BS1を見ていたらBBCニュースで、
habitat(ハビタ)UKが破産し管財人の管理下に入り、
ブランドネームとロンドンの3店舗はそのまま残るが、
他のイギリス国内の30店舗は閉店のリスクに、
また720人以上の雇用も危うくなっている、
と報道していた。
早速ネットで調べてみると、
Home Retail Group というところが、
ブランドネームとロンドン3店舗については£24.5mで買収し、
残りが上記の状況であるようだ。
ハビタはテレンス・コンラン卿が
1964年にオープンさせた
ライフスタイル・デザインショップ。
「60年代一世を風靡したハビタ、イギリスの生活を変えた小売のシンボル的存在」
「60年代の団塊の世代がはまったデザイン革命を起こした」
と表現していた。
報道によると、ハビタUKが破産に追い込まれた要因を次のように分析。
生活に欠かせないお金さえきびしくなっている中、
ファンシーなインテリア製品は贅沢品とみなされる。
ハビタはその重いつけを払わされた。
アイデアそのものが成功の妨げとなった。
イギリス国民全ての人々がグッドデザインの商品を買えると思い込み、
その結果、多くの店が全く同じアイデアをいたるところで売ることとなり、
これがハビタを市場からたたき出すことになった。
この業界で猛威をふるうのは IKEA(イケア)。
安いフラットなパック、自分で組み立てるDIY、
イケアも独自の技術的文化をつくりあげ、
ハビタのアイデアを受け継ぐ一方、
コストをごくわずかに抑えた。
この報道を見たとき、
デザイン志向ライフスタイルショップの崩壊か・・・
と瞬間感じてしまった。
60年代ハビタは生まれ、人々を一瞬にして魅了してしまった。
それからハビタはイギリス国民をある意味教育しライフスタイルを変えてきた。
努力が実って、人々はハビタの商品を求めるようになった。
しかし、そこにハビタのアイデアをまねて多くのショップが生まれて、
競争が生まれ、顧客を奪い合った。
そして、加速度的にハビタのライフスタイルが
人々にとって普段のライフスタイルのものになっていき、
あえて価格の高い商品を買うほど価値あるものと感じなくなってしまった。
そこに、イケアが誕生した。
イケアは、デザインはしっかり行います、
しかし、価格は独自の技術で安くします、
という発想で商品を展開し、
あっという間にハビタや同じコンセプトのショップのマーケットを奪っていった、
ということか・・・・
しかし、これはイギリスの話であり、日本ではないことを思い出した。
日本人は、
モノの良し悪しの判断を、
見た目、雰囲気だけでなく、
「モノのつくり」(品質)にもこだわって
行っていると思う。
したがって、品質が価格に見合うもの、
または、品質が価格以上と感じれば、
購入する心の準備はできている。
つまり、見た感じ雰囲気デザインがいいね、と感じても、
品質が価格に見合っていなければ購入しない。
日本人は、そういった商品を「空虚な商品」だと直ぐに見抜いてしまうのだ。
日本では、モノに見出す価値の幅は広く、奥行きは深い。
見た目の雰囲気から、
その商品が誕生したストーリー、
そしてその商品を生み出した
デザイナーの情報、つくり手の情報等、
一つのものから、
あらゆる情報を引き出し、
その商品の価値を判断する。
このことがわかっていれば、
価格の高いものも安いものも、
日本では売ることができると思う。
一番避けたいことは、
中途半端な商品をつくり売ることだ。
つまり、「空虚な商品」を生み出さないこと。
置いてある商品が、
ショップ全体の雰囲気作りのためにだけ存在していると、
感じてしまうライススタイルショップがある。
一つ一つの商品に消費者の心が入り込める何かがないと、
また、商品から語りかける何かがないと、
これからはショップ運営が難しくなってくるだろう。
それが他店との差別化にもなると思う。
さらに、今般、接客については、
店員が来店客に話しかけたり、
べったりくっついていたりするのは良くない、
という傾向がある。
しかし、これからは、
店員には、人間対人間の関係を瞬間に築き、
「モノ語り」がさりげなくができるスキルが求められるようになると思う。
また、それがショップに活気をもたらし、購買意欲を高めてくれると思う。
お客様が、別なお客様と店員との会話が耳に入り、
「あの商品にはそういうこだわりがあるんだぁ」と感心したり、
店内のお客様と店員の間に見えないつながりができてくる。
「モノ語り」をするには、モノ語りをするだけの価値がある商品が必要であるし、
店員も商品の勉強をする必要にせまられてくる。
どんどんショップは変わっていくだろう。
最近、平日、銀座の百貨店のリビングフロアーをのぞいてみたら、
お客様が多く、店員が積極的にお客様に声をかけていた。
以前とは違うな思った。
百貨店は、今、売り場で積極的にお客様と関係を持とうとしていると感じた。