西宮市立今津中学校


1月17日(金)に行われた
阪神淡路大震災 追悼行事を

取材しました

 

全校生徒が体育館に集合し
毎年実施されています

 



震災から25年
震災を知らない世代が増える中
正しい知識を身につけてほしい
堅苦しい話だけでなく
中学生に分かりやすく
防災を伝えてほしい

今回はシンガーソングライター
防災士 石田裕之さんをお迎えし
防災講演会が開催されました

 



「経験したことを種まきします」

石田さんは25年前

中学2年の時に神戸市北区で
阪神淡路大震災を経験
幸い大きな被害はありませんでしたが
新生徒会長に就任したばかりで
募金活動をしたり
仮設住宅を訪問するなど
地域の方々と交流をしました

またこれまで各地の被災地に
100回くらい足を運び

ボランティア活動をしています
そのうち東日本大震災で被災した
宮城県石巻市には70回以上

震災から2か月後に行った石巻
自分の持ち歌ではなく
被災された方々から歌いたい歌を
リクエストしてもらい
その曲をギターで弾き皆で歌いました
避難生活が続き
思うように声が出せなかった
そんな皆さんの心をほぐしました

現在は防災音楽ユニット 
「Bloom Works」の
ヴォーカル&ギターとしても活躍

防災啓発ソングではなく
歌詞に防災や命の大切さを伝える
メッセージがさりげなく込められた
クオリティの高い音楽を
楽しんでいただきながら
ライブにも来たいと思ってもらえる
それがいつかコミュニティになり
コミュニケーションになるように

音楽は人と命を繋ぐと信じて
確固たる想いを持って活動しています

 



これまでの経験

現在の取組み、伝えたいこと
分かりやすい言葉と
とても優しい語りで種まき
非常に素晴らしい講演会でした

生徒さんに感想を聞きました

岡野琉太郎くん 3年 


「印象に残った話は
僕が100回(被災地に)行くよりも
100人が1回づつ行くことの方が大事。」

仁科留璃香さん 3年


「歌って人を助けることが
出来るんだなって分かりました。」

江見遥人くん 3年


「歌一つで人と人が繋がりあい
励ましあうことが出来る
すごいなと思いました。」

原田哲汰くん 3年


「震災についてもっと
深く考えることが出来ました。」

水上紗耶さん 3年(元生徒会長)


「気持ちを落ち着かせてくれたり
奮い立たせてくれる音楽が好き。
震災を受けた場所でも通用する
音楽は素晴らしいと思いました。」

防災講演会終了後
石田さんにサプライズで
今津中全校生徒の皆さんが
『しあわせ運べるように』
心を込めて合唱しました


「最初のひと声を聴いただけで
号泣しちゃいました。」という石田さん


「子供たちの美しい歌声で
あの歌を聴くっていうのは
震災を経験した人にとっては
すごく特別なことなのかなって
自分自身すごく心が洗われました。」

 



 塚田更咲さん 2年(現生徒会長)


「歌の中にある
『亡くなった方々の分を
毎日を大切に生きていこう』
今を生きている私たちが
震災で亡くなった方々の分も一日一日を
大切にしていかなければいけない
という気持ちで歌いました。」

指揮を務めた
上園芽生くん 2年

「感動してもらうための歌を
僕たちは頑張ってやってきたんで
感動してもらえて
やってきたことが実って
良かったなと思います」

上園くんの気持ちを込めた
タクトさばきが印象的で
「吹奏楽部なん?」って聞いたら
「いや、野球部です!」

 



今津中に着任して2年
真多校長先生は
今年度から豊かな心を育む
5つの柱として
「今中5スターズ」を掲げました

挨拶、清掃、合唱、
今学、ボランティア活動

地域のお祭りや掃除など
生徒さんがボランティア活動
地域の皆さんと
顔の見える関係を築いています

また合唱部はなく
全校生徒で合唱に取組み
感性を磨き

素敵なハーモニーを
作りあげています

それだけに
今津中の生徒の皆さんの心に
石田さんの音楽を通じて
伝えたい想いが
響いたように思います

石田さん自身も
「想いはきちんと
届けることが出来て
それをしっかり受け止めてくれる
生徒さんと出会えて
すごく嬉しかったです。」

 



ところで


学校創立73年という
長い歴史がある今津中学校
現在、全校生徒は481人です

 



真多英博校長先生は
阪神淡路大震災で被災

自宅は半壊
当時勤務していた
上ヶ原中学校は全壊


西宮市内で一番被害が大きく
校区内の生徒たちの家も
被害は甚大でしたが
幸いにも

生徒は全員無事でした


1月30日再登校で
グラウンドに集まった際
お互いに「生きてて良かった」と
泣きながら抱き合ったそうです

ただ甲陵中のかつての教え子は
仁川百合野町の大規模な地滑りで
犠牲になりました

25年をむかえての

想いをお聞きしました

「潰すことは一瞬で出来るけど
それを立て直すこと
作り上げることは時間がかかる
例えばイジメの問題
心を傷つけることはすぐに出来るけど
それを癒すことはなかなか出来ない
まして命は戻ってこない
命を大切にしていってほしいと願っています。」

 



石井健昭教頭先生は
浜脇中学校で16年間
真砂中学校で1年間
音楽の先生で吹奏楽部顧問を務め
昨年4月から今津中の教頭先生です

東日本大震災発生後3年間
西宮市吹奏楽連盟は支援金を募り
女川町と南三陸町に送りました

その吹奏楽連盟の派遣として
当時勤務していた浜脇中が代表し

女川町と南三陸町で
地元の中学生とともに
復興支援コンサートを行いました

それ以来、石井教頭先生は
被災地の支援活動をされてきました

「災害を乗り越え皆で団結し
行くとすごく元気を頂ける。」


毎年のように南三陸に
足を運んでらっしゃいます

さらに熊本地震
北海道胆振東部地震の際は
浜脇中、真砂中の生徒たちが
「チャリティコンサートしたい!」
と声をあげ、石井教頭先生が
支援金を直接届けに行きました

「現地の写真を生徒たちに見せ
遠くに頑張っている
仲間がいることを知ってもらい
自分たちでも力になれるんだ
という自信をもってほしい。
たくさんの人と繋がっていけることを
感じてくれたら嬉しいですね。

被災地で心に残っている言葉は
『率先避難者になれ』
『想定にとらわれるな』
それを広げて

災害で亡くなる人を減らしたい。
そういう想いでずっと続けています。」

 



インタビューに応じて下さった皆さん

ありがとうございました


それぞれの想いが温かく溢れていて
それを番組でお伝え出来たこと
非常に意義深いことと感じました

(1/20放送 曲目)
M1.ソウル・フラワー・ユニオン/満月の夕
M2.My Little Lover/Hello Again~昔からある場所
M3.今津中学校全校生徒/しあわせ運べるように
M4.石田裕之/やっぺす石巻
M5.作人/ここに全部繋がってたよ(リクエスト)