まさか今年中に奈良を再訪するとは思わなかった。昔から奈良国立博物館の正倉院展は行ってみたいと思っていた。今回は香木の蘭奢待(らんじゃたい)が出品されるというので実物を観たくなった。
チケット予約がはじまるとすぐに開幕2日目、日曜朝イチの枠を取り、万全の態勢で奈良へ。
到着は昼過ぎ。
まず薬師寺へ。
5月に行ったばかりだが、今回は母の病気平癒を祈ろうと思った。
薬師寺金堂には薬師如来が安置されている。春にも観たはずなのに、荘厳な雰囲気にのまれ、圧倒されて金堂を出る。
その後、「30分法話」というイベントが開催されると知り、お話を伺う。わかりやすく、話も面白くてあっという間だった。「薬師如来はお医者さんで、脇に安置されている日光菩薩、月光菩薩は昼と夜の看護師さん」との説明に、ありがたい仏様だと思った。
夜は奈良交通が企画する若草山から日没と夜景を観るツアーに参加。車を運転しないので、若草山山頂へ行くのを諦めていたから、ツアーを見つけた時に大喜びで申し込んだ。
…で、あいにくの雨。(傘はバスの貸出し)
風も強く、寒いが、憧れの地だけに景色は素晴らしい。ただ、午後4時から6時という時間帯は、時期的に少し早かったようで、完全な夜景になりきる前にツアー終了となる。
もちろん天候は残念なのだが、来られた喜びが勝つ。ガイドさんの説明も良かった。それなりに満足して初日終了。
翌朝、いよいよ正倉院展。
開幕2日目の朝8時の回だ。期待しかない。
まずは蘭奢待。まだ比較的に空いていたため、一周して眺めることができた。時の権力者がこの香木を削っており、研究によると少なくとも38回は切り取られた痕があるとのこと。織田信長が切り取らせたのもわかる。
次に古文書に目が向いた。
戸籍に記載された役人の几帳面で丁寧な筆跡。役人が根を詰めて書いたとたやすく想像できる。
一方で、大仏造立時の砂金の使用許可や、施薬院への薬提供の許可を光明皇后(聖武天皇の皇后。藤原氏出身で、人臣初の皇后)が与えているのだが、その書類に記された彼女の「宜しい」という意味の「宜」の一字の力強いこと。人柄がわかる字だった。
一番心にささったのは、大仏開眼供養の時に導師と結ばれた紐が出展されていたことである。1300年前に開催された式典で使用された(とされる)品が残っているのだと心が動かされた。それは青い紐だった。当時、相次ぐ天災、流行病などに対し、すがる思いで造立された大仏である。参列した人々はどういう思いで紐を持ったのだろうか。その後で、動員された民衆の大きな犠牲のもとで造立されたことも心をよぎる。複雑な心の揺らぎ。
この旅の次の目的地は大阪・堺。
初めて行くのだが、前方後円墳が見たい。
念願だったのが、この10月から上空100mから古墳が見られる「おおさか堺バルーン」の運行が始まったことだ。当然予約済みである。
早速、予習のため、現地へ行ってみる。
これが大仙陵古墳、大きすぎる!
そして、雨にもかかわらず飛んでる!
大仙陵古墳(仁徳天皇陵)は世界最大級の権力者の墓である。実際に半周してみて大きさを実感。
であれば次は、上空から見てみたい!
予約は月曜日。予報は晴れ。期待が膨らんでホテルで一泊。
翌朝、晴れ。さっそく現地へ。
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…あれ?
なんと、運航中止。10mの強風とのこと。
上空から見てみたかった。
もう一度、挑戦かなぁ。
行き当たりばったりの旅ばかりしているのに、夜景ツアー、気球と、予約したものばかりが不発に終わった。あぁ、欲張りすぎたのかもしれない。