宅地建物取引士 過去問

【問題07】

 Aは、土地所有者Bから土地を賃借し、その土地上に建物を所有してCに賃借している。AのBに対する賃借の支払債務に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

① Cは、賃借の支払債務に関して法律上の利害関係を有しないので、Aの意思に反して、債務を弁済することはできない。

② Aが、Bの代理人と称して賃借の請求をしてきた無権限者に対し債務を弁済した場合、その者に弁済受領権限があるかのような外観があり、Aがその権限があることについて善意、かつ、無過失であるときは、その弁済が有効である。

③ Aが、当該借賃を額面とするA振出しに係る小切手(銀行振出しではないもの)をBに提供した場合、債務の本旨に従った適法な弁済の提供となる。

④ Aは、特段の理由がなくとも、借賃の支払債務の弁済に代えて、Bのために弁済の目的物を供託し、その債務を免れることができる。

 

                    デレデレ

 

 

 

                    デレデレ

 

 

 

                    デレデレ

 

【解答】

① ✖ 弁済できる。

 借地上の建物賃借人は、家主である土地賃借人が借賃の支払いを怠ると、土地賃貸借の解除により建物が収去され、建物賃借権を行使することができなくなることから、賃借を弁済することについて法律上の利害関係を有しているとされている。したがって、Cは、Aの意思に反しても、AのBに対する賃借の支払債務を弁済できる

② 

 債権の準占有者に対して善意無過失でなされた弁済、実際にはその者に弁済受領権限がなくても、有効なものとなる。外観上、弁済を受領する権限があるとみられるからである。そして、債権者の代理人と称して債権を行使する者も、債権の準占有者にあたる。債権者と称するか債権者の代理人と称するかによって、債務者の保護の必要性は異ならないからである。したがって、Aが、弁済受領権限がないことについて善意無過失で代理人と称する者に対して弁済した場合、その弁済は有効となる。なお、権限が「あることについて」善意、かつ、無過失との本試験の問題文は、不正確である。

③ ✖ 適法な弁済の提供とはいえない。

 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならないのが原則である。銀行振出の自己宛小切手などと異なって、通常の小切手の場合は、確実に支払われるといえないので、特約や慣習のない限り、弁済の提供とはならない。したがって、本肢の場合、債務の本旨に従った適法な弁済の提供とはいえない。

④ × 「特段の理由がなくとも」が誤り。

 債権者が弁済の受領を拒んだとき、また、受領することができないとき、さらに、弁済者が過失なく債権者を確知することができないときは、弁済をすることができる者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。したがって、特段の理由がなくとも、弁済の目的物を供託して、債務を免れることができるのはない。