身近な企業経営を知るきっかけとしての、レシートの活用 | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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皆さん、こんにちは。
売れプロ12期生の長尾俊彦です。

中小企業診断士として活動する上で、世の中の企業がどんな事業をどんな形で展開しているのか、アンテナを張っておきたいものです。メディアやネットを通じて知ることもできますが、より身近な企業の事業活動を知るための一つの方法として、レシートを起点にした情報収集についてお話ししたいと思います。


インボイス制度で、お店をどの企業が経営しているかわかるようになった

2023年10月からインボイス制度がスタートしました。
街中のお店で受け取るレシートにも、事業者の登録番号が記載されていることにお気づきでしょうか?店舗によっては、事業者名もあわせて記載されています。

この登録番号、例えばフランチャイズ店舗の場合はフランチャイジー、つまり実際に店舗を経営する事業者の番号が記載されています。私たちに馴染みのある世の中の小売店や飲食店などは、実際にどの企業が経営しているのか、外から見ただけではわかりにくいことが多いですが、国税庁のサイトで登録番号を入力すると、事業者名と所在地が表示されます。そのため、レシートに事業者名の記載がなくても、どの企業が経営しているのかわかるようになりました。もしフランチャイザーの名称になっていたら、直営であることもわかります。

 


レシートがきっかけで知った、バス会社の多角化の方向性

先日、都内の小田急線の駅に併設されているドトールコーヒーを利用したのですが、レシートに登録番号と並んで記載されていた事業者名が、小田急電鉄の持分法適用のバス会社である、神奈川中央交通(以下、「神奈中」)になっていることに気づきました。

通常、バス会社の経営多角化というと、観光、車内広告、不動産などが主流で、それ以外には、待ち時間に利用できる施設の運営や、営業エリア内での購買促進を目指した事業展開が一般的です。しかし、その駅を発着する神奈中バスはなく、バス会社の施設が併設されているわけでもありません。グループ会社の駅とはいえ、バス会社としてはシナジーが見込みにくい場所で、なぜコーヒーショップを経営しているのか不思議に感じました。

そこでホームページ等で調べてみると、神奈中ではグループ会社を通じて、30年近く前から幅広くフランチャイズ事業を展開し、他にもラーメン、そば、うどん、アイスクリーム、ドーナツなどをフランチャイジーとして経営していることがわかりました。つまり、長年に渡って店舗経営のノウハウを蓄積してきていることがうかがえます。

神奈中は東証プライム市場の上場企業のため、決算資料が公表されています。
2023年3月期の決算説明資料を読むと、主業である「一般旅客自動車運送事業」の営業利益が6億3,300万円なのに対し、飲食・娯楽が含まれる「その他の事業」の営業利益は6億8,400万円と、すでに主業を超える規模になっています。飲食・娯楽についても前期比で増益となっており、その要因として、「『ドトールコーヒーショップ』の新規開店や営業の譲受などにより増収増益」という説明があります。

ビジネスモデル自体に目新しさはありませんが、バス会社で同様にフランチャイズを積極的に展開しているのは、他に関西の1社くらいしかないこともわかりました。このことから、すでに1つの強みになっており、関連事業というよりも主業に近い形で、バスの営業エリア外にも展開しているのではないかと推察されます。ドトールコーヒーだけで複数店舗経営しており、今後も増える可能性もあります。バス会社は地域密着のイメージが強いですが、全国的にバス路線が縮小傾向にある中、こうしたエリアを跨いだ「越境」の例が、この先増えてくるのかもしれません。



自ら情報を取りに行く起点として、レシートを活用してみる

この事例以外にも、近隣のコンビニでもらったレシートをもとに登録番号で調べてみると、大正時代に創業して、燃料や化成品を扱っている企業がコンビニを複数店舗経営していたり、私鉄系のスーパーがオーナーだったりと、多彩な企業がフランチャイズ参画しているのを知ることができます。各社のホームページ等から沿革を見てみると、どういった経緯や戦略でそこに店舗を構えているのかなども大まかに掴むことができます。普段、私たちが目にしているのは、セブン-イレブンやローソン、ファミリーマートなど、フランチャイザーのブランド名だけですが、実際の店舗は膨大な数の企業に支えられているという事実にも、改めて気付かされます。

フランチャイズではありませんが、先日家族と行った出雲大社の門前にある土産物屋さんについて、レシートから事業者名を調べて、その企業のホームページで沿革を見てみたところ、古くは大正天皇や昭和天皇への献上品を製作するなど、100年以上続く老舗企業であることがわかりました。店頭の雰囲気や、ポップなホームページのデザインから受ける印象からは想像もつきませんでしたが、時代に合わせて変化している点にも、長く続く秘訣があるのかもしれないと、思いを巡らせました。



馴染みのある店舗から企業経営に触れるきっかけに

上記のような内容は、もともと当該企業に関心や関係がある人は、よくご存知のことでしょう。しかし、何気なく利用している場合には、そうした背景があることに気づいていないことも多いと思います。レシートをきっかけに自ら情報を取りに行くことで、これまで気づいていなかった企業の一面を知ることができたり、全く接点がなかった企業を知る機会にもなります。

自分が利用した馴染みのある店舗であれば、より身近に感じながら、理解を深めることができるでしょう。あくまでも一つの方法ではありますが、こういったアプローチで関心を広げてみるのも、企業経営を考える良い機会になるのではないでしょうか。

 

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