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Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

砂漠 音楽 秘密(笑)の趣味 
Desert Life, Classical Music, Traditional Play, Motor Cycling and a bit of Model Railroading.

同時代のクルティザーヌの物語として物議を醸したとはいえ、その衝撃を、まるでイノセントな現代の観衆には理解できないだろうと言わんばかりの、いつのまにかこれが定番、ステロタイプと成り果てた相も変らぬ番付の、椿姫の社会的境遇についての解説には辟易もするが、それ以上に、なんで La Dame aux camelias が La Traviata に変わり、しかも邦題は「椿姫」のままなのか今回もはほぼまったく触れられていないことのほうが、所詮解説者の知的レベルの限界かとげんなりするのです。

初日ということでその完成度にはそれほど期待していなかったが、特にオーケストラはそんなオレの期待を大きく裏切った。背が高い以外とくに評価するところの無い佐渡裕ではあるが、この日の彼の、カーテンコールでのガッツポーズは認めよう!と思ったらなんとトリノ王立歌劇場コンマスのステファーノ・ヴァニャレッリ、そして第二V・トップには元VPOのペーター・ヴェヒターさらにトップ・VCにこれもトリノからレリア・ルキッチがそれぞれ招かれ座っている。なんやそういうことかと言えばそれだけのことかも知らんが、このたった3人のお陰で若いオケがここまで見違える否聞き違えるほどに違うものとなるとは、それはそれで衝撃的なコトなのです。
翻ってロッコ・モルテッリーティの演出はといえば、びわ湖ホールのヴェルディ・シリーズで我々に馴染みのイタロ・グラッシの手になる簡素な額縁のほかは全編にわたりビデオ画像のみでの変化という、現代的といえば現代的だが要するに予算不足の質素なもの。後期ベルディ作品の本質からは可成遠く離れてしまった。これも21世紀的ということなのか。寂しいことです。
初日Aキャストの目玉はもちろん日本の歌姫森麻季さま。とってつけたような台詞の声と、鈴のような、聞くモノの耳を欹てさせる美しいソプラノのコントラストにこの日もKOされてしまいます。彼女を拝むためだけに、この日馳せ参じたのは決してオレだけではありませんとも。
一方アルフレード役のルチアーノ・ガンチはちょっと森麻季椿姫の前では背丈が足りない。さらにその父ジェルモン役のマーク・D・ドスの浅黒い肌にも違和感を感じる。ビジュアルといえば、ヴェルディ後期作品で必ず瞠目すべき、グランド・オペラ・スタイルの踊りに使われた土人の被り物。明らかに、このスタイルそのものをカリカチュアライズしてドヤがおな演出家が舞台上に透けて見えて、気分が悪いのです。

ま、そういうわけで、帰り道すがら、オレもたまには島原の太夫様に入札してみようとも思ったが、イヌもといエンジェルが家でお待ちかねなのでそそくさと道草もせずに帰るのでありました。

7/14(火)
La Traviata(椿姫)
@兵庫県立芸文KOBELCO大ホール
佐渡裕/PAC
森麻季/ルチアーノ・ガンチ/マーク・S・ドス/谷口睦美/小貫岩夫/ジョン・ハオ他