2024年4月25日~27日に横浜で開催された
第111回 日本泌尿器科学会総会に参加ました。
3日間、フルに参加することができたのですが、
勉強したことが多すぎて現在整理中です。
それで忘れないうちに自分の発表の報告から・・・
4月27日(土)最終日に
ポスターディスカッション
(女性泌尿器科部門)
で発表しました。
一般演題のポスター発表です。
発表内容を書いたポスターを張って、口演時間になったらスライドを使って要点を説明するというハイブリット的な発表です。
発表前に座長の先生に内容を説明し質疑応答を受けるという、なんだか初めての形式でとても戸惑いました。
タイトルは、
Exploring Surgical Approaches in Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome: A Clinical Analysis
(当院における間質性膀胱炎・膀胱痛症候群手術療法の臨床的検討)
去年から日本泌尿器科学会総会は
抄録と発表スライドは英語指定
になっているのです。
発表は日本語でOKなのですが。
発表中の著者
内容としては
南里泌尿器科医院で間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の患者さんに対して行った手術療法(ハンナ病変の手術や膀胱水圧拡張術)を見直して再検討した、
ということです。
日常の診療で疑問に思っていることが、
①なぜハンナ病変の診断は難しいと言われるのか?
→ NBIシステムは診断のために必須なのか??
②なぜ、ある病院で「膀胱痛症候群だ(ハンナ病変はない)」と言われた患者さんが別の病院で「ハンナ型間質性膀胱炎だ(ハンナ病変がある)」と言われることがあるのか?
③そもそも「膀胱痛症候群」に対して膀胱水圧拡張術を行うことに意義(効果)があるのか?
という3点でした。
今回の検討(研究)で自分なりの見解というか仮説ができたというのが発表内容です。
まだまだ検証が必要なのですが、
今回の結論としては
①、②自分でハンナ病変がないと診断して治療した患者さんの膀胱生検の結果が「ハンナ型間質性膀胱炎」の病理像だった症例が1例あった。
→ 小さなハンナ病変の見落としかも?
ハンナ病変の中には肉眼では分かりにくい例がある!
NBIだと気づけるのかも?
だから小さな病変もハンナ病変だと認識しているDrと明らかに肉眼で分かるものだけをハンナ病変だと解釈しているDrとの間には見解の違いがでる?
③膀胱痛症候群として膀胱水圧拡張術を行ったけど、全く異常(点状出血などの変化がない)患者さんの病理組織を見直すと明らかな炎症細胞浸潤を認める例があった。
→ 膀胱痛症候群と思っていたのに炎症がある!
どんなに頑張ってもハンナ病変は見えないけど、病態は間質性膀胱炎(ハンナ型)と同じタイプの例がある??
病理学的にはハンナ型??
→ 目には見えないハンナ病変があるのかも?
そしてこれらの患者さんは術後に症状が良くなっていました。
ということで、今までは膀胱がんの鑑別目的で膀胱生検を行ってきましたが、
診断目的の膀胱生検にも意味があるのではないか?
ハンナ病変が肉眼的に確認できなくても組織検査(顕微鏡検査)で膀胱壁に明らかな炎症があれば「ハンナ型間質性膀胱炎」として治療してもいいのではないか?
という説を考えたのです。
今回の発表は「女性泌尿器科部門」での発表でした。
「間質性膀胱炎」の部門が無かったのです。
だから私以外の発表は全部「骨盤臓器脱」に関するものばかりでした。
だから間質性膀胱炎をたくさん治療しているDrが会場には多くなかったのですが、それでもいろいろたくさんの質問を受けました。
もっと検証が必要なので今後の課題にしたいと思っています。
それで、この発表が今回の
第111回日本泌尿器科学会総会
ポスターディスカッション
女性泌尿器科部門の
ベストポスター賞
に選ばれました。
困惑しながら表彰されている著者
全く予想していなかった、
というよりベストポスター賞があることを学会会場に来るまで知らなかったのでとても驚きました。
当然ですが、医院からは私一人が学会に参加しているので、せっかく賞を頂いたのに誰も写真を撮ってくれる人がいない・・・残念、
と思っていたら佐賀大学泌尿器科医局員の後輩や間質性膀胱炎とは全く関係がない製薬会社の担当MRさんが会場にいたようで写真を撮ってもらえました。
たぶん、もう2度とないことなのでとてもありがたかったです。
応援に来てくれていた佐賀大学泌尿器科医局員の先生と著者
でも、これからも自分の成長と患者さんの未来のために少しでもいい医療を提供できるよう間質性膀胱炎のことも他の泌尿器科疾患のことも勉強を続け向上していこうと思います。
※これからしばらくは間質性膀胱炎以外の内容が続く予定です。
他の泌尿器科疾患や医院の日常、単なる趣味のことなどになるのでご容赦ください。