初めてのフランス料理の思い出 | 書きなぐり。

初めてのフランス料理の思い出

16歳の時、バイト先の蕎麦屋の部長さんが、わたしを食事に誘ってくれると言ってくださいました。

部長さんは普段は蕎麦屋には来ないのですが、たまに来て私が仕事を頑張っているのを見ていてくれたのだなと思い、私は素直に嬉しく思いました。

部長サンは、フランス料理に連れて言ってくれる、との事でした。

 

わぁ。フランス料理。

フォークとナイフが沢山並んでるやつだな。食べてみたい。楽しみだ。

 

しかし16歳の社会もろくに知らない私。レストランにきて行く服がありません。わたしは部長さんに食事に連れて行ってもらうこと、着ていく服がないことを素直に両親に話しました。

 

両親は、「あら大変。スーツでも買わないと!」と、近所のジャスコで一番安いスーツを買ってくれました。ちなみに24、5センチのデカいパンプスも買ってくれました。

 

さて、いざ食事の日。

玄関まで家族総出でお見送りをしてもらい、私は部長さんとの待ち合わせへ向かいました。

 

テーブルクロスの敷いてあるテーブルクロスので食事するのは生まれて初めてでした。フォークとナイフの使い方から、何から何まで、私は部長さんに教えてもらいながらすごく楽しく食事をすることができました。

 

デザートは、ミルフィーユでした。生まれてはじめてミルフィーユが美味しいと思った。おかわりしたいぐらい美味しかった。

 

さて、たまにしか会わない部長さんに食事に誘われた事に対して、私は何一つ悪いことを疑うこともなくノコノコと食事にについて行ったわけですが(何も不審がらなかった親もどうかと…)、その後もわたしは部長さんに誘われ、いろんな食事に連れて行ってもらいました。

 

本当にいろんな世界を教えてくれた部長さん。

今でも感謝しています。

 

でも数回めの食事の後、「10まんで処女をくれないか」と言われ、二度と会うことをやめました。

 

私は本当に世間知らずで、疑うことを知らなかった。

両親も本当にいい人で、快く食事に送り出してくれたというのに…。

 

自分が、女なんだなぁって悲しくなりました。

そんで、当時60過ぎてたと思うけど、部長サンも、男だったんだなぁ。

 

若い頃のお話でした。

 

終わり。