能登半島地震の2日後、1月3日に石川県珠洲市に入り、支援活動を毎日続けている「災害ボランティア 愛・知・人」代表 赤池博美さん。約3ヵ月振りに電話インタビューしました。

 

 

-今日4月1日で地震から丸3ヵ月経ちました。珠洲市の復旧状況はいかがですか?

もう3ヵ月も経っちゃったな、というのが正直な感想です。いつだったか電気が通ったこと、すごく嬉しかったのを覚えています。でも現状、まだ殆どの地域で断水していますし、町の風景も、道は通れるようにはなっていますが、ただ仮復旧であってデコボコした道が続く中、倒壊した家屋もそのままの状態が続いていますね。

-私が最初に活動したのは正院町でした。珠洲市の中でも被害は大きいと赤池さんは仰っていましたが、3月31日(日)に案内して頂いた宝立町の被害も相当ですね。

宝立町は去年5月5日、珠洲市で震度6強の地震後、約3か月間活動していて、私たちが寝泊まりしていたベースを構えていたので想い入れが強くて。1月3日に一番初めに立ち寄ったのが宝立町でした。町の景色を見た瞬間、かなりショックを受けました。

 

(昨年「愛・知・人」が借りていた住居)

 

 

 



-マンホールの隆起はあちらこちらで見られますが、宝立町では私の背丈(153㎝)ほど飛び出たところもありますね。

スケールで計ったら一番飛び出ていたのが1.5mでした。

 



-こんなに飛び出たマンホール初めて見ました。

今まで東日本大震災でも熊本地震の被災地でも見たことがないです。

 



-殆どの家屋が被害を受けていますよね。

宝立町は9割、いやほぼ10割に近いのではないでしょうかね。

-3ヵ月経ってまだこの状態。赤池さんは毎日変わらない町をどのようなお気持ち見続けていらっしゃるのでしょうか?

 

う~ん…ボランティアでやれる範囲って限られていることもありまして、国とか県、行政がもっと動いてくれないと厳しいって思いますけど、ただ住民さんはもちろん、私たちも含め、諦めたくはない。活動し続けたいと思っています。

 

 

 

-最初、珠洲に支援に入られた時は炊き出しをされていましたね。

行政が動くまでの間「命をつなぐ炊き出し」そこは第一優先だろうと、約1ヵ月は炊き出しに集中していました。3月20日から珠洲市が地元の飲食店と協力してお弁当を被災者にお配りすることになったので、3月19日で緊急的な炊き出しは終了させてもらいました。

 

-約2ヵ月半、長く続けられましたね。

ココまで長く炊き出しが続くとは想定もしていなくて。ただまだゼロではなくて、在宅避難されている人や公民館などに避難されている人からは、週に1回ぐらいは来てほしいなという要望が出ているので、余力がある限り対応しようと思ってます。

-栄養も美味しさも考えて献立作って、食材を調達して、衛生管理も重要で、しかも1ヶ所ではなく何か所も。炊き出しをされた皆さん本当によく頑張られましたね。その後も寝泊まりしているベースでまかないを作って下さってありがとうございます。


いえいえ。今は家屋の復旧作業とか貴重品の取出し作業をやっています。

 

(若山地区の炊き出しデリバリー)


 

-珠洲市でようやく公費解体の受付が始まったようですが、実際に解体が行われるのはもう少し先になるんでしょうね。

時折、解体が行われているのを見かけます。(危険性が高い建物について所有者の同意を得た上での緊急公費解体) 公費解体といえば、解体していくスピードも必要ですし、丁寧に解体するという事はほとんど無いです。被災された皆さんが一番懸念しているのが貴重品。例えば現金、パソコン、携帯電話、写真、アルバム、ご位牌など。また珠洲市は亡くなられた人が多く、遺品を探して欲しいという依頼が結構多いです。そういうご家庭は公費解体を今すぐやってほしいという気持ちにはなかなかなれないみたいで、貴重品や遺品を取出してあげて、その後、安心して公費解体に移る、というのが現状です。

-この3か月の中で色んな事があったと思いますが、特に印象深い事は何ですか?

ココに住んで活動していますので沢山ありますが。倒壊家屋が非常に多い、これまでに東日本大震災、熊本地震がありましたが、一つの市で考えると、一番被害が大きい、と言えるほどの被害状況です。中でも倒壊家屋からの貴重品の取出しの依頼が増え続けていて、今まで活動してきた被災地とは違うと感じています。危険な作業ではありますけど、安全確保をみんなで考えながら、貴重品、想い入れの品を見つけられた時は、もう私たちも嬉しくなって、見つけられた時の喜び、住人さんも泣きながら喜んで下さってね…。

 

(貴重品の取出し)

 

 

-ところで、一般のボランティアが自由に入れないのもこれまでの災害と違いますね。

 

やはり宿泊所がない、断水が続いている、道も限られた道しか通ってなくて、沢山の人が車で来てしまうと交通渋滞を起こしてしまう、復旧・復興に携わっている業者さんの迷惑になりかねないというのもありまして、現在ではボランティアセンターのガイダンスに従って活動して頂くのがベストかなと思っています。

 

珠洲市災害ボランティアセンターがボランティアの数を多く募集出来ない理由がもう一つありまして、被災者が市外に二次避難されていますよね。なかなか被災者の要望、ニーズが拾えていませんので、いま沢山のボランティアが来ても、やって頂ける作業をまだ掘り出せていないというのが現状です。

 

例えば、珠洲市からの要請で活動している私たちが、ブロック塀の解体や、破損した屋根の瓦を下すなどの作業を先行してやり、それらを回収する作業を一般のボランティアさんに繋げる。現在私たちはそのような役割もしています。

 

-珠洲市災害ボランティアセンターによると住宅の被害は約8600棟。3月23日現在、ボランティアの依頼が1360件。断水が解消し、仮設住宅の建設が進み、二次避難者が戻ってくると、ボランティアの依頼は増えるでしょうね。

はい、色んな人たちの力が必要だと思います。

 

(ブロック塀の解体)



-赤池さんは会社員で1月から会社を休んで支援活動に専念されていますね。

 

4月末まで、実際はゴールデンウイークがありますので5月の始めまで続けて、その後は中長期で活動出来るメンバーにバトンタッチし、私は毎週、週末に珠洲に行って活動することになります。

 

(雨漏りや歪みをチェックする赤池さん)



-最後に今の想いを聞かせていただけませんか?

ここの珠洲市がですね、やっぱり復旧・復興まで見届けられる活動をしていきたい!皆さんが元気になって、笑顔になれる日は必ずくると信じていますし、それまで珠洲市の人たちとお付き合いさせていただけたらと思っています。

-3月31日(日)の朝、作業前に仲間で早咲きの谷崎(たんざき)の桜を見ました。満開でした。本当の意味での春が、一日も早くやってくると良いですね。

必ずやって来ると思っています!

 

 

 

 

 

(4/1 ON AIR LIST)
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