今日も少しだけ、体操の話題。
昨日は、内村航平選手の五輪代表入り決定に沸いた1日でした。
32歳、その競技の適性と言われる年齢を越え、レジェンドと目される内村さんの活躍は、羽生くんにも大きな勇気と活力をもたらしたことでしょう。
本当におめでとうございます。
昨日の午後のテレビ中継で、鉄棒は上位4人の選手の演技を観ましたが、そこで気づいたことを、ちょっと書きますね。
内村さんはもちろん、4人全員、本当に演技姿勢が美しい!
回転していても、離れ技の最中でさえ、両足はきちんと揃えられ、つま先もピンと伸びていて、美しいとしか言いようがない。
その点では、素人目には全員が甲乙つけがたいほどで、技の難度差や実施回数の違い、繋ぎの滑らかさの有無が最終的な順位を決定付けたように感じました。
他の種目でも、跳馬でも、鞍馬でも、全ての種目のトップグループの演技には「美」がありました。
この日本体操全体の持つ「美しさ」は、やはり内村航平選手の長年の活躍が寄与するところが大きいと思います。
常に「美しい体操」を目指し実践する「レジェンド」。
その、競技に向かう一貫した姿勢と存在は、後輩達への素晴らしいお手本となり、結果として全体に正しい技術と精神の有り様をもたらしているのだと思います。
まさにその美学の実践を観せていただけた喜び!テレビを通してでさえ、観戦の醍醐味、充実感を味わうことができました。
ひるがえって、フィギュアスケート界。
ここには「羽生結弦」がいるのです。
羽生くんもまた、日々精進して高い技術を習得し、常に音楽と一体となった美しい演技を目指す、五輪2連覇の「レジェンド」です。
後輩スケーター達にしてみれば、全日本やアイスショーの現場は間近で「羽生結弦」のポリシーや演技姿勢に触れる絶好の機会のはず。
↓SOIの舞台裏のニュース動画、約3分です
フィギュアスケートの後輩選手の皆さんも、志を高く持ち、労を厭わず、日々研鑽できる環境にありますように、と祈らずにはいられません。
皆が正しい技術を習得し、音楽と一体化した芸術性の高い演技を目指し出したら、フィギュア界の未来は明るいものになっていくはずなのです。
今はまだ夢だけど、羽生くんが愛するフィギュア界が将来、そんな「スポーツ」&「アーティスティック」な世界へと向かうことを夢見ずにはいられません。
ところで、
国際体操連盟(FIG)は2018年に富士通と共同で開発した「採点支援システム」の採用を決定し、2020年東京五輪での活用を目指しているそうです。
実際に、2019年の世界選手権からは試験的に導入されているというニュースも読みました。
体操採点のAI化は、着実に歩みを進めているのですね。
体操連盟は公正で正確なジャッジングの必要性を理解し、実行できる団体だと、良く分かります。
一方で、同じく採点競技であるフィギュアスケート界はどうでしょう。
AI化どころか、ジャッジングはいまだ目視に頼り、検知カメラはたった1台、更に増設要請すら無視している状態です。
この点でも、体操界を羨ましく感じてしまうのです。
余談ですが、
体操競技と言えば、私には忘れられないシーンがあります。
それは、リオ五輪の男子個人総合後の記者会見での出来事でした。
僅差の競り合いの末、内村選手が最終種目の鉄棒で逆転し、見事に五輪2連覇を果たしました。
なんと、2位とは総合点で僅か0.099点差!
そのためか、決勝後に行われた記者会見では内村選手に外国人記者からこんな質問が飛び出しました。
「審判から好意的に見られて同情されている(から勝った)のでは?」
非常に意地悪な質問でした。これに怒って割って入ったのは2位のベルニャエフ選手(ウクライナ)(写真、左下)で、
「内村はキャリアの中で高い点数を取ってきたんだ。今のは無駄な質問だと思う!」
と、ピシャリ!この失礼な質問を一蹴してくれたのです。実に爽快でした。
彼はその後「俺は伝説の男と戦えて光栄だった。」と内村選手へのリスペクトを表明してくれています。
なんたる、スポーツマンシップ!
これぞ、男気!
競技では正々堂々と渡り合い、
誹謗中傷には決然と対応し、
自分の意思の表明をためらわない。
真のアスリートとは、心身ともに成熟した人物なのだと深く感じ入った、エピソードです。
嬉しいことに、個人総合の後の種目別競技で、この勇敢なベルニャレフ選手は平行棒の金メダルを獲得しました。
文中の写真や動画は感謝してお借りしました。
m(_ _)m