極楽寺坂
星月夜の井 鎌倉十井のひとつ
昼食に 出掛けて
お天気も良くて
多少 時間もあって
そのまま 鎌倉へ 足を向けた
長谷寺 大仏の 混雑を避けて
ひとつ お隣の 極楽寺へ
江ノ電 ならば トンネルを 抜けて
くり貫かれた 狭い溝のような 鉄路も 駅も
湿潤なる 緑に 覆われている
五月の 風が 背の高い 樹木を 揺らす
極楽寺坂 切通しを すすめば
ウグイスの 声と
土と 草の 匂い
坂を 吹き上がる 風が 心地よい
道路は 整備されて
切通しの イメージは 少ないが
道路脇の 樹木が 生い茂り
白黒 光の 斑もよう
わき道に 逸れて
古い 旧家の 造作や 庭先を 眺めるのもいい
近隣には
極楽寺に 成就院
なんだか めでたそうでもあり
由来 縁起など 眺めつつ
そうこうして
角を いくつか 曲がると
134号線 由比ガ浜
海は 目の前だ
海岸通りは いつもの 渋滞
海には 色とりどりの 帆が 走る
海の家が 立ち並ぶのも もう 間近だろう
賑わいと 海の波と
ひとしきり 眺めたら
ひそやかな
切通しの 坂道を 駅へと 戻る
坂道をゆく 人の 動きは スローモーションで
強い日差しと
濃い緑蔭との
その中を ゆっくりと往来
行き来して
ふと 時間が 止まったかのような
光と影
白と 黒の 儀式を 眺めていたような
少し 汗ばんだ
車輪の軋みと 葉擦れの音 のみ 連れた
穏やかな 午後のひと時 だった



