そして本はばらばらに並んだ・・・
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山下「何とかできたようだね~。」
有留菜「はい!いい感じで適当に並んだのではないでしょうか。」
山下「そうだね。適度に適当に並んだね。・・・ん?何言っているか分からなくなってきたぞ!」
有留菜「確かに。後は明日以降のお客様の動きですね。どんな顔を見せるか楽しみですね。」
山下「はやく、明日にならないかね。お客さんの困った顔を想像すると、楽しみでならないよ。これも有留菜さんのおかげかな。」
有留菜「いえいえ。しかし、本当にこんな事をしてしまって良かったのかと、今でも頭の中では思っているんです。全く売れなくなって生活とか大丈夫なのでしょうか?」
山下「有留菜さんはそんなことを気にしないで良いよ。今回、有留菜さんに考えてもらったのは、日本中の書店のどこもやっていないことなんだよね。売れなくても、それが楽しいと思わないかい?これだけ書店があるのに、こんな並べ方しているのはうちだけなんだよ。愉快だね~。」
有留菜「そう言っていただけるとなんだか照れますね。」
山下「とにかく、全ては明日だ。明日は様子を見に来てくれるのかな?」
有留菜「開店時にはお伺いいたします。それでは、また明日よろしくお願いいたします!」
山下「だから、張り切らないでいいの!今日はお疲れ!また明日待ってるね。」
そして、運命の日が明日に迫ったのであった。
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本の並び替えをするぞ!
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今日は山下書店の本の並び替えの日。有留菜は朝からそわそわしていました。
有留菜「今日はどんな風に本を並べようかな~。いかに探しにくいかっていうのが大事だからな~。」
本間「まあ、力を抜いてやりなよ。適当でいいから。適当で。」
有留菜「はい!」
場所は山下書店へ・・・・。
有留菜「山下さん、今日はよろしくお願いいたします!」
山下「だから気合入れないでね。とにかく始めようか。ちなみに適当に並べるって言ってもコンセプトはあるのかな?」
有留菜「はい、それも考えてみたのです。まずは立ち読みしにくくするという作戦です。」
山下「というと?」
有留菜「はい。週刊誌とか期間限定のものは外に置くのではなく、レジの目の前におきます。しかも、レジの方に向いて読まないといけないように、この網棚のタイプの書棚を動かします。かなり立ち読みしにくいですよ。その上で、適当に並べます。」
山下「なるほどね。立ち読みするようなタイプの本を立ち読みしにくい場所にするということだね。面白いね。で、他の本は?」
有留菜「はい。もう漫画でも小説でも、入り乱れて・・・。こっちは作戦というか、とにかく山下さんも探せないというのをコンセプトにしています。どうでしょうか?」
山下「いいね~。私も探せないというのが気に入った。じゃ、適当に始めようか。小説とか大事な巻だけ変なところにすっ飛ばすのもいいね。なんかわくわくしてきたよ。」
有留菜「そうですね!私も売れないようにするっていうのは初めてですが、どうなるか楽しみになってきました!」
山下「よし!やるぞ!」
有留菜「はい!」
2人は一日かけて本を適当に並べ替えたのであった。
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いざ、クライアントの元へ企画書提出
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有留菜「とうとうこの日がやってきました!山下さんが気に入ってくれるといいんですけど。」
本間「まあ、とりあえずお前さんの思いを山下さんにぶつけてみなよ。」
2人は山下書店へと向かった。
有留菜「こんにちは~。」
先日と同様に山下は30秒くらい間をおいてから返事をした。
山下「やぁ、こんにちは。どうだい、悪いの出来たかい?」
質問の仕方に戸惑いつつも、有留菜は企画書を差し出した。
山下「どれどれ見せてもらおうか・・・」
1枚、そしてまた1枚と山下は有留菜の企画書をめくった。
有留菜「どうでしょうか・・・・?私ならこの書店では買いたくないなぁ~っていうのをイメージして作ったんですけど。」
おどおどとしている有留菜に山下は一呼吸置いてから答えた。
山下「本を適当に並べるというんだね。確かにお客さんは探せないね。ただ、これだけだと少し足りないから、入口に張り紙もつけようね。ご自分でお探し下さい。ってね。」
その言葉を聞いて有留菜は顔を輝かせた。
有留菜「ということは、やってみていただけるんですか?」
山下「まあ、どうなるか分からないし、やったことないから、面白いか?その代わり、一日店を閉めて配置換えを行なうから、君も手伝ってくれるかな?」
有留菜「もちろんです!」
本心ではこんなもので本当に良いのか?と思いつつも認めてもらった有留菜はとても嬉しかった。
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