1、MBOへの対抗策?
・違法行為差し止め請求権(360条)
…役員の公開買い付けを取り消す。
「会社に著しい損害」は生じる恐れがあるときに行使できる。
→会社=株主ではないのでコレを行使することが出来ない(通説判例)
・会社に対する役員の責任。
…会社に対して損害を填補する。
・第三者に対する役員の責任(429条)
…役員に対して直接株主へお金を払えと請求する。
直接損害であれば「第三者」に株主は該当。
2、レックスHD事件概要。
MBOの事件。
手法:まずMBI3号が100%出資する形でAP8を設立。AP8が旧レックス株を公開買い付け+全部取得条項つき株式(対価はめっちゃ薄い普通株)にして買い占めたところで、AP8が旧レックスを吸収合併することでレックスHDと商号変更。
問題点:
公開買い付けの前に事業の下方修正のプレスリリースを出したこと。
公開買い付けのときのプレスリリースで公開買い付けに応じなければ株式価値がより一層下がるようなことを示唆するような文言が付されていたこと。
→株主がいつ株式を手放したかで株主にどのように損害が発生したは二つのパターンに分かれる。
①全部取得条項付株式となるときに反対株主権を行使した場合。
適正価格より低い買取価格になっていれば株主に損害がある。
→株主は判所に適正な買取価格の決定を申し出る(コレがレックスHDの第一の事件)。
地裁では公開買い付け価格と同じ価格を設定(23万)したが、高裁で
約33万に増額され即時抗告が認められず決定が確定。
②①のときまで戦わずに公開買い付けの段階で株式を売ってしまった場合。
→コレが本件事件。会社に損害はないし、429条で攻めるしかない。
問題は株主が「第三者」にあたるかどうかとそもそも役員に任務懈怠=ここでは善管注意義務が認められるかが問題となった。
判旨:株式会社は営利を目的とするもので、企業価値を向上させることによって株主の共
同の利益を図ることが一般的な目的→忠実義務=会社に対して負う義務であるとこ
ろ、役員は善管注意義務の一貫として「株主共同の利益に配慮する義務」があると
する。
そして義務に違反するかどうかは、法令に違反していないことを前提に、利益相反の程度・利益相反回避措置としてどのようなものをとったか等(だいぶ省略した)を総合判断して決する。
あてはめとして、企業価値向上の目的かつ回避措置も一応取られていたから義務違反はないとした(規範として緩めではあるが、経営判断原則の「判断の経過・内容が著しく不合理ではない」という基準より厳しく判断。)
考察:
義務違反に当たるかどうかはアメリカの判例準則であるEntire Fairness基準に近いものがある(コレよりは緩めかな)。
株主が第三者に当たるかどうかについては当たらないとする東京高裁判決があるが、有力説である江頭先生があたるとしているし、最高裁判断は出ていないのでどうなるか分からない。そこでMBOの際には株主共同の利益に配慮する義務違反に当たらないように、公開買い付け価格設定の際は外部の判断をいれたり、株主に対する強圧性が働かないようにする等注意をしなければならない。
レックスHD損害賠償事件の東京地裁判決では、一般論として役員の会社に対して負う義務として「株主共同の利益に配慮する義務」が認められた。
判決文によると、営利企業たる株式会社では企業価値の向上を通じて、株主の共同の利益を図ることが一般的な目的となる。→役員は会社に対して忠実義務(会社法355条)を負うのだからその一貫として株主共同の利益をはかる義務を負うということらしい。
地裁レベルであるが、役員の会社に対する義務として「株主共同の利益を配慮する義務」を認めた判決として注目される。
この会社に対する義務を考えるにあたっては「会社は誰のものか」という視点が大きく影響を与える要に思う。
会社を興したのは経営者であって株主は単なる資金提供者にすぎないという考え方もあろう。その場合には資金提供者という意味では株主は銀行などの債権者と同列の地位に成り下がる。そうすると「会社≠株主」ということ なり、会社に対する義務を負うに過ぎない役員は、直接株主に対して責任を負うことはない。
逆に会社は株主のものであり「会社の利益=株主の利益」と考えるなら役員の株主の共同利益に対する配慮義務が肯定されるほうに議論は進むであろう。
会社は誰のものかという問題、役員の会社に対する義務の内容の問題、これらはどちらも会社法設計の上で中核に位置する問題であるが、それがどのようなものかについての共通認識は未だ確立できていない。
判決文によると、営利企業たる株式会社では企業価値の向上を通じて、株主の共同の利益を図ることが一般的な目的となる。→役員は会社に対して忠実義務(会社法355条)を負うのだからその一貫として株主共同の利益をはかる義務を負うということらしい。
地裁レベルであるが、役員の会社に対する義務として「株主共同の利益を配慮する義務」を認めた判決として注目される。
この会社に対する義務を考えるにあたっては「会社は誰のものか」という視点が大きく影響を与える要に思う。
会社を興したのは経営者であって株主は単なる資金提供者にすぎないという考え方もあろう。その場合には資金提供者という意味では株主は銀行などの債権者と同列の地位に成り下がる。そうすると「会社≠株主」ということ なり、会社に対する義務を負うに過ぎない役員は、直接株主に対して責任を負うことはない。
逆に会社は株主のものであり「会社の利益=株主の利益」と考えるなら役員の株主の共同利益に対する配慮義務が肯定されるほうに議論は進むであろう。
会社は誰のものかという問題、役員の会社に対する義務の内容の問題、これらはどちらも会社法設計の上で中核に位置する問題であるが、それがどのようなものかについての共通認識は未だ確立できていない。