羽生選手の演技、見事でしたね。最初の五輪で、しかも緊張張りつめる最終滑走で、あのパフォーマンス! 文句のつけようがないけれど、あまりにも出来のいいスタートに、ちょっと鼻白んでもしまいました。
今回、4度目(!)の五輪出場を果たしたプルシェンコ選手(以下、プル様)だって、最初のソルトレイクでは出足で躓きました。SPで転倒し、まさかの4位。そのときの強烈に悔しそうな表情を忘れることができません。そして、続くFSで、そりゃもう笑っちゃうくらいのパフォーマンスを繰り広げたのです。「金メダルが欲しぃぃぃー、金じゃなきゃイヤだー!」とジャンプを飛びまくり、氷上でこれ以上ないくらいに大暴れ。結果、銀メダルをもぎ取ってみせました(このときのプログラムは「やけくそカルメン」と検索するだけで観ることができます)。ときにプル様、今の羽生選手と同じ19歳でした。
続くトリノ五輪では、文句なしの金メダルに輝きます。SP、FSともに1位のぶっちぎり。もう強過ぎちゃって、「皇帝」とか「宇宙人」とかいろんなニックネームがつきました。エキシビジョンでは、葉加瀬太郎チックな友人のバイオリニストを氷上に招き、生演奏に合わせて踊るというやりたい放題も(検索は「トスカ プルシェンコ」)。とにかく濃いんです、過剰なんです。私の友人はみんな、プル様が嫌いです。「うざい」んだそうです。確かに。
その後、バンクーバー五輪に出たときは「なんで引退しないの! もう金取ったんだから、若者の邪魔しないでよ」となぜか私が罵倒されました。でも、プル様の業は限りなく深いのです。指先を伸ばして夢を掴み取った後もまだ満足しないのです。31歳になったプル様が祖国の五輪で描こうとしているドラマの筋書きにも、ぜひご注目ください。