ボクの大好きな、スズキ姐さん
いとこが来月結婚式をあげるのもあり、
この数年、通販以外で買う唯一の服屋
へ。
以前は、飯田橋の店を使い、また自らも店長から
「雨留乃助はうちのブランドのイメージにぴったりだから、お願い!」
と請われ半年程、仕事をしつつ、土日のいずれか店頭に立ち、
顧客を目の前にして、モノを売る、というよい経験をさせて頂いた。
今は仕事場の近くでもあり、また飯田橋の頃一緒に店に立ったこともある、
スズキ姐さんが店長をやっている新宿の店に。
久方ぶりの邂逅ではあるけれど、先週も来たような
「このスカート!私でもはけたよ!」なんて会話からはじまり
※ スズキ姐さんは、どこの星にすんでるのか、って位、細い
そして、凄みのあるオリエンタル・ビューティだ。
今の仕事の話しから、カスタマーサービスの内容に及んだとき
「そうそうそうそうっ」とスズキ姐さん堰を切ったように話をし出した。
はじまりは、他店から来たヘルプと呼ばれる女の子が、接客をし、
一点の服を売ったところから。
それから、一週間以上経って、同店に「買ったのにきつい、交換をしてください」
という電話が入り、それを受けた、ヘルプの女の子が、それを受け付けた。
この店では基本的に、試着をしてもらい、納得してもらってから購入して頂くようにしている。
レジにも、基本的に返品・交換は受け付けない事を明記していた。
このような状況なので、お客様から返品・交換の連絡を受けた場合、その状況を伺ってから
店長若しくは、本社問い合わせにするオペレーションになっていた。私もそれは知っている。
また、交換もしくは返品の場合は、製造元の問題でのみ受け付けるのが本来。
着衣時のビスの破損や、染料の選択ミスによる色落ち等にあたる。
「きつい」「ゆるい」等は試着をすすめているので、その段階でお客様に確認して頂くようになっている。
無理無茶試着なし、では売りつけない。
※ 少なくとも、自分がやっていた時や、一緒にやっていた人間たちは試着はすすめていた。
決定にあたっても、いろいろな情報も与えるが、決断は本人の自由だ。
彼女は確認作業をせず、自己了承でこの交換を受け付けてしまった。
後日、関東の遠隔から来た、というそのお客様は、電話で交換を受け付けた事を伝えた。
しかし、ここの服。もともと点数が少ない。
その上、一部を除き、サイズはひとつのみ。
もし「きついです」等の場合は、試着の段階であきらめて頂くはずだがこのお客様。
「だって、家で着て、腕をあげたらきつかったんだもん」と、試着し確認したことを認めない。
更に、「わたしはわざわざ○○(関東遠隔)から来たというのに」やら
「欲しいものがないっ」と店内を叫びながら、のしあるいた、という。
もちろんこれは営業時間内のこと。他にもお客様はいらっしゃる。
売った本人はもう、すっかり萎縮してしまっている、
そこで、スズキ姐さんの登場となる。
叫ぶお客様をなだめながら、本社に連絡をとり、指示を仰いだ。
購入価格に上乗せした金額の商品を提供し、怒りを納めて頂くよう、という指示を拝受。
で、代替の希望を、件のお客様にお伺いすると
「綿100%、黒」
因に、ここの服は約9割が化繊。
それを希望だったら、最初からここは対象外だ。
それを説得しようとするとまた、
「欲しい商品がないんじゃ意味がないっ」
「これじゃないっ!これじゃないっ!」と店内をまた、のし歩きだし
ディスプレイをがさがさとさせ、「あんたじゃない、責任者を出せ」と言い出した。
営業上、たまったものではない。お客様はすっかり引いてしまった。
再度本社に連絡を取り、お客様の状況を報告。
自分でも想像できるが、この状況では店舗では対応しきれない。
最終的には、本社側から、消費者センターに言って頂いてもいい、とお伝えし、
今日はお気持ちのすむ商品を選んで頂くところで、説得した。
「で、ここからなんだよ」と、スズキ姐さん。
ともかく希望を聞いて、それに該当しそうな商品を選び、ともかく試着して頂く。
「お客様、何かご不満な点はございませんか?」
もう一度、同じクレームで来店されないよう、心中は必死です。
それへの返答が
「どう?似合う」
ハラはたてていられない。
「お似合いですけれど」
「でもねぇ、これから暑くなると、この襟・・・」
「はいっ、別のものにしましょうっ」
暫く、この会話が続いたそうです。
念を押しておきますが、上記に書いた通り、返品・交換は受け付けておりません。
お支払いの際の、レジのところにもわかるように貼ってありました。
また、この連絡を頂くまで、商法等で定義されているクーリングオフ期間をはるかに超えた日数での「交換希望」です。
今回の返品・交換は、オペレーションエラーによる、ある種善意の顧客サービスです。
わたしでも以前のblog の中で書きましたが、こういったお客様は、対応している間は、「何を求めているのか」よくわかりません。
正直、やけっぱちになってきたり、ヘコんできたり、泣きそうになったり、キレそうになったり、が事実です。
一応、こちらも人間なものですから。
しかし。
そんな中で、スズキ姐さんは、会話の中から、一つの法則を見いだします。
またやってきました。
「どう?」
「ええ、お似合いですよ。」
「胸のところ、開き過ぎじゃない?」
「いえいえ、お客様。胸が豊満でいらっしゃいますから」
「・・・そうなのよぉ。じゃこれをいただくわ」
自信がかなりおありになるお客様と看破し、そこをついていったわけです。
※ 少なくとも、言ったことに嘘はなかったそうです。
解決を導くためには、常にどこかで冷静でなくてはならない。
ましてや店長。最後まで責任をとらねばならぬ、言い訳のきかぬ立場だ。
スズキ姐さんは、以前のblog で書いたように、「怒っている」事を洞察しつつ
最善の対処を、状況の中で見出し、実行していった。
コールセンターは状況によってはタイムラグを置く事も出来るが
こういう状況は「ちょっと待ってください」がイノチトリにもなりかねない。
会話の当意即妙は、ここや、他の店でのやりとり で大分慣れはしましたが、
「この、目の前にある危機」と対峙したら、きっと自分では、手足がガクガクしてしまっただろう。
「だって私、悪いことしてないもん」
キゼンと、そしてキッパリと言い放つ、スズキ姐さん。
なかなかこう、言い切れるほど、自分のやっていることに胸を張れる事があるだろうか。
スゲーよ、スズキ姐さん。
「でね、同じ金額のものより、安いの選んでったよ。赤字にならなくてラッキィ」
・・・やっぱりスゲーよ、姐さん。
※ 因みに、失礼のないように。スズキ姐さんは、自分とおない歳です。