宅地建物取引士 過去問
【問題12】
遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか。
① 自筆証書による遺言をする場合、証人二人以上の立ち合いが必要である。
② 自筆証書による遺言書を保管しているものが、相続の開始後、これを家庭裁判所に提出してその検認を経ることを怠り、そのままその遺言が執行された場合、その遺言書の効力は失われる。
③ 適法な遺言をした者が、その後更に適法な遺言をした場合、前の遺言のうち後の遺言と抵触する部分は、後の遺言により撤回したものとみなされる。
④ 法定相続人が配偶者Aと子Bだけである場合、Aに全財産を相続させるとの適法な遺言がなされた場合、Bは遺留分権利者とならない。
【解答】
① × 証人の立会は不要。
公正証書や秘密証書によって有効に遺言をするには、証人2人以上の立会が必要となるが、自筆証書によって遺言をする場合は、証人の立会は不要である。
② × 遺言書の効力は失われない。
検認は、後日の偽造や変造を防止して、遺言をより確実に保存するための手続きであり、遺言の効力とは何ら関係がない。したがって、検認を怠ったとしても、遺言書の効力が失われることはない。
③ 〇
前の遺言と後の遺言とが抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる。
④ × Bは遺留分権利者である。
本肢においては、配偶者Aと子Bは遺留分権利者である。本肢のように、配偶者Aに全財産を相続させるこの適法な遺言がなされたときに、Bが遺留分権利者でなくなることはない。むしろ、本肢のような遺言がなされれば、遺留分権利者である子Bの遺留分を侵害することになることから、Bは慰留分減殺請求権を行使することができる。