チョコレートパフェ | 書きなぐり。

チョコレートパフェ

昨日、マキちゃんについて書いたが、その頃ある事件があった。

学校の家庭科の時間に、各班がメニューを考えてみんなでおやつを食べるという授業があった。

私とマキちゃんは同じ班で、色々考えた結果、「チョコレートパフェ」を作ろう!ということになった。

そこでひとつ問題が出た。
「グラスどうする?」

普通のコップだと全くパフェ感が出ない。
私たちは、いつもマキちゃんのお金で食べていたあのチョコレートパフェを再現したいのだ。

みんなで話し合い、私たちはみんなでいつもの喫茶店に行った。

その中でも1番元気なミキちゃんがお店の人に声をかけた。

「私たちは○○小学の五年生です。今度、家庭科の授業でチョコレートパフェを作ります。グラスを貸してもらえませんか?」

みんなで考えた案だったが、ミキちゃんがそれを伝えた時はドキドキした。知らない大人の人にこんなお願いをして、果たして聞いてくれるのか。

お店の人は少し困った顔をして、「店長に聞いてくるね」と言って厨房に消えた。

しばらくすると、店長と思われるおじさんが出てきた。「君たち、どうしたの?」

ミキちゃんがまた、授業で使いたいのでグラスを貸してほしいという。

店長はしばらく考え、「分かった。いいよ!」と言ってくれた。
私たちは嬉しくてみんな笑顔になった。

その日、グラスを割れないように紙で包んで、数人に分けて六個ぐらいのグラスを持ち帰った。

私たちの班が1番スゴいものを作れるとみんな信じてた。そうなると、実際の家庭科の時間が楽しみになってくる。みんなで「言ってよかった!」「貸してくれて嬉しいね!」と言い合った。

さて、家庭科の授業当日。

私たちは誇らしげにカバンからパフェのグラスを出した。まさにパフェのグラス。私たちはみんなに注目されるに違いない!



「コラァ!」

家庭科の先生(男)が、突然大声を出した。

「おまえら、どこからこれ持ってきたんだ!」
グラスを指して大声を出す先生。

突然のことに驚いたが、ミキちゃんが、喫茶店にお願いしに行ったこと、快く貸してくれたことを先生に説明した。

「そんなことしたらダメだろう!」
先生がまた大声を出した。

「壊したらどうするんだ!返してこい!」

私たちはみんな黙ってしまった。
他の班の人もびっくりしてみんな黙っている。

ちゃんと手順は踏んだはずだった。
お店の人にお願いして、借りたこと、何も悪いはずがないと思っていた。

しかし先生の怒りは止まらない。
「なんで先生に一言言わないんだ!」
「返してこい!」
「先生も行くからな!」

私たちはしゅんとした。
結局私たちは、その授業で、何も作らなかった。

放課後、先生と一緒に喫茶店に謝りに行った。
店長が出てきて「全然問題ないですよ!いい子たちですし!信用して貸し出しましたから!」

先生は驚くほど腰を曲げて何度も何度も謝っていた。

私たちは、間違っていたのだろうか。
今でもそのことを思い出すと、疑問符が浮かぶ。

先生は何であんなに怒ったんだろう。
私たちがまだ子供だったからなのだろうか。

みんなしょんぼりして帰ったのを思い出す。

いまだにたまに思い出す話。
そして、ちゃんと説明してくれず怒るだけの先生を、イヤだなぁと思い出すたび毎回思う。