高仕掛けの糸ヨレ対策 | T.Tの釣行記録

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「高仕掛け」は10mを超える長ーい仕掛けです.このため,いつの間にか幹糸にエダスがクルクルと巻き付いていたり,何故か結ばれていたりと,トラブルが発生しがちです.糸ヨレ対策をすれば,トラブルを減らせることがわかってきました.この1年間,いろいろな対策を試してきましたが,現在,落ち着いている対策を紹介します.
 
どうやら,糸ヨレの原因は,オモリが海底を擦って回ってしまうことのようです.スイベルを入れているから解消されるはず・・と安心してはいけません.実は,オモリの重さによるテンション(張力)は意外と強く,テンションがかかっている状態ではスイベルはほとんど回らないのです.そうすると,回転エネルギーはゼンマイが巻かれるようにどんどん仕掛けの幹糸に蓄積され,トラブルが発生するわけです.しかし,ボールベアリングだけは別です.張力がかかっていてもクルクルと回ってくれます.高価な点が難点ですが,現時点では,これを使うしか解決策はなさそうです..
 
下図(左)は代表的な高仕掛けです.上下にスナップ付きスイベルが付いていて,上側にPEラインを,下側にオモリ(シンカー)を取り付けます.加太ではオモリは30号統一です.高々112グラムなのですが,スイベルにとっては結構なテンションとなります.一方,下図(右)は対策をした仕掛けです.ナイロン疑似餌の区間をボールベアリングでサンドイッチする構造になっています.なお,PEラインの先がロック付きボールベアリングであれば,仕掛けの上側は普通のスイベルでも問題ありません.スナップとスナップを繋ぐとライントラブルも多いので,スナップ付き+スナップ付きの接続は避け,スナップ付き+スイベル(またはその逆)として,どちらか片方のスイベルがボールベアリング仕様となっていればOKです. 一方,下側のボールベアリングの先には,フロロ3号の短い捨て糸(10~20cm)を結び,スナップ付きスイベルを介してオモリを取り付けます.海底の岩などにオモリが当たって回転すると,ある程度はスナップ付きスイベルが回ってくれますが,一部の回転は上に伝わります.その漏れて伝わってしまった回転をボールベアリングが解消してくれる仕組みです.
 
下図は,オモリ付近における糸ヨレ対策の比較について示したものです.実際に糸を結んでオモリを回してみて,挙動を実験的に確認すると,結果は以下の通りでした.
(A) スナップ付きスイベルだけでは,回転エネルギーは上に伝達してしまいます.なお,スナップ付きスイベルを,DスイベルSSなどにすることで,ある程度の対策が可能です.
(B) スナップ付きのボールベアリングを用いれば,回転エネルギーはほぼ上に伝わらないで済みます.しかし,根掛かりして結びコブの箇所で糸が切れると,高価なボールベアリングを失うことになります.
(C) 捨て糸の中間地点にスイベルを挿入すると,2個のスイベルの回転が改善されるように見えます.しかし,実験してみると,シンカーに直結されたスイベルから漏れる回転トルクはごく僅かで,中間スイベルが回転するのに必要な第1摩擦係数を超えられず,中間スイベルは回りませんでした.かなり強めにオモリを回せば回るのですが..捨て糸や幹糸に回転エネルギーが蓄積される問題は大きくは改善されません..
(D) 捨て糸の中間地点のスイベルを,回転性能の良いDスイベルSSWクレンにすると,(C)の状況は少し改善されます.経済的な方法です.
(E) 中間スイベルをボールベアリングにすると,オモリ直結のスイベルから漏れてきた僅かなトルクでもボールベアリングは回転し,幹糸の糸ヨレは発生しにくくなりました..実験してみて,一目瞭然でした.
 
ロック付きボールベアリング(道糸PEの先用)とボールベアリング(捨て糸の中間挿入用)です.大きすぎると糸がらみが発生しやすくなり,小さすぎると取り付けにくくなります.4号と3号のサイズが丁度良い感じです.1個150円ですが,一投一投を大事にしないといけないマダイ釣りでは,高くはないかもしれません..
 
Wクレンと自作Wクレンです.ボールベアリングと比して経済的なメリットがあります.
 
DスイベルSSです.シングルなのに回転性能はWクレンと同等です.小さいサイズほどよく回ります.オモリ用には6号ぐらいが丁度良い感じです.再利用の場合は回転性能のチェックとメンテナンスを欠かさないようにしましょう.
 
ボールベアリング(4号)の回転性能の動画です.サイズにあまり関係がなく,よく回ります.30号のオモリを付けています.水中では浮力があるため,何割かはテンションが軽減されます.
 
DスイベルSS(6号)の回転性能の動画です.小さいサイズの方がよく回ります.これでもサクサスはよく回る方です.一般のスイベルの回転動画については割愛します.
 
これらの動画はスイベルの上部を直接ドライバーで固定し,撮影しています.2枚目の図のように幹糸を結ぶと,中間スイベルとしてボールベアリング(またはWクレン)を挿入したとき以外では,ほぼ回りません.オモリを回すことで糸がヨレるだけです.この記事の冒頭で「ボールベアリングを使うしか解決策はなさそう」と書いた理由です.船で高仕掛けを回収するときに,幹糸をしごきながら(糸よれをほどきながら)上げたりもしましたが,不思議と,余計にヨレてしまいました・・・.
 
ナイロン疑似餌の中間地点(6本針の中央: 上3本~下3本の部分)にスイベルを挿入したこともありましたが,仕掛けを上げているときはスイベルをマグネットに貼らないとけいないし(絡み防止のためです),糸ヨレはオモリの近くで食い止めた方が効果が高いことから止めました.上記の捨て糸の中間ボールベアリング/Wクレンはマグネットに貼る必要はありません.オモリと一緒に端に置いておけば良いだけです.
 
胴突き仕掛けでは,常にほぼ一定のテンションが仕掛けの幹糸にかかっています.普通の短い仕掛けであれば,ヨレが気になることは少ないようですが,高仕掛けのように長ーい仕掛けでは,糸よれ対策は必須となります.

このつたない情報が皆さんの参考となりますことを願って.