あか毛和牛賞味会 ~ 時代の気分はあか毛和牛
気分のモードは勉強、仕事、恋愛、生活等様々な場面で、またその時々で変わる。
例えば、同じ勉強でも、ひたすら知識を詰め込みたい気分のモードの時と、
机にかじりつくのではなく、外に出て、現場の中で体で感じて学びたい気分のモードの時等、置かれている状況やそれまでの流れで気分のモードは変わる。
今の時代は、どんなモードなのか。
グローバルに人や国が多様につながり、地球の限られた資源を意識する中で、見た目だけでなく、その中に潜む本質や優しさや想いなどに、
より密度ある重みと魅力を感じる気分が、今の時代のモードにはあるように思う。
そうしたモードに至るのは、技術の革新や経済の成長など、20世紀に成し得たものは素晴らしい財産と認めながらも、何かを失った後ろめたさや、未来への危機感などからくる反省の想いもがあるのかもしれない。
先日、あか毛和牛の賞味会に伺った。
全日本あか毛和牛協会と、生産者・神内ファーム 21が提供する素晴らしいあか毛和牛を使い、会員制ホテル・東京ベイコート倶楽部の宮崎修料理長が前菜からメインまで計8つのお料理を披露して下さった。
前菜には、あか毛和牛の肩の部分のお肉のローストを黒トリュフのシーザーサラダとともに出して下さった。続く「赤毛和牛三角バラ肉の赤ワイン煮込みと聖護院蕪」も、ブイヨンをきかせたさっぱりとした赤ワイン煮込みで、これはあか毛和牛だからこその味わいだった。
今私達が頂いている和牛のほとんどは、サシを魅力としてきた黒毛和牛と呼ばれるものだ。農林水産省の畜産統計によると、国内のおける飼育頭数は、2011年で黒毛和牛が約180万頭、それに対してあか毛和牛はわずか2万4000頭ほどだ。他に和牛には、日本短角牛と無角和種があるが、2つ合わせても7500頭足らずしかいない。
このあか毛和牛が今、食のプロたちから注目を集めている。
プロミスの創業者で同社の元会長が、引退後に私財を投じて東京ドーム500個分の土地を北海道に購入、あか毛和牛の生産と普及に取り組んでいる。
あか毛和牛とは、褐色(あかげ)の毛を持つ熊本と高知に生まれた和牛で、きめ細やかでさっぱり、ヘルシーな肉質が魅力だ。ご高齢者から女性、子供まで美味しく頂ける。
従来、お肉はサシの入り具合や色、艶などの肉質で評価されてきた。
「最高級A5ランクのお肉です!」というようなランク自慢を目にしている方も多いのではないだろうか。
あか毛和牛では、この肉質に加え、「育て方」という独自の評価基準がある。
エサの粗飼料率や国産飼料率、親子放牧かどうかなど育て方の状態もランク付けされる。
一般的に、牛のエサには、トウモロコシ等の「穀物」、ワラ等の「粗飼料」が主流だ。特性と生産効率、重要と供給のバランスで、黒毛和牛のほとんどは海外の穀物飼料と牛舎での育成である。
しかし、穀物だけでなく、食物繊維が豊富な粗飼料を与えると、健康な腸を保ち、その後の栄養吸収率も良くなるらしい。人間の健康も、「胃腸から」と言われるが、牛も同じである。また、生まれたときに母親牛の母乳で育つと免疫力が高くなる。
もともと体が大きくて丈夫で、温厚な性格のあか毛和牛は、牛舎ではなく放牧で育てられることにより、ストレスも少ないそうだ。
粗飼料を多給すると、植物由来のビタミン類および、最近体に良いことで人間世界でも注目を集めているn-3系不飽和脂肪酸の割合が増加するデータがある。農研機構九州沖縄農業研究センターのデータによると、n-3系不飽和脂肪酸はロース芯部分で約2倍に増す。粗飼料と放牧の組み合わせで健康に育てると、うま味成分が約6ポイント増す結果もでた。
つまり、「健康な育て方」と美味しさの関係がここに成立した。
あか毛和牛の美味しさは、舌で味わう美味しさにとどまらない。
舌で味わう美味しさに加え、安心・安全な品質の保証と、そのための労力や生産者の想いも美味しさとして我々は感じているように思う。さっぱりしていて、美しくきめ細やかな赤身のお肉は、私達の体に優しく、お料理になってもどんなソースとも仲良しで、素晴らしいお料理になる。美味しくて安心という、この当たり前のことを得る難しさを感じているからこそ、その当たり前のことを貴重な味わいのうちとしているのだ。
ところで、あか毛和牛を普及しようとしている神内ファーム21では、南国のマンゴーも生産している。なぜ、マンゴー!? 会長がよほどマンゴーをお好きなのか?と思って同社に伺うと、「これまで北海道ないものが良かった」との回答だった。
確かに、南国の赤いマンゴーが北海道の大地で育つ、その風景を思い浮かべるだけで素敵じゃないか。最新の技術とコンピュータ管理されたビニールハウスの特殊温室で南国を創り出し、北海道マンゴーが育つ。本来不可能なことを可能にするだけでなく、その固定概念の突破からは、新しさが生まれる。収穫は、南国より10日長い130日間かかるらしい。だが、追加の10日間に糖度が急増する。また、糖度に加えて独特のさわやかな酸味も加わり、本家南国にはない魅力のマンゴーが生まれた。この10日間は、“奇跡の10日間“と呼ばれているそうだ。
先ずは、既存のモノを模倣するところから、新しい物が生まれる。
革新の本質はそういうもで、普遍的だ。
青物卸の家に生まれた江戸の画家・伊藤若冲は、当時主流の中国、朝鮮の1000点にも上る絵を模写し、そこから本家を超える独自のものを生み出していったと言われている。
見た目ではなく、本物の奥底に潜む正しいものと本質。
既存を認知し、革新から未来を生むドキドキ、ワクワク感こそ、時代が求める気分のモードのように思う。
神内ファーム21の考えもつかない生産に対する環境つくりの規模と、同じく考えもつかない品質、発想のスケール感。それが私達をワクワクさせてくれるのかもしれない。そして、神内ファーム21のあか毛和牛やマンゴーの美味しさには、彼らの想いとつぎ込むエネルギーも含まれているように思う。
あか毛和牛の流通量は多くないが、着実にあか毛和牛に魅了されて扱うレストランやホテルが増えている。ぜひ、あか毛和牛と、そのお肉に魅了されたシェフが腕を振るうお料理を頂きにレストランに足を運んでみてほしい。
美味しく、幸せな時間はもちろん、何か今の時代に必要な元気とワクワク、ドキドキの高揚感までも頂けると思う。
【お店】
全日本あか毛和牛協会 あか毛和牛を味わえるお店 →こちら
賞味会でお席が近くお話をさせていたシェフの下記お店でも頂けるそうです。
●ウェスティン ビクターズ → こちら
あか毛和牛はもちろん、お野菜も産地直送。シェフこだわりの食材。
●カフェドイシス 自由が丘 → こちら
フレンチから、和食神谷銀座の元料理長という異色の経歴を持つシェフが腕を振るう京風料理。(和食)
●日本料理 神谷 → こちら
※いずれも、予約の時にあか毛和牛希望の旨事前にお伝えすることをおすすめします。


