外せぬ用事ができてしまったため、落語会のチケットを譲ろうと親の家へ。そうしたら寿司をとるという。親の気持ちもありがたいが、年金生活者にたかっている気がしなくもなくて断ろう押し問答が少々。せっかく来たからという気遣いだろうし、親の好意を受けた方が良いとは思うが、物価上昇の昨今、申し訳なさが上回っていた。

 それでも押し切られて寿司の流れになったのだが、年金暮らしのくせに余計な気遣いすんな、と思っていたのも事実だった。

 そうしたら今度は母が腕が痛いと言ってきた。鍵を開ける時に痛い、と言っており、どうしたのか尋ねると、五十肩の影響だと言う。

 では、動画でストレッチのようなアドバイスでもないか探そうとスマホで検索していた時にどうやらニヤついていたようなのだ。それが母の気に障り、イラついた声で笑い事ではない、と言われた。

 ここで素直になれないのがこじらせた息子である。そんな辛い思いまでして息子の接待など望んでおらぬ。じゃあ帰る、となり、かなり険悪なムードになった。父がとりなそうとする。

その際、母が「最近、お前によくあたられる。」との言葉が、引っかかった。どうやら、自分が昔話か何かで、初めての子である自分に対するしつけが厳しかった、と話したことがあったのだが、その発言が、母は気になっていたようなのだ。

 最近。母は思いこみが激しいと感じることがあって、(少し前に不確かな不審者からつきまとわれていると訴えてきたことがあった件)今回の「お前にあたられている」発言も、被害妄想的な思い込みだとも思えた。ただ、その時は何気なく発した言葉だったが、確かに自分の言葉だし、母はそれに引っかかっているのだから、解決はできないまでも母の気持ちを解くことはしておきたいと思った。険悪なムードだったので帰りたくて仕方なかったが、話したいことがある、と言うと母は嫌がった。努めて冷静に自分が母を非難したい気持ちはなく、何気ない言葉だったが、それが引っかかっていたなら謝る、と言うと、母も、最近の自分とのやり取りから、あたられている気持ちになるのだと言っていた。

 話は弾むはずもなく、このやり取りで母の誤解が解けたのかはわからない。ただ、些細な言葉が親子間であってもわだかまりを抱かせるということを痛感した。本当にコミュニケーションは難しい。結局、寿司は食べずに帰宅。じゃあ、寿司食べようかな、という言葉が最後まで出なくて、そこは素直になれなかった。

 帰りながら後悔。大きく反省をした1日だった。少し引きづるかもしれない。