本日の休み時間


先輩の先生のクラスの子を、
その先生の目の前で叱りました。



教員生活10年目にして、初です。
先輩の先生のクラスの子を
ご本人の目の前で叱ったのは。




年功序列の風潮が強い教師の世界。
その上、プライドが高い先生方が多いので、
他の先生が指導していらっしゃる所で、
横やりを入れるような児童の指導はあまりしません。
年下が先輩の先生に対してするなんて、
もってのほかです。





でも、今日はその子が許せなかった。
いや、許してはいけないと思ったのです。


もともと気分にむらがある子で、
気に入らないことがあると担任を蹴る、暴言を吐く、
友達に危害を加える。
(ちなみに小学校1年生。)
担任の先生は手に負えず、
職員室に救援を頼む。

で、職員室で何してるかと言うと、
段ボールで好きな工作をし、
散らかし放題散らかして、
片付けない。

休み時間、
担任の先生が、
「○○くん、片付けるんですよ。」
と言っても、片付けない。
事務職さんが、
「○○くん、片付けます。」
と言うと、
「お前のかーちゃんデーべそ。」
と言って、大人をからかう発言。

その様子を向かい側で見ていた私は、
思わずその子をにらみつけた。
事務職さんが、
「ほら、そんなこと言うと、他の先生が怒るよ。」
と言ったので、私がすかさず、

「大人に向かってそういうことは言いません!」

きっぱり言った。

すると、その子は掃除をしないで職員室から飛び出そうとした。
出入り口近くにいた私は、腕を掴んで引き留めた。

「掃除をします。」
強めの口調で私が言った。
職員室に異様な空気が流れた。
当然だ。
その時職員室にいた8人の中で、
一番年下の私が、
その子の指導を担任の目の前で始めてしまったのだから。
先輩の先生方の視線が集まっているのがわかった。

それでもその子は、
やろうとしない。

「掃除をします。」

目を合わせて私が言うと、
彼はへらへら笑いながら私を蹴飛ばしてきた。

完全に大人をおちょくっている。
もともと発達障害の傾向がある子だが、
ここはただのわがままであり、
先生たちに対して挑戦状をたたきつけている状態である。


絶対引いてなるものか。
去年、この状態をあっくんに許したがために、
職員室が遊び場ではないこと、
やるべきことはやること、
先生の指示に従うこと、という基本を身につけさせるのに、
どれだけ今年苦労したことか。
なのに他の先生方が、この状況で厳しく指導しないことは
彼にとってよくない状況である。

彼の体を押さえつけ、
しっかり目を合わせ、
怒鳴らないけど、低い声で、彼に言った。

「大人を蹴ることはしません。」

へらへら笑いながら
また蹴ってきた。
でも、目はしっかり合っている。
と言うことは、パニックではない。
この子は大人の出方を見極めている。


「大人を蹴ることはしません。」

少々体を押さえつける力を強くしながら、
目をあわせ、繰り返し、怒鳴らず、力強く言う。

「大人を蹴ることはしません。」

笑わずに彼が蹴り返してきた。
目は逸らさずにこちらを見ている。
間違いない。大人を試している。

もう一度言った。
「大人を蹴ることはしません。」

蹴る足が止まった。

「よし。おりこう。蹴らなくなった。
 掃除をします。」

そう言って、ほうきを持たせた。
きちんとはかない。

「ほうきは、こうやって使います。」
一緒にほうきを持ってはく。

いやいやながらもちりとりにゴミを入れた。

担任の先生が、
「マジックを片付けます。」
と言うと、素直に片付けに行った。

「きちんと掃除できておりこうです。
 休み時間にしていいですよ。」
力強く褒めてやった。

その後、トイレに行った私の体は、ガクガク震えていた。

先輩の先生には、
出すぎた指導をしたことを詫びた。
先輩の先生は、2度も礼を言いにきてくれた。

ちなみに
この後、彼は教室の全員の机に落書きをしたらしい。

おそらく、指導されたことが納得いかなかったのだろう。


彼が机に落書きをしてしまう行動を引き起こしてしまったのは、
よい指導ではなかったと思う。


でも、職員室が遊び場ではないこと、
大人をからかってはいけないことは、
きちんと叱って教えるべきことだと思う。

叱って指導することで、
大きな2次的障害が出てきてしまうとよくないが、
やはり叱るべきことは、きちんと叱るべきではないかと思う。
発達障害の子であっても、
してはいけないことはきちんと叱り、やるべきことを教え、褒めなければならない。
いや、発達障害の子だからこそ、
メリハリをつけて、してはいけないことは、繰り返し、伝えて行かなければならない。
たとえ相手が泣いたとしても。
「光とともに」の青木先生が、
入学したばかりの光君が毎日泣いても、
やるべきことを教え続けたように。



ペタしてね