フーゾク。取材。 | 書きなぐり。

フーゾク。取材。

ストーカーになった元カレは、私に初めて話しかけてくれた異性だった。話しかけてくれる人がこの世にいるんだと驚き、おしんのように献身的に尽くした日々。約2年。

ストーカーになったその元カレから逃げるように家を出てフーゾクの店長と付き合いながら仕事をすることになったんだけど、よく考えるとそれも、個室で優しく話しかけてくれたから好きになったようなもんだった。私を落としたかったら、優しくすればすぐだった。ちょろい女だ。

 

あと、日々お客さんと会うことで、卑屈さが少なくなっていったように思う。男の人はセックス(本番なし)を提供すれば優しくしてくれてお金もくれる。これは私の人生にとって大発見だった。

 

10代は男の人とまともに喋れなかったけど、20歳になりフーゾクのおかげで私は男の人を克服することに成功した。セックスがあれば、だけど。

 

だけど女の子と普通に喋るのが苦手だった。女の子はセックスを求めてくれない。与えても受け取ってくれない。私はどうしたらいいかわからなかった。

 

取材は定期的にあった。基本的にお店の部屋の中で編集の人とカメラマンが来て写真を撮ってくれる。

たまに、いろんな店の女の子を集めて写真を撮る取材もあった。撮影場所に行って、みんなで裸になってきゃっきゃきゃっきゃと写真を撮る。

 

雑誌に載る子は、自分が写った雑誌をチェックするがてら、他のお店の可愛い女の子をチェックする。この子かわいい〜!憧れる〜!ってことがよくある。そんで、私がその対象になることも増えていった。

 

スタジオの着替え室で声をかけられる。

「〇〇(店名)の、うらんちゃんですかぁ?」

「うん、そうだよー」

「いつも見てます!嬉しい〜!本物だぁ!」

「え!〇〇の〇〇ちゃん??わぁ〜初めて生で見た!」

 

そんな会話が着替え室で繰り広げられる。

「一緒に写メ撮ってもいいですかぁ?」なんてこともあった気がする。

「今度お店行ってもいいですか?お金払うから!」なんてのも。

 

私は女の子が苦手だったけど、私のことを認めてくれる女の子とは喋れるようになっていった。うらんちゃんうらんちゃんと言われて、まるで有名人のように(ある意味、その世界では有名人だったけど)接してくれるとき私は、引っ込み思案な自分から普通の女の子に変わることができた。

 

お客さんのおかげで男の人を克服し、他のお店の女の子のおかげで女の子とも喋れるようになった。私はフーゾクのおかげで今までできなかったことをぐんぐん吸収していった。