同じメンバー6人で再び伺うと、家主さんの後輩、地元の大工さんが来られていました。チームリーダーが一緒に作業確認と今後の相談をし、イザ!作業開始。壁を全て剥がします。

 

 

変色していたグラスウールを除去。

 

 

木の枠組みも外していきます。

 

 

バールとハンマーを使って。

 

 

要領を教えて頂き、てこの原理で簡単に外すことが出来ました。

 


ボードカッタ―で石膏ボードをカット。

 

 

私、久々に電動工具マルチを使わせていただきました。

 

 

石膏ボードの奥にもグラスウールがあり除去。グラスウールは2重に施してありました。

 

 

作業の合い間の休憩。家主さんはとても優しく気さくな方で「ボランティアの一員みたい」とニッコリ。

 

 

その後も、みんなで力を合わせ、どんどん作業を進めていきました。

 

 

作業終了後は綺麗にお掃除。

 

 

大工さんに引き継ぐため、私たちボランティアが出来る2日間の作業は無事終了しました。

 

ピアノは計3台。1台は修理に出されています。2台のうちのグランドピアノは引き取ってもらえないか交渉中で、アップライトピアノは廃棄の方向で進めてらっしゃいます。

 

 

気がかりなのは、備え付けの本棚がある部分。その壁の内部を確認するには、さらに大掛かりな作業になりそうです。

 

 

 

家主さんの置かれている現状は非常に過酷です。現在、子供さんの家に避難。自宅まで片道約2時間半かかり、1週間に2回ほど来て片づけをされていて、さらに15分程の場所にある実家も倒壊。そちらの片付けもされています。

「前向きに頑張るしかない!」家主さんのこの言葉が、今も私の頭の中でリフレインしています。自身を鼓舞するように、自身を励ますかのように何度も発せられていました。

一緒に活動したメンバーに聞きました。後輩の大工さんは高校時代の吹奏楽部の先輩・後輩という仲で、ともにトロンボーン奏者。「すず吹奏楽団」に所属されています。楽器は幸い無事。5月に演奏依頼があるそうですが、家主さんは出演を断念されたそうです。

離れを修復し、ご家族と平穏な生活が取り戻せますように。仕事も演奏活動も1日も早く再開出来ますように。そして奥様のピアノ教室に再び笑顔が集い、素敵な音が奏られますように。エールを送り続けます…!

 

 

ところで、4月14日は熊本地震から丸8年でした。「災害ボランティア愛・知・人」赤池博美代表は、この日の午後、Zoomで熊本に出演。珠洲市宝立町の被害状況を映しながら、能登半島地震の現状を伝えていました。

 



(4/15 ON AIR LIST)
M1.一青窈/ハナミズキ
M2.進藤久明/ドンマイ4.14
M3.ナオトインティライミ/未来へ
M4.桐谷健太/KANON-香音-(リクエスト)
M5.薬師丸ひろ子/セーラー服と機関銃(リクエスト)
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M8.福島しあわせ運べるように合唱団/BELIEVE