淋しい猫

古い 港町で 見掛けた 猫
どこからか いつの間にか 現れて
私と 彼女の 間に 腰を 落ち着けた
足を 引き摺りながら
しっぽも ちぎれそう
毛も 薄汚れて・・・
それでも 「淋しい猫」 なんて 形容を
拒絶するような 猫らしい 気ぐらいを 感じさせて
なんだか 見透かされているようだ
港町の 生活は 思うよりも 居心地がいい
そんな風に 語っているような うしろ姿
餌も欲しいのだろうが 一定の距離から 近寄ることも無い
老いた 猫の たくましき 生き様を 想った
・・・・・・
夏が 来ると 芙蓉の花が 咲きます
今日 車窓から 道端に咲く 木槿の花を 見ました
この花が 咲くと 芙蓉も もう すぐでしょう
美人に 喩えられる やわらかな 花びらが 夏に 揺れる
古いコートの衿たてて/24の春生きる術なく/どこかあの花に似ています
24の春も 遠く なんて 言えないほど 遠く
相変わらず 術も無く 迎える
暑き 暑き 夏・・・
確かに 風鈴の音が していますネ
「淋しい猫」 森田 童子