私がこれまで2回以上観たミュージカルは映画を何度も観たBILLIE ELLIOT(邦題は「リトルダンサー」)です。
2回目を観たい、と思ったのは映画から大ファンだった「キンキーブーツ」。
ビリー・ポーターが主演していて魅了されました。
ビリーと言えば今やアメリカのLGBTQを代表する大エンタティナー。
2019年のWORLD PRIDEにも出演し、私もバークレーズセンターに観に行きました。
阪急百貨店のバイヤーさんをお連れしたところ「こんなに何万人もゲイの方がいるんですね」と驚愕していました(笑)
ええ、LGBTQのオリンピック、ワールドカップですもの。
ビリー・ポーターはこの年末の国民的番組、日本の「行くとし来る年」にあたるカウントダウン番組にも出演が決まっています。
もう国民的スターなのです。
「キンキー・ブーツ」の音楽をシンディー・ローパーが手掛けるということで上演間も無く行くと、当時シンディのリアリティ番組にも登場していた息子さんがいらしてお話しすることができました。
10月に観た「ハリー・ポッター〜呪いの子」も面白かったです。ハリポタファンは必見。大人になったハリポタの物語。とにかくお金のかかったお豪華な芝居です。CGのイメージの強い作品を舞台化すると言うのはすごい試みです。
元々原作を知っているミュージカルであるのが好きな作品の共通点ですね。
というわけで私はヘビーなミュージカルファンではなく、舞台評論家でもありませんがステージ構成や内容、衣装、曲のアレンジ、振り付けは気になります。
そんな中、もっと観たいと思わせてくれたミュージカルがマイケル・ジャクソンのMJ THE MUSICAL でした。
6月に発表されたトニー賞で10部門ノミネートのうち4部門の受賞。
しかも、最優秀振り付け賞、最優秀サウンド賞、最優秀照明賞、マイケル・ジャクソンを演じたマイルス・フロストが21歳という最年少で主演男優賞。
来年のグラミー賞にもノミネートされています!
音、振り付け、サウンド、主演男優、これらのミュージカルに必要なエレメントのほぼ全てで賞を獲るなんてと感心しました。
サウンドを手掛けたGARETH OWENは「もし側にマイケルがいたらどんなことを望んでくるだろうか」と言うのを念頭に置いてサウンドデザインをしたそう。それはとかく、ロックを演奏しようが「こじんまりきれいにまとまる」、ブロードウェイミュージカルにありがちな音ではなく、ライブ会場で聴いているようなサウンドを表現したそうです。
そして振り付けはCHRISTOPHER WEELDON、そしてマイケルの「ヒストリーツアー」にダンサーとして出演していたRICH & TONE兄弟。
ダンサーなら知らない人はいないカリスマな二人。
これは観るしかない!
舞台はマイケルの「デンジャラスワールドツアー」のリハーサル風景から始まります。
デンジャラスワールドツアーはマイケルが全ての収益をチャリティーに寄付したいということで大揉めに揉めながらも遂行。
マイケルの姿勢と方向性を世に知らしめた重要なツアーです。
この頃のマイケルは火傷の後遺症に苦しんでいました。
ペプシのコマーシャルの舞台で起きた火災で、マイケルの髪の毛から炎が上がり、手のひらのサイズの大火傷を頭に覆ったのです。
この後遺症は死ぬまで彼を苦しめることになりました。
もはや鎮痛剤が欠かせないものになっていったのです。
デンジャラスツアーの行方を中心に、子供の頃のジャクソン5、少年時代のマイケル、そしてデンジャラスツアーのマイケルと、マイルス君を含め、三世代のマイケルが配役されていました。
マイケルの父のジョーがマイケルに掴みかかる場面では、子供の観客が「ノー」と叫ぶ場面も。
マイケルの才能と人柄がどんどん大人たちの欲に翻弄されていく様も描かれていました。
アルバム「スリラー」まで3作をプロデュースしたクインシー・ジョーンズとの場面では Wanna be startin' somethin' がスタジオで製作されれていく創作の現場の再現に音楽ファンとして興奮しました。
ブロードウェイミュージカルですから、全ての音楽はバンドの生演奏です。
今、地球上でマイケル・ジャクソンの曲を生演奏で聴ける貴重ない場所。
しかも全部知っているマイケルの曲。そしてマイルス君の歌とダンス。
もちろんマイルス君はマイケル本人ではないので全く同じ声ではありませんが、マイケルのスピリットを十分に表現しています。
最初は斜に構えて観ていた私でしたが、もうマイケルにしか観えなくなってくるから不思議。
残念ながら「モータウンザミュージカル」ではこのマジックは起きませんでした、、。
私は、あの世のマイケルがマイルス君にこの役をやってもらうために仕向けたとしか思えません。
何故なら、マイルス君がYouTubeに投稿した高校のイベントでビリージーンを踊る動画をプロダクションのスタッフが見つけて声をかけたのです。青天の霹靂、英語でいうOUT OF BLUE何感じですかね。
マイルス君はブロードウェイはおろか、ミュージカル初体験。それがいきなり最年少のトニー賞を獲る。
マイケルがあの世から応援しているというのが、舞台全体から伝わってくるのです。(すみません、思い込みが激しくて)
間違いなく、地球上で最もマイケル・ジャクソンに近い場所がこのミュージカルだと思えるから。
このミュージカルの最後のステージの演出がビリーエリオット(リトルダンサー)と同じなのです!!!
これから観る方のスポイラーになると申し訳ないのですが、分かる方にはわかって頂けるかと(笑)
9月と11月の下旬に2回観たにもかかわらず、また観たい、いつにしようかとカレンダーを見つめる日々が続いています。
そしてブカレスト他で行われたデンジャラスワールドツアーのステージの動画を観て浸っています。
舞台中はもちろん撮影も録音も出来ませんが、アナウンスが入る前と、最後の舞台挨拶の後は何も言われません。
最近読んだ大きゆきのさんのブログの中でこんな言葉がありました。
「なりたいのか、したいのか」
マイケルは間違いなく歌とダンスを「したい」人だったのだと思います。
「有名になりたい、売れたい、金持ちになりたい」など、なりたいだけのアーティストは売れた途端に失速し、見失います。
彼のようなスーパースターは今後出てこないでしょう。
それくらい今になってマイケルの偉大さ、人間離れしたエンターティナーぶりに平伏しています。
是非、MJ THE MUSICALを一度体験してください。