関連痛をご存じでしょうか?放散痛と言われることもあります。

 原因となる部位とは異なる場所で感じられる痛みや不快感の現象を指します。この痛みの感じ方は、しばしば原発症状と呼ばれる部位の障害や疾患に起因しています。

 例えば、心臓の病気の代表、心筋梗塞や狭心症の場合、本来ならば胸部に痛みが生じるべきですが、関連痛として歯や腕にも痛みが広がることがあります。研修医の頃はそういった関連痛(放散痛)を見逃さないようにと、救命センターをローテーションした際、上級医に指導されたことが懐かしいです。

 同様に、泌尿器系の問題でも関連痛が起こります。

 尿管結石が代表的な例で、石が尿管を通る際に、陰部に痛みを引き起こすことがあります。また、急性陰嚢症(精索捻転)では、陰嚢の痛みではなく、下腹部の痛みとして現れることがあり、診断が見逃されると精巣壊死に繋がり泌尿器救急では注意が必要な疾患があります。

 その他にも頻尿や残尿感、陰部痛、陰部不快感を生じる関連痛があります。

 膀胱と接する部分にある筋肉(内閉鎖筋や錐体筋)に痛みが生じると、下腹部の痛みや不快感、頻尿、残尿感などの症状が現れます。中でも恥骨に付着する筋肉は内閉鎖筋と錐体筋が膀胱と筋膜あるいは結合組織で連結しています。

 内閉鎖筋の疲労は長時間の座位や立位でも起こります。内閉鎖筋のストレスがかかられる方は腰痛や肩こりがとても多いです。

これらの痛みや症状は、姿勢の改善や適切な運動、ストレッチによって緩和され、予防にも役立ちます。

結論:関連痛の原因がどこにあるのかを精査すると、意外な治療法が見つかるかもしれません。