格子戸をそっと開ける。
今まで歩いてきたのアスファルトの道の記憶を一瞬忘れる。
格子戸をそっと開ける。
古い瓦を博多壁風に規則正しく縦に置いた通りを歩く。
両側には程よい大きさの石が並ぶ。 奥に行くにしたがって少しずつ背の高くなる木立は玄関の奥行きを感じさせる。
正面の小さな明かりが迎えてくれる。
一歩あがった扉の前の小さな空間の奥には、備前焼きのつぼ、天井からは銅で出来た吊灯篭。
ここから右手の扉を開けるまでの短い距離の中に
訪れた人を街の雑踏から静かな一昔前へ、違う世界へ引き込む不思議な空間がここにある。
ここは・・・・・・・・
埼玉にある私の実家の玄関口
父が、それまでどちらかといえば味気の無い無機質な玄関へのアプローチを、こつこつと今の形に作り変えて行った。
僕の子供の頃の記憶とは全く違う空間。
実家を訪ねるたびに少しずつ変わるこの玄関口。
毎回、うれしそうにこの玄関を見せてくれる父。 ちょっと怒りっぽくて、昔は怖かった。
これからこの玄関がどの様に変って行くのだろう。 とても楽しみだ。
