LV のイニシャルを見て何を想像なさるでしょう。ま、ふつうの日本人ならたいていルイビトンの鞄を思うのではないでしょうか。あるいはギャンブル好きならば、ワタクシのホーム・タウンでもありますラスベガスのイニシャルやん!とお考えになるかも知れない。
しかし鉄道の世界でLVと言えばこれはもうリーハイ・バレー鉄道以外にはありません。19世紀中葉に開業した数ある東部の鉄道会社のひとつに過ぎませんが、このひとつの機関車によってモデラーには忘れられない鉄道です。
どうですこの凝った面構え、弱小鉄道ゆえのアクの強さといえばそれまでですが、いやいや、大鉄道に負けてなるものかというデザイナーの気骨が感じられます。
ザ・ジョン・ウィルキス、という18世紀英国のジャーナリスト/政治家の名を冠した急行列車専用機として流線形時代も後期の1939年、満を持して参戦してきました。
保守点検上のディスアドバンテージを既に熟知しながら、しかしそれでも顧客のビジュアルに訴えるインパクトを強く求める思いが伝わります。
しかし、実はこの模型はかなり嘘、というか伊リバロッシ社が、かなりこちらもムリをしてでっち上げた雰囲気重視のモデルなのであります。
たとえばこのボイラー上のスカイライン・ケーシングからキャブ窓にかけて、これはもうNYCの流線型ハドソンのもの以外の何モノでもありません(笑) つまり、他の製品の使えるところを極力使って雰囲気重視の製品バリエーションを普及価格で提供するというオモチャ・メーカーの思惑が見え隠れするのですが、しかしそれでも例えばこの角度(そして模型なので実はこの角度からの視点こそ重要なのです)からの魅力的な前頭部形状は悪くありません。
ま、粗を探せばこの他にもフレーム車軸の配置が実物より冗長であったり、同じくテンダーも実車はもっと小ぶりな2軸ボギーのものであったりフロント・スカートにもストライプのペイントがあったりと、きりがないのですが、でも全体のプロポーションは実車よりもおおらかな分、魅力的であったりもするのです。
そして実は実機と同じくこの本来安物の模型も一度きり、今日まで再生産されることも無く、イーベイあたりでは異様な高値がついていたりします。何故か我が社には2両、しかも同じ車番(笑)で在籍するので、そんなことなら売り払ってしまえという社員の声も近頃大きくなりつつあります・・・。
よく似たデザインの兄弟機ブラック・ダイヤモンド号については実機に正確なモデルが我社にも在籍しており、また折を見てご紹介致したいと存じます。
つづく
