「超人たちの人体」 | 羽生結弦さんの見つめる先を見ていたい

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羽生結弦選手を敬愛しています。羽生さんを応援する素敵ブログ様方を日々の心の糧にしている、ソチ落ち主婦のブログです。(横浜在住)

追記です。 
いよいよ明日からTOKYO2020回幕とあって、平昌メダリストからもエールが届きました。
羽生くんはトップバッターです。

 

 




NHK『超人たちの人体』

今朝、朝ドラのあと、そのままNHKを観ていたんです。そしたら、↓



IPS細胞でノーベル賞を受賞された山中伸弥教授とタモリさんの対談形式の番組です。
タイトルと出演者に一目で興味を引かれ、録画しつつ視聴したのですが、トップアスリート達の人体の秘密に迫るその番組は、ものすごく面白かった。
各トップアスリートの鍛錬法は、私に言わせれば羽生くんに当てはめられることも多く、腑に落ちる内容満載のお宝番組でした。



水泳の世界選手権6冠のケレブ・ドレセル選手。100mバタフライのラスト25mを無呼吸泳法で泳ぎ切る水泳界の超人。


脅威の無呼吸泳法を可能とする肉体の秘密は、その呼吸法にあり!
キーワードは【胸鎖乳突筋】


運動生理学者は語ります。
短い休憩時間にたくさんの酸素を素早く体内に取り入れなければなりません。

そのためには横隔膜だけでは不十分です。酸素をより効率的に取り込むためには、胸鎖乳突筋を使う必要があります。


胸鎖乳突筋を使って、胸骨と鎖骨を持ち上げると、肺が一気に広がるため、瞬間的にたくさんの酸素を取り入れることができます。」


【胸鎖乳突筋】

胸骨 鎖骨 乳様突起をつなぐ筋肉。

(中略)
頭を固定している時には、呼気筋として作用する。


ドレセル選手の場合は、
身体に極限まで負荷をかけるトレーニングを繰り返した結果、この胸鎖乳突筋が発達し、結果、肺活量を高めることができ、ラストスパートの無呼吸泳法を可能にしているというのです。


まさに超人の肉体です。


そして番組を観ながら、ドレセル選手の話で思い出したのは、羽生くんのこの写真。



一見すると華奢に見える羽生くん。
でも、この首の「胸鎖乳突筋」がくっきりと盛り上がり発達している様が、見ただけでわかります。
言い換えれば、羽生くんもまた、この筋肉が発達するほどの負荷のかかる厳しいトレーニングを日々自分に課しているということ!


思い起こすのは、
あの2012年ニース世選のロミオ。
FS後半、チアノーゼ(血中の酸素不足)を起こしたのかフィニッシュした顔は血の気がなく唇は真っ青でした。
私は動画で観ただけですが、それでも睨むような強い表情と瞳の輝きが印象的で、決して忘れられません。世選初出場で見事、初表彰台です


2014年のソチ五輪の頃までは、FSを滑り切る体力に不安があり、フィニッシュと同時に崩れ落ちて立ち上がることも辛そうだったことが何度かありました。
初オリンピックで、金メダルです。

2021年3月の世選FSは喘息の発作の兆候がある中での演技で、まさに鬼気迫る様相でした。肺に思うように酸素を取り込めない状態での演技は、どんなにか辛かったことでしょう。
それでも最後まで滑りきり、表彰台に乗りました。


FSはSPと比べて長丁場ですから、必ず中ほどに息継ぎのパートがあります。↓例えば、SEIMEIならば、しゃなりしゃなりのスクロールの後、この立ち止まって右手で半円を描く振り付けが息継ぎポイントです。

そのパートで、短時間内にいかに効率的に深呼吸できるか、より沢山の酸素を肺に送り込めるかは、後半の体力を維持する上での最重要ポイントです。
喘息の持病がある羽生くんは更に切実です。

でも羽生くんはその持病に屈することなく、その弱点を克服すべく地道に鍛錬を続けました。
 
「FSを滑り切るには800mを全力疾走するくらいの体力が必要だ」とは、佐野稔さんの弁だと思いますが、羽生くんはカナダにいた頃、その辛いランスルーを幾度となく繰り返すという、追い込み特訓をしたとインタビューで言っていました。
発達した「胸鎖乳突筋」はその賜物なのでしょうね。

そして、羽生くんの進化へのチャレンジは五輪連覇を果たした今も現在進行形です。
体幹とインナーマッスルを鍛え、柔軟性を磨き、更なる新しい技の習得を目指しています。

壁を越えるには、内臓や筋肉まで進化させなければならない。
そのアスリートの魂たるや、凄まじいものがあります。

山中伸弥教授の言葉


「超人の選手たちは努力で特定の筋肉とか体の形を変えていく。

これはもうただの適応というよりは『超適応』。




タモリ:金メダルを取るような選手って、才能と努力何%ずつくらいだと思いますか?

山中伸弥:才能も努力も大切ですが、間違いなく言えることは、「超人的な努力を長時間ずっと続ける才能がある人たち」だと思います。


華麗な衣装に隠され、一見して細いように思われる羽生くんですが、その身体はスケートに必要な筋肉にしっかり覆われています。

それらは全て、身体に負荷をかけるトレーニングの中で培われたもの。


そうして出来上がった身体を余す所なく駆使してリンク上を自由自在、音にピタリと合わせてジャンプを跳び、スピンを回り、ステップを踏みつつ、四肢全部で音楽を演じ舞います。

競技でありながら、観衆は惹き込まれ、歓喜に酔いしれます。


芸術性と競技性、この特異なフィギュアスケートという競技のなかで、

彼もまた、「努力を続ける天才」であり「超人」です。


ジャンプのトレーニングで腹斜筋が鍛えられた結果、美しい腰のくびれを保つ羽生くん。

今現在は、前人未到の4Aを目指して、原点に立ち返り、アクセルに必要な基礎練習を効率的に、しっかり積んでいる最中だとのこと。(Number対談より)



どうか、怪我なく、羽生くんが目指す「努力の正解」に一日も早く辿り着けますよう!

心からお祈りしています。




それと、

山中教授は仰いました。


「超人の選手たちの『超適応』、この成果のひとつの頂点をオリンピックやパラリンピックで見ることができると思います」


今回のオリンピック、私も、心して選手の方々の頑張りを拝見し、応援させていただきます。

m(_ _)m




↓お台場の日本科学未来館で「超人たちの人体展」も開催中のようです。

長々とお読みくださり、ありがとうございました。
「アスリートの脳の進化」についても紹介したかったのですが、力尽きたので、それはまた近日中に。



画像は感謝してお借りしました。


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