役所広司さんがカンヌ映画祭で主演男優賞に輝いた「パーフェクトデイズ」を2日連続で観に行ってしまいました。
アンジェリカ劇場はニューヨークの一筋縄では行かない映画や文学に詳しい素敵な中高年を中心にほぼ満席。
小津愛に溢れ、昨今の日本映画に変なアヤを削ぎ落としていてこ気味良い。
ヴィム・ヴェンダース作品に心酔していた世代の私にとって新作というだけで高揚した。
おまけに小津監督をも感じられる。
「平山」も小津監督の「東京物語」から。
舞台は東京なのに、そこここにヴェンダースを堪能できる幸せ。
ヴェンダース監督の最高傑作になるのではと。
後で観た監督の奥様のインタビュー動画によりますと実に伸び伸び自由に撮影していたそう。
深読みしてあーだこーだ論ずるよりも観る人の感覚と合わせることによって完成する作品だと思ういます。
「アート系映画」だなんて単純な言葉で片付けてほしく無い。
ヴェンダースがインタビューで語ったように誰の中にも平山がいる、
私の中の平山はかなり10のうち9だ(映画内のギャグ)
自分の好きな事を密かにひたすら楽しむ点において。
私の掃除の仕方も順番がある(笑)
よく空を見上げる。
久々に観た「感じる映画」。
私たちはどこに向かって生きているのか。
色んなものに踊らされ、SNSで誇示し、数字を追い、目に見えるものだけで全てを判断しようとする今に一石を投じてくれた作品。
アカデミー賞の作品賞にノミネートされなかったのがおかしいほど。
ジム・ジャームッシュ(これまた世代)の「パターソン」と対比する人もいる。
私は「パターソン」もそうだが、デヴィッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」を思い出した。
どれも実直で平凡に見える人間が主人公である。
これらはアート系映画の巨匠と呼ばれる人たちの句読点になる作品なのかもしれない。
結局、エキストラの研ナオコさんは見つけられましたが、片桐はいりさんはわからなかったなー。
スナックのママ役の石川さゆりさん、元夫が三浦友和さんも良い感じ。
今またヴェンダース監督の昔の作品と小津安二郎監督の「東京物語」も見直し中。
はあー、3回目も観に行こうかなー。
私があまりに熱弁するのでアメリカ人の友人も興味を持ってくれています^_^