【マウリツィオ】豪華三本立ての週末その1【ポリーニ】 | Savage Salvage (AKA UЯASHIMAru)

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Desert Life, Classical Music, Traditional Play, Motor Cycling and a bit of Model Railroading.

若い茶髪のおねえちゃんとかお揃いのおべべでもろ姉妹まる出しとかあるいはちょっとまだよそよそしさの残る青いおデートとか、とにかく客層が想像してたんと全然ちゃうやんけ。なんでこんな若いん?!そもそも彼等にとったらポリーニなんて加山雄三?青江美奈?みたいなもんちゃうの・・・。そこで1942年生まれの有名人を調べてみましたよ。なんと金正日もポリーニと同じはや生まれ(外国にそんなんあるんか!)他にも角川春樹、小沢一郎、山下洋輔、上岡龍太郎、横綱北の富士、ハリソン・フォード、尾上菊五郎、ポール・マッカートニー、ジミ・ヘンドリックスと、錚々たる面々ではないか!じゃなくて、けっこうおじいちゃん。オレが子供のときにおとなやったヒトばっかしやん。それが若い彼等彼女達になんでこんなに馴染みがあるんやろ。ちょっと嫉妬・・・ねちねち。まあしかし類は友を呼ぶのかオレの両隣はおじ様とおば様でございましたが♪

でも上記の名簿と比べると(勿論鬼籍のヒトは除く)実物のポリーニ、えらい今日はおじいちゃんに見えたなあ。あたりまえっちゃあたりまえやけど、さすがに平均律クラヴィーア第一巻を全曲弾き終えたら、体力消耗しまくってはったで。おかげさまでオレはこの目に彼の在りし日の姿(こらこら!)をしっかり焼き付けたけどな。

お金をけちったので非常に条件の悪い、音に関してはNG席やったんやけど、そのかわり演奏中おじいちゃんの表情や体の動きはとてもよく見え、偉そうなことを言うなら彼のバッハ観をそこに垣間見た気分。一昨年出版された同曲のCDと比べても、そういう意味で大きな違いは感じなかった。そしてそれは、はっきり聴き取れる声でポリーニじいちゃんのハミングが聴こえるからというわけでもないが、どうかすると結局だんだん一等最初のグールドに似てきたんちゃうかと。それはもしかしたら今頃ラトルあたりが必死こいてピリオド楽器で古典を演奏するのとどこかで根が繋がってる気もしてきたんやが、つまりバッハ、モーツァルト、ベートーベンあたりは、アドルノも指摘したように極めてヘーゲル的、形而上的構造を持ち、演奏者はひたすらその高みから我々のレベルに下賜される音の贈り物をその意図通りに展開するだけのミディアムに徹する、或いは言い方を変えれば、解釈を許さない。ピアノでバッハやってる時点で何ゆーてんのんって言われそうやけど、それでも今夜はそんなポリーニのバッハを聴いた気がした。そもそも特にバッハは教会音楽が中心にあるのでそんなん当たり前っちゃ当たり前やけど、そんな音楽を、まず口が再現し追って指先が鍵盤をなぞる。まぁそんな感じがしたわけやね。
誰しも歳が行けばより現実的な問題として死を意識し始めるんやけど、自らに差し迫る死との距離を絶望的に測りながらピアノは即物的に鳴らす。それを文頭に紹介したような若いおねえちゃんおにいちゃん方がおめかしして澄ました顔で聴いているっちう、なんともシュールな京の夜が更けていきました。いやあしかし急に寒なりましたなあ。冷たい風に当たってすっかり胸を悪くしてしまいましたでオレ。ぜーぜー。明日はイスラエルや~。

そういえばたぶん今夜もリバーブはかかってまへんどしたなあ。というか京都コンサートホール大ホールはピアノにはちょっときっつい残響設定かも。

10/29(金)
マウリツィオ・ポリーニ ピアノリサイタル
@京都コンサートホール
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第一巻(全曲)
(#12と#13の間に休憩)