個人飲食店のヒアリング・分析方法 | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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こんにちは、売れプロ11期生の緑川春樹です。

 

先日の「売れプロ」ブログでは、水野泰広さんが横浜・野毛のせんべろの魅力やその背景を存分にお伝えされていました。

私も「大変お酒が好き!」と言いますか、、、健康を多少犠牲にしても人生になくてはならないもの食と酒です。

 

最近、そんな私が大好きな個人飲食店の支援の仕事が増えてきたので、

今日は、ヒアリング・分析方法などついて以下の切り口で考察していきます。

 

※以下は私見であり、「売れプロ」の講座とは関係ありません。

 

1.立地:駅前、郊外、繁華街、住宅地、同業態競合

2.  商圏:徒歩圏内、自転車圏内、自動車圏内

3.店外(ファサード):看板、外装、入口

4.店内:面積・席数、厨房・客席比率、内装

5.顧客:客層、客数、客単価、客回転率

6.従業員:役割分担と人数、オペレーション、接客、提案力

7.メニュー:フード、ドリンク、看板メニュー

8.プロモーション:SNS、口コミサイト

9.財務指標:原価率、FⅬ比率

 

1.立地

当たり前のことですが、「立地7割」といわれるほど、飲食店の売り上げには立地条件が重要です。料理の味や接客レベルなどはいくらでも改善可能ですが、立地に関しては、一度出店してしまうと簡単に場所を変えることはできません。したがって、私の場合は、駅前、郊外、繁華街、住宅地などを判断し、客層競合との差別化を考察する際の参考にしています。

 

2.商圏

一般的な商圏の目安は以下の通りといわれています。

通常の個人飲食店の商圏だと徒歩で15分以内 350~500m以内

高評価な個人飲食店の商圏だと自転車で15分以内 3~4km以内

大人気の個人飲食店の商圏だと自動車で30分以内 15km以内

しかし、都市部や地方、交通網、また野毛などのように人気のある特定の地域性によって立地条件は異なります。

私の場合は、情報がとれている常連客のロイヤルティーの参考にする程度にしています。

 

3.店外(ファサード)

貸しビルの2階以上や地下店舗では看板、1階間口店舗や単独店舗の場合は、店舗正面のファサードが特に重要だと考えます。

建物の正面や外観を表す「ファサード」は、店舗で最も人の目に触れる部分で、特にリアルな、非計画的に店選びするときの決め手になると考えます。また、ネットやSNSなどで情報がない中で店内が見えないのは、入店するのに不安を与えます。そういう場合は、入口(エントランス)のオープン度合が重要になるので、私もチェックポイントにしています。

 

4.店内

飲食業でも、坪(面積)当たりの売り上げをどのように上げるか、ということに話の比重が置かれます。私の場合も、テーブル席数、座敷席数、カウンター席数(私の場合は一人飲みするので特に気にします)から、最大集客数を確認します。また、たくさんのお客さまを入れたいために厨房を極端に狭くすると、調理場のオペレーションが煩雑になり客席回転率が悪くなるという因果関係もあります。面積・ 客席・人数のバランスが重要なため、厨房・客席比率、1坪あたり客席数の目安も参考になります。

<厨房・客席比率の目安>

・レストラン=厨房40%:客席60%

・単品勝負店=厨房30%:客席70%

・ドリンク中心=厨房20%:客席80%

<1坪あたり客席数の目安>

・高級店=1.0席/坪

・ゆったりめ=1.5席/坪

・標準平均=2.0席/坪

・回転重視=2.5席/坪

 

5.顧客

立地商圏に加え、営業日時ごとの客層が大変重要と考えます。営業日時平日昼、平日夜、土日昼、土日夜で、ビジネス層なのか、ファミリー層なのか?といったように、客層がかなり変容します。私の支援先も、全客層に対してメニューやプロモーションが全て対応しているとはいえず、平日昼、平日夜、土日昼、土日夜のいずれかで集客や単価に課題を必ず抱えており、店舗の強みや弱みはっきりと表れていると思います。

 

6.従業員

個人飲食店は、家族経営が多く、オーナー一族以外は全てアルバイト等の構成で運営されているケースが目立ち、明確な職位、役割分担指示命令系統も、流れや慣れで形づくられていることが多いです。そのため、役割分担や指示命令系統が整備されている円滑なオペレーションは、客回転率の向上などにもつながり、客数を多く稼げます。また、接客力が高ければリピートにもつながり、

「この食事にはこのお酒には合います」といった提案力が高ければ、客単価の向上も見込めます。ただし、私の場合、店内でのオペレーションの調理、配膳、接客・会計が適正に機能しているかは、の問題もあるため、ヒアリングではなかなか把握できず、実際に稼働している現場を観察するしかないと考えます。

 

7.メニュー

当たり前の話ですが、メニューは、飲食店のコアバリューであり、、、といいますか、命そのものです。フード、ドリンクなどメニュー数については、バリエーションが多いほど満足や楽しみも大きいものの、過剰にメニュー数を増やすと、食材やお酒などの在庫リスクや廃棄リスクが増え、財務状態も悪化します。そのため、人気の看板メニューが必要で、調理技術や食材のこだわりから生まれる美味しさ、創作性、差別化など、料理人の技術にも依るところになり重要です。しかし、味やメニューは、そのお店の命、極言すれば全てともいえるので、 信頼関係が醸成されていない状態で支援先の味やメニューを課題として評論するのは避けたいところです。

 

8.プロモーション

個人飲食店の支援テーマで一番多いのが、SNS対策です。せっかく美味しいものを提供しているのに、ホームぺージの写真や紹介がパッとしないことが多いです。店舗集客コンサルタントの小屋真伍さんによる「SNSをキッカケに飲食店に行ったことがあるか 311人に消費者アンケート(2020年)」では、Instagram66.88%、Twitter19.94%、Facebook9.65%との結果が出ており、料理の盛り付け方などの写真が❝映える❞ことをきっかけに、「食べログ」などの口コミサイトの検索・評価し来店。このようなSNS時代の購買プロセス「ULSSAS」が起こっています。ある政府系金融機関では、個人飲食店向けにメニュー料理の映える写真の撮り方ガイドを公開しており、大変参考になるので、私もSNS対策をテーマにしている飲食店に紹介しています。

 

9.財務指標

決算書を確認させていただくことが多いので、確認する指標は、原価率、FⅬ比率を参考に確認します。

<原価率>

平均的な飲食業の原価率は30%前後(原価≒材料費の場合)といわれ、ラーメンやビールがこれぐらいにあたります。ちなみに原価率20%以下で、「ドル箱商材」になるのがハイボールやサワー、餃子です。

<FL比率>

さらに原価に人件費を加えたFL比率は、FLコスト(FOOD:材料費+LABOR:人件費)÷ 売上高であり、60%以下を目指すことが好ましいようです。FL比率は従業員が絡んだオペレーション力・サービス力も包含するので、飲食業の適正な費用割合をつかむ「基本的」な指標となっています。ただし、飲食店といっても、さらに業態が細分化されるため、業種別審査事典などの小分類で原価率、FⅬ比率といった財務諸表を参考にします。

 

私は飲食業の経験はないものの、お酒に関わる業務経験や資格があるため、公的機関からいただいた支援案件に取り組んでいます。今後も飲食店の支援の知識・経験を研鑽し、分析ツールをブラッシュアップしていきたいと思っています。


長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。今回で売れプロ11期生として最後のブログ掲載となります。青木先生、事務局の先生方、売れプロ11期の皆様、そして「売れプロ」ブログを愛読されている皆様! 執筆の機会をいただきありがとうございました。

 

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