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皆様、こんにちは。売れプロ12期生 中小企業診断士の尾崎友和です。
前回(1月30日発信)のブログで、部下育成には「経験軸」と「ピープル軸」の要素が重要であることをお伝えさせていただきましたが、今回は、それと密接な関係を持つ「部下へのフィードバック」について述べさせていただきます。
1.部下育成の基礎理論
まずは、前回内容の振り返りです。部下育成の基礎理論として、「経験軸」と「ピープル軸」の2つが重要であり、「経験軸」では、以下の3つの経験のうち、②の「ストレッチゾーンの経験」を与えると成長に繋がっていくとのことです。
①「コンフォートゾーンの経験」:現在の能力でできる経験
②「ストレッチゾーンの経験」:ちょっと無理をすれば何とかこなせる経験
③「パニックゾーンの経験」:難度が高すぎて強い不安やプレッシャーを感じる経験
次に「ピープル軸」については、職場の中で「人と人との関わりの量」や「人間関係の質」が良ければ良いほど、人は様々な気づきを得て成長するきっかけを持つということです。職場で人が育つためには、次の3つの支援が必要です。
①「業務支援」:いわゆるOJTの項目、教える、助言すること
②「内省支援」:振り返りを促してあげること、客観的な意見を言って、気づかせる
③「精神支援」:励まし、褒めること、感情のケアをすること
2.「フィードバック」とは
フィードバックに関する定義は、学問分野ごとに様々あるようですが、一般的には「ある人の課題のパフォーマンスに関する情報を与えることをめざして、外的エージェントによってなされる行動・働きかけ・情報通知」を指します。立教大学・中原淳教授によりますと、次の2つの要素から構成されるものとのことです。
① 【情報通知】
たとえ耳の痛いことであっても、部下のパフォーマンス等に対して情報や結果をちゃんと通知すること
(現状を把握し、向き合うことの支援)
②【立て直し】
部下が自己のパフォーマンス等を認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画を立てる支援を行うこと
(振り返りと、アクションプランづくりの支援)
3.「部下育成の基礎理論」と「フィードバック」との関係
上記の2つの要素が、部下育成の基礎理論である「経験軸」、「ピープル軸」とどのような関係にあるのでしょうか。
3-①.「経験軸」
まず「経験軸」から見ていきます。人は難度の高いストレッチの仕事に取り組んでいるときは、その困難度やハードルの高さゆえに、何がうまくいって、何がうまくいかなかったのか、また、現在、自分がどのような状況にいるのか「不可視」になりがちだそうです。仕事に追われ、困難さにたじろいでいる間に、試行錯誤の迷路に迷い込み、自分の立ち位置が分からなくなってしまうようです。したがって、挑戦し試行錯誤している部下には、自分がどのような状況にあるのかに関する客観的な情報が必要になります。
ここで必要になるのが、「フィードバック」の構成要素のうち、【情報通知】です。部下の行動やパフォーマンスに関する情報を客観的に伝え、部下が現実と向き合うための支援を行います。
3-②.「ピープル軸」
次に「ピープル軸」のほうを見てみます。まず、【情報通知】については、部下に現状を伝え、めざすべきゴールを意識化させる働きが行われます。多くの場合、上司から情報を提示しているので、「業務支援」に近いものです。
一方、【立て直し】については、部下が自己のパフォーマンス等を認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画をたてる支援が行われますが、これは「ピープル軸」における「内省支援」と近いです。また、部下が今後の行動計画をたてる際には、それらを承認し、自己効力感を高めてあげる必要があります。その意味では、「精神支援」を含む概念にもなります。
このようにフィードバックは、部下育成の基礎理論である「経験軸」と「ピープル軸」と密接な関係を持っている部下育成法ということです。
4.フィードバック方法
では、部下のパフォーマンス向上につながるようなフィードバックを行うには、どのようにすればよいのでしょうか。以下に手順を示します。そのポイントは、事前の「情報収集」と事後の「フォローアップ」にあるとのことです。
【事前】:情報収集
【フィードバック】
①信頼感の確保
②事実通知
③問題行動の腹落とし
④振り返り支援
⑤期待通知
【事後】:フォローアップ
まずは、【事前】として、部下の行動を観察することで、情報を収集していくことが求められます。
続いて、【フィードバック】では、相手に対してリスペクトをもって接し、①「信頼感を確保」することが非常に重要とのことです。さらには、②「事実通知」として、客観的事実をしっかりと伝え、対話を通じて現状と目標のギャップを意識化させることにより、③「問題行動を腹落ち」させ、④「振り返り支援」を行います。最後に⑤「期待通知」を行って自己効力感を高め、コミットをさせます。
そして、1回のフィードバックだけでは部下は忘れてしまうので、【フォローアップ】として、再度面談を行い、繰り返しフィードバックしていくことが重要とのことです。
部下を変えるためには、このように手間暇をかけ、かつ、あの手この手を尽くす必要があるようです。できる限りあきらめず、部下の変化や成長を信じてあげることこそが重要だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考図書】
「フィードバック入門」中原淳著(PHPビジネス新書)
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