プロ野球選手の契約書 | 中小・ベンチャー企業のための「契約」の基礎知識♢継続は力なり♢ 

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さいたま市浦和区にある行政書士事務所【中小企業支援に特化】の代表を務めている管理人【上場企業の法務部出身】が、
中小企業の経営者や法務パーソンの皆さま向けに、契約書やビジネス法務に関する基礎知識などの情報発信をしています。

ビジネス法務コーディネーターⓇの大森靖之です。

今日もアクセスいただきありがとうございます。ご縁に感謝いたします。

 

プロ野球のシーズンも大詰め。

この週末で順位も確定し、次はクライマックスシリーズです。

 

球団とプロ野球選手との契約はどうなっているか?

 

実は、「プロ野球選手会」のホームページに、

「統一契約書様式」という大半の球団と選手との契約で使われているであろう

雛形が掲載されています。

http://jpbpa.net/system/contract.html

 

読み込んでみると、プロ野球という「特殊な世界」が垣間見れて

結構面白いです。

 

>第2条 (目的)

>選手がプロフェッショナル野球選手として特殊技能による稼働を球団のために行なう
>ことを、本契約の目的として球団は契約を申し込み、選手はこの申し込みを承諾する。

確かに「特殊技能」

>第8条 (用具)

>野球試合およびトレーニングに要する野球用具のうち、

>球団はボールを負担し、また常に2種類のユニホーム(ジャンパーを含み靴を除く)を

>選手に貸与する。選手はその他の必要なすべての用具を自弁する。

ボールは球団負担。ユニホームは「貸与」。その他は自腹のようです。

以前に、プロ野球のユニホームのクリーニングのドキュメント番組を見たことがあるのですが、

試合終了から翌日の練習開始までに間に合わせないといけないらしく、

すごい重労働で大変そうでした。しかも泥だらけですからね。

>第21条 (契約の譲渡)

>選手は球団が選手契約による球団の権利義務譲渡のため、

>日本プロフェッショナル野球協約に従い本契約を参稼期間中および契約保留期間中、

>日本プロフェッショナル野球組織に属するいずれかの球団へ譲渡できることを承諾する。

契約書の専門的な話でいえば、この部分が特殊かもしれませんね。

 

通常の契約ではほぼ「譲渡禁止」となっています。

「契約期間中に当事者が変わる」とういのは、

通常の取引ではあまり想定されないことです。

 

しかし、プロ野球では、シーズン途中、トレードなど、

球団主導による移籍が行われることがあることから、

このような定めが置かれているものと思われます。

 

プロ野球はJリーグと違って、レンタル移籍がないことから、

法的には「契約譲渡」ということになるのでしょう。

 

このような「移籍」の場合の次の定めが興味深いです。

 

>第24条 (移転費)

>本契約が譲渡されたため選手が転居した場合、球団は選手にたいして移転費とし
>て200万円に消費税及び地方消費税を加算した金額を支払う。

 

移転費用200万!さすが、プロ野球となると桁が違うと思いきや、

よくよく考えて見ると、サラリーマンでも転勤であれば、

向こう数年間の住居費用は会社持ちであったりしますので、

「一時金」としてみれば大きいですが、

トータルとしてみれば妥当な線ではないかな?とも思いました。

 

この他に面白いところとしては、

契約書の署名欄に「法定代理人」の欄がしっかりとあるところ。

 

これはプロ野球選手側が「未成年者」である場合に、

その親権者等が署名押印することになることが多いと思われますが、

例えば、私が贔屓にしている東京ヤクルトスワローズの若きスラッガー、

村上選手はおそらく契約更改当日はまだ未成年者でしょうから、

ここに親の署名押印が行われるのかな?と思ったり。

 

他にも色々と面白いところはあるのですが、このくらいにしておきます。

 

一つ言えるのは、

「統一契約書様式」はかなり特殊な契約条件ですので、

これを「下敷き」にして、自社雛形にすることはやめておいた方がよいかと思います。

 

ここまで、お読みいただきありがとうございましたビックリマーク

 

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