動物園とパンダ | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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皆様こんにちは!
中小企業診断士の増澤祐子(ますざわ ゆうこ)です。
最近は、なんと今後のセミナー登壇のお話をいくつかいただくことができました。
全部、売れプロでプレゼンや構成などをご指導いただいているおかげです!

人前で話すのは苦手だけど興味がある、、、そんな方は(診断士でなくても)、

ぜひ売れプロの門を叩いてください。
また、売れプロでは、話し方に限らず、立ち居振る舞いやプロの世界でのビジネスマナーなど、
診断士業務以外でも広く役立つ学びを青木先生が沢山教えてくださいます。

私は、診断士1年目に売れプロを選び、目線を上げていただけていることは、非常に幸運だと思っています。

さて、私ごとですが、最近パンダにはまっています。
子パンダががアスレチックで遊ぶ動画を見るのがたまらなく好きなのですが、
落ちても何事もなかったようにまた昇っていく姿が可愛く面白いのです!
パンダは身体がとても柔らかく、アスレチックで驚くような落ち方をしても全然平気だそうです。
軟体動物のようにごろーんと寝ている姿も魅力です。


そこで動物園に行きたくなり、先日、横浜動物園ズーラシアに行ってきました。
ズーラシアにパンダはいませんが、「こんな動物いたんだ」というマニアックな動物が沢山いて、
それぞれの動物が広いスペースでのんびりしていて、とても良い動物園だと思いました。


そんなことを考えながら、今日は動物園のお話です!


1.動物園の運営母体


動物園には公営と私営があります。

動物園の民間参入率は2割とのことで、8割は公営になっています。

いったんここで東京都(公営)の動物園を見てみると、
都立動物園の管理母体は、建設局が所管局である「公益財団法人東京動物園協会」です。
こちら、常勤職員が342人ほどの組織になっています(2020年8月時点)。

東京動物園協会は、上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園の4施設の運営を担っており、各園単体の収支は明らかにされていません。
これらの4園に対し、「東京都」は入園料収入を得ます(獣舎の建設などは負担)が、
運営自体は、動物園協会に運営委託料(「指定管理料」)を支払い、任せているそうです。
そこで、動物園協会の財務状況を見ていきたいと思います。


2.動物園協会の財政状況

令和1年の4園合計の経常収益は、91億6427万円です。
経常収支の推移についてみてみましょう。

 

 

H29、H30と伸びていましたが、R1で8%ほど下がってしまいました。

 

内訳を見てみましょう。

経常収益の内訳は、都からの「指定管理料」が約66%、「売店・飲食店などの事業収益」が約33%と、

その2つがほとんどを占めています。

まずは、経常収益の6割以上を占める、指定管理料の推移です。

 


 

こちらは徐々に増えていますね。

動物園で新規施設がオープンするなど規模が大きくなるにつれて、東京動物園協会が東京都からもらえる「指定管理料」は増えるのです。

ここで注意すべきは、こちらは「指定管理料」なのであくまで動物園の運営管理をしていることに対する収入です。

実際にこの動物園の入園者が増えたかなどとは直接の関係はありません。

指定管理料は増えているのに経常収益が減っていることから、経常収益が減った理由は、「売店・飲食店等の運営事業」にあると分かります。

 

では、「売店・飲食店等の運営事業」を、そちらに直結する「入園者数」と合わせて見てみましょう。



この、売店・飲食店等の運営事業、および入園数ですが、H29、H30で大幅に伸びましたね。

実は、これは、上野動物園の子パンダの公開の影響なのです!!
「客寄せパンダ」とはよく言ったもので、実際にパンダが入園者数ならびに売上を大きく左右している様子が伺えます。
なお、令和1年度は新型コロナウィルスによる休園や入場制限などにより、大きく売上を落としています。

なお、上のグラフは直近のものですが、長期的な入園者数は、少子化やレ ジャーの多様化の影響により漸減傾向にあります。

ここで、動物園の財政状態が気になります。

令和1年の、「東京都動物園協会」の経常費用は93億2312万円です。

経常収益は91億6427万円でしたので若干の赤字です。

しかし、こちらは、公益目的事業のため全く問題ありません。(※)

※公益目的事業は、簡単に言うと中長期的に見て収入をすべて目的事業に使われなければならない、つまりは費用を超える収益を得てはならないという「収支相償規定」があります。

 

しかし、視点を「東京都」に移してみましょう。「都」が得られるのは、入園料です。

「都」の視点では、今まで見てきたように「動物園協会」に支払う「指定管理料」は年々増え、

コロナにより入園料も激減している、という何とも辛い状況と言えます。


3.動物園の経営難
 

コロナだけでなく、餌代の高騰や人件費の高止まりなども動物園の経営に影響を与えています。

全国に目を向けると、2020年4月、以下の動物園が一般入園料の値上げをしました。

 

・旭山動物園(旭川市) 820円⇒1000円に値上げ
・円山動物園(札幌市) 600円⇒800円に値上げ

 

もともと、日本の動物園の入園料は国際標準と比較すると非常に低価格設定になっています。

さらに公営の動物園の場合、入園料値上げのためには議会の承認を取る必要があり、

なかなか料金改定も行われにくいのですが、

2園同時の値上げは外部環境の変化を表しているように思います。

 

また、公営の動物園については、動物園自身の収支だけが問題ではありません。

2021年4月に、京都市動物園が「京都市の財政難」を理由に餌代のコストカットをするというニュースがありました。

市があらゆる場面の経費削減を検討する中で市営の動物園も例外ではなく、

市からの節約要請を受け、餌の種類を変更したり、農家や店舗に規格外野菜などの寄付を呼び掛けているとのことでした。

 

このように見てきて、今までただ楽しみに行っていた動物園に対しても、色々な見方ができることに気づきました。

私たちユーザーにとって、安くて楽しいというのは最高ではありますが、

個人的には、多少値上げをしても、公益事業として、魅力ある動物園に継続的に運営を続けてもらいたいと思います。

また、動物園が魅力を高め、集客により十分な収入を得たり、原価の見直しをしたりなど、

中小企業診断士のスキルで、一般企業と同じようにサポートできる可能性もきっとあるように感じました。
 

そんなことを、子パンダの動画に癒されながら思っていました。

御覧いただき有難うございました!!