演劇を観てきた。
劇団昴ザ・サードステージ『フツーの生活 長崎編』
中島淳彦作・北村総一朗演出
原爆とはまったく関係のない普通の人々が、終戦間際の病室で交錯する。戦争への向き合い方も、考え方も関わり合いもまったく異なる。そんな人々の生活が理不尽にも突然に終わらせられていく。
いろいろな普通の人々の生(せい)に圧倒された。普通だけど精一杯の生が伝わってきて尊かった。だからこそ、動かしようのない結末に向けて、ハラハラし、傍観するしかない自分の無力さを思い知らされた貴重な時間となった。病室の窓の外に長崎の景色が描かれていたのだが、人々の生活が見えるかのような美しい背景だった。
当然のことながら、戦争の経験などないけれど、どの年代で戦時体制に組み込まれたのかで戦争に対する捉え方が違っただろうと思っている。だから、戦争をテーマにした作品に触れるとき、昔から、自分ならどう考え、どう行動しただろう、と想像しながら観る。ただの妄想にすぎないが、思いもつかないからこそ、そのような事を考えてしまうのかもしれない。ちなみに、登場人物である軍隊忌避のために詐病する男、ズルくて共感しづらいが憎めない。だが、生き方としては自分に正直だと感心する。自分ならどう生きただろうか、いまだに悩んでいる。劇後には音楽付朗読劇『原爆詩を読む』を続けて観た。峠三吉、原民喜はもちろんだが、子どもの詩が心に突き刺さる。子どもたちのとてつもない体験にグッときた。
公演の前と後、入口付近に演出の北村総一朗さんが立ってらっしゃった。戦争を経験された方の想いを自分は少しでも受け止める事ができたであろうか。帰り道、ルノワールで奮発コーヒーを飲んで心を落ち着けた。
