痛みとは”痛みの程度”と”不快感”の2つが合わさった感覚。後者の”不快感”を見落としがち。
痛みは身体を怪我から守るための必要不可欠な感覚である一方で、怪我がとっくに治るべきである期間(通常3-4か月)を過ぎても痛む場合それは怪我ではなく「痛みの病気」となる。
現在世界の5人1人はこの状態に陥っていると見積もられている。筆者らの研究ではさらに多く、30-50%の慢性腰痛、膝痛の人がこれに該当する。
慢性痛とは、局所の問題だけという単純なものではなく複数の原因メカニズムによって生じる:中枢神経活動異常、遺伝子、そして精神的な状態など。応じて、「0-10あって、10が一番痛いとしたらどれぐらい痛いですか?」と局所的な痛みに対して、評価する現在の「不完全な」痛みの評価方法が現在の治療効果の乏しさと新しい薬の開発の滞りに大きく影響している。裏付けとして、この0-10スケールを使った痛みの評価は科学的に信頼性が乏しいと証明され続けている。
ちなみに現在の痛みの薬で効果がある人は全体の3分の1以下である。薬の開発でもやはり0-10で評価しているので、治験効果が乏しい。
将来は、中枢神経の活動性、自律神経の活動性(心臓機能、瞳孔の状態)、そして精神症状などなどを評価して総合的に慢性痛を評価するようになる。何故なら、慢性痛の原因はいろいろと複雑に関連しあっているからだ。
最後に、痛み、特に慢性痛(中枢性疼痛)、は「不快感」との関連が大きい。精神症状やストレスの軽減、リラックス等のアプローチは中枢神経系において密接に痛みの感受性と関連している。
これからの慢性痛への「医療行為」の鍵の一つは精神的に良い状態になること!
アロマ、ヨガ、などストレスフリーになることは慢性痛治療です。
引用文献
Tracey I, Woolf CJ, Andrews NA. Composite Pain Biomarker Signatures for Objective Assessment and Effective Treatment. Neuron. 2019;101(5):783-800.
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