【繰り返す膀胱炎のメカニズム】
GSM(閉経関連尿路性器症候群)により、尿道周囲「粘膜」、腟内の粘膜の萎縮がおこり、粘液が減少、乾燥のため、乳酸菌類(マイクロバイオーム)活性低下がおこる。更年期以降に発症しやすくなる「膀胱炎」についてはご理解頂けたと思います。
【基本的治療】 陰部が乾いた状態ではマイクロバイオームの活性(乳酸菌類)を低下させるため、保湿が大事です。
手や顔を洗いすぎるとカサカサする方は、ハンドクリーム、乳液など保護されると思います。
【陰部粘膜の再生】萎縮した粘膜の再生には「ホルモン補充」あるいは「レーザー治療」が有効です。
【背景】
近年、陰部へのレーザー治療として、Er.YAGレーザー(インティマレーザー®)はCO2レーザー(モナリザタッチ)につぎ本邦でも広がりを見せています。
「腟レーザー」「腟の引き締め」など美容医療のイメージが強い、陰部のレーザーですが、
女性泌尿器科領域(特に陰部の免疫機構)には欠かせない治療機器と考えています。
【粘膜の再生機構】
高エネルギーのレーザーが粘膜にあたると、組織障害が起こります。この組織障害を修復しようと身体の成長因子などのサイトカインが働きます。また、高エネルギーで障害を受けた粘膜は、次の「レーザー攻撃に備え」ます。
この生体の防御機構が素晴らしく「粘膜内にコラーゲンを敷き詰め、レーザーからの障害に備えます」
ふっくらした粘膜は、粘液産生し、粘液保持能力が高まります。「陰部に潤い」が戻ると「マイクロバイオームの活性」が復活し、陰部が「酸性」に戻ります。
【レーザー前後】 腟粘膜の様子です。
上図:膿が付き所々に発赤がある腟粘膜 PH8.5
上図:レーザー治療後:膿はなくなり細かな皺が復活する PH5
上図:尿道内の粘膜が露出、粘膜の血管が透過している。
上図:尿道がしまり尿道内の粘膜が見えなくなり、血管も粘膜が厚くなり見えない
【陰部へのレーザー治療の利点】
当院では美容目的のレーザー治療はあまり行っておりませんが、繰り返す膀胱炎の方には粘膜再生により潤いが戻る効果があり、膀胱炎再発の可能性が低くなります。
【レーザー治療の欠点】
粘膜の状態によってはレーザーによる火傷で痛みが生じる場合やレーザー照射によるリンパ液の漏出が一時的に起こることがあります。陰部や腟内の粘膜の状態を確認し、エネルギー量を調整する必要があるのはこのためです。
保険診療が適応されず、自費診療となるため経済的負担があります。
【自費価格】
繰り返す膀胱炎でGSM(閉経関連尿路性器症候群)の診断で、レーザー治療される際は以下の料金となります。
1回のみ 55,000円(税込)
3回セット 132,000円(税込)
4回目以降 44,000円(税込)
料金案内|日本橋骨盤底診療所|外科治療専門 (npfclinic.jp)