何気なくメルクルの公式ウェブなるものを見れば、大阪のあと来月にかけてバンクーバー、バスク、オーストリアとチェコでの音楽祭そして香港、ここに来る前も約一ヶ月余の間にヘルシンキ、オレゴン、ユタ、リヨン、ハンブルグ、エジンバラ、ヒューストン、インディアナポリスと飛び回ってこられた。引っ張りだこの人気指揮者のスケジュール。バッハ、ベートーベン、ブラームス、メンデルスゾーン、ワグナー、チャイコフスキー、サン=サーンスからリスト、プーランク、マディナ、ファリア、細川俊夫まで選曲も多岐に渡る。もちろん演奏会とは本番だけのものやないし、移動にも体力は要るので健康管理もも大変やろね。56歳にして旬の彼のしかしやや白髪が混じりはじめた頭頂部はちょっと薄くなった気がするが、その甘いマスクは健在で、なによりではある。
ま、とにかく大阪にさえ来てくれればあとはどうでもいい話でもあるオレには。
で、ミッチー井上道義との協議(ドイツもの以外でお願いしますというのが条件らしい)のうえで大阪の演目はストラヴィンスキー、ドビュッシーそしてベルリオーズになった。何の違和感もない。なぜならメルクル本人はミュンヘン生まれのドイツ人(と日本人の混血)なのに、2005年から11年までリヨンのシェフやったイメージが余にも強いせいかフランスのヒトみたいな気がしてならぬのだ。それに風貌もドイツ人よりはフランス人ぽい。まあ考えてみればストラもポーリッシュの血が流れるロシア生まれでありながら活躍した場所やココ・シャネルとの関係からフランスでのイメージが強いわけやし、どこで生まれたとか何人であるとかだけがその人のイメージを形成するわけやないしね。オレもメキシコにもフィリピンにも行ったことも関わったこともないし。
悩んだ末(ぜんぜん悩まなかったが実は)に行かなかった4大オケまつりには東京くんだりからも態々評論家先生方はじめお越しになられてとくに大フィルは絶賛されていたようで、その評を見て要らん期待もした本日の金管木管は今までどおりで妙に安心もしたわけだが(苦笑)そんな特に出だしのへなちょこも含め、今日の大フィルはまるでラテン系のオケかいなという楽天的な音をいきなり花火から響かせた。雰囲気って大事。いやオレ達側が勝手にノリノリなだけなのかも知らん。ところで花火は7発と番付にはあったが、コーダのクライマックスはあれは花火ちゃうのか。
しかし残念ながらドビュッシーはラテンというよりパリのエスプリや繊細さが要求されるが大フィルではそのラベルには到達しないなあ。ドビュッシーだけはフランスやイタリア風に演奏したらあかん。むしろ北ドイツや北欧っぽくいってほしいのですわ。まあこれもオレの勝手な言い分やけど。
ところがちょっとガチャガチャしながらも後半の大曲幻想交響曲はいい感じやねんな。これやから演奏会ちゅうのはようわからん水物やねん。細かいところは面倒くさいからいちいち再現もしませんが、終わりよければすべて良し的に纏め上げてゆく、やっぱりラテンぽいメルクルの余裕が感じられて、え、この曲こんなに良い曲やったんやって気分にさせられた。気がついたら例の標題を口ずさみながら土佐堀沿いの遊歩道を大阪市役所に向かって歩いてゆくオレがいた。あの市役所、結局月曜以降も市役所のままなんやろか(笑)
