沈黙と、残照と。

風も無く 波も無く
穏やかな 五月の夕べは 一枚の静止画
背景の空ばかりは 鮮やかに 色を 増して
沈黙のうちに 暮れてゆく
刻々と移ろう 空を眺めていると
不思議と 懐かしい言葉や 歌や 失われた感情が 蘇るような・・・

愛ってのはころがってるのね
キッチンなんかにね
玉ねぎ刻んでて涙が出ると
思い出すわ
悲しみの理由は
いつもいつも愛だったって
生まれ変わったら鯨になりたい
海の中で歌って暮らすの
言葉は知らないの
でも歌はあるの
鯨の心は人間よりずっと大きいから
歌もいつまでも続くの
そうなんだよ
絵になる一瞬が大事なのさ
私そのために生きてる
だから私の写真一枚だけとっておいて
そいで思い出さずに空想して
私の一生を
わざわざ迷子になりに行くの
巨大迷路に
ここがどこか今がいつか
分かりすぎるんだもん
それなのに不意に分からなくなる
地球儀なんか見てると
嘘つくのって好きよ
まだ知らないほんとのことを
知ってるような気になれるから
でもほんとのほんとは
一瞬で過ぎ去る
いい匂いみたいに
( 谷川俊太郎 「真っ白でいるよりも」抜粋 )

暮れなずむ空の色にも 過ぎ去る一瞬があって
ほんとのほんとが あるのでしょう
また 出会いたくて 私は 空を眺めるのでしょう
「 Video Games 」 Lana Del Rey