パスネットの真骨頂なんて前回書いていますが(笑)、"今さら"書き連ねるパスネット記事の最後となります。
前回の、私鉄の連絡割引区間から接続を経て、営団・都営・東急渋谷の改札外乗換自動改札で出てくる"精算の経由印字"。これを見ていじわるな利用方法を思いつきました
では、乗継割引区間から利用し接続駅で残高不足のパスネットと新しいパスネットを自動改札機で2枚重ねて投入したらどうなるか
例1
東急~横浜接続~京急線、乗継割引区間の今は無き(桜木町→京急線(日ノ出町~子安))で試してみました。
カード右の:
残額150円のカードで東急桜木町に入場(初乗り -110円)、横浜出場。京急改札入場の際、残高40円のカードと新しいカードを2枚重ねて投入。引き継がれた、
新しいカード裏面の印字欄。
カード右 東急桜木町~(横浜接続)→京急線
カード左 横浜高速みなとみらい(MM)~(横浜接続)→京急線 (東急桜木町廃止後)
すると… このように乗継割引区間のみ利用することを想定した特殊な経由印字が出てきました。
もし京急と東急の乗継割引運賃を満たす残高220円だと1枚のカードで済むわけで、このような"経由"印字が出る条件※は、1枚目のカードが乗継割引区間接続駅までに初乗り運賃以上(東急110円(当時))~乗継割引運賃未満((東急⇔京急の当時220円未満))の残高があるカードを乗継割引区間接続駅で2枚重ねて入場した場合となります。
※1 このような『●●(駅名) 経由』 印字は、他社でも、"接続駅が改札外乗換"の場合、乗継割引区間内の"入場駅名 経由"が接続駅入場時に印字されました。例:お花茶屋 経由(牛田・京成関屋接続)など。(一部を除く)
続いて応用編。かなりややこしいですが、
例2
池袋接続 営団⇔西武 乗継割引区間の駅(茗荷谷)に初乗り運賃を満たすパスネットで入場、営団丸の内池袋で出場。西武池袋入場時に乗継割引運賃未満のパスネットと新しいパスネットを2枚重ねて入場、ここまでは例1と同じですが、西武線で下車せず練馬・小竹向原経由で池袋に戻り、新しいパスネットのみで改札外乗換した例。
営団茗荷谷→(池袋接続)→西武池袋線(乗継割引区間の東長崎を越えて)→西武練馬→小竹向原→営団有楽町線→池袋(改札外乗換)→営団丸の内線
池袋~小竹向原を西武線で利用した証となる経由印字。さらに営団の改札外乗換をしつこく利用し続けると5回目にて予測していなかった改札内乗換駅の経由印字も出てきました。この私鉄⇔地下鉄境界駅印字(小竹向原・中目黒・押上など)は3回目の乗り継ぎで出る場合もあれば、何回乗り継いでも出ない場合がありました。
応用編の最後。
例3
池袋接続 東武⇔西武 乗継割引区間の駅(西武椎名町)に初乗り運賃を満たすパスネットで入場、接続駅の西武池袋出場時も残高があり、東武池袋で西武⇔東武の乗継割引運賃を満たすパスネットで入場、ところが東武和光市からメトロ線で再び池袋に戻りメトロ(有楽町新線)池袋の改札外乗換出場時に残高不足となり、1枚目のパスネットと新しいパスネットと2枚重ねて出場、さらに2枚目でメトロ(丸の内線)池袋で入場した例。
西武椎名町→(池袋接続)→東武東上線(乗継割引区間の中板橋を越えて)→和光市→小竹向原→(メトロ有楽町線)→池袋(改札外乗換)→メトロ線
例2と違うのは、接続駅入場時に乗継割引運賃を満たす残高があるかないかの点となります。
西武(椎名町・東長崎)⇔東武(~中板橋)の乗継割引区間のみ利用することを想定するも、その中板橋を越え和光市乗換で営団有楽町線池袋出場時に、その乗継割引の記録が残っている状態で残高不足となった1枚目のカード(前引-260円)と新しいカードを2枚重ねて出場、2枚目に記録が引き継がれるも、メトロ改札外乗換池袋入場時に乗継割引区間の記録が打ち切られ、東武池袋~和光市~営団池袋(-470円(当時))の運賃に仕切り直しの前引額になっています。
カード2枚重ねて投入した際に新しいカードに引き継がれた乗車駅名は自社線内の場合は駅名が印字されましたが、他社線の場合は駅名は出ず会社名が印字されました。上記のように経路を記さなければ、どこから乗ってどこを通ってきたのか、この印字を見ただけではさっぱりです
また、この経路で出ると予想していた和光市 経由の印字は出ませんでした。
ということで、このようにパスネットが使われていた当時、様々な乗継割引区間と接続駅でどのような経由印字が出るか試してみたんですが、その結果出てきたのが以下太字の路線と駅となります。
【乗継割引設定区間の経由印字】(ウラルート調べ)
《新宿》 京王新宿・営 新宿
《西武新宿・新宿西口(都営・西武・営団丸ノ内)》新宿西口・営 新宿
《池袋》 東武池袋・西武池袋・営 池袋
《渋谷》 京王渋谷・営 渋谷
《浅草》 東武浅草・営 浅草
《町屋》 営 町屋・町屋
《高田馬場》 西武馬場・営高田馬
《京成関屋・牛田》 京成関屋(京成→東武→営団の場合は牛田経由は出ず)
《中井》 都 中井
《練馬》 都 練馬
《横浜》 東急横浜
《下北沢》 京王下北
《長津田》 東急長津
《中央林間》 東急中林
《海老名》 未調査
《湘南台》 未調査(当時小田急⇔横浜市営との乗継割引の設定があったか不明)
《小田原》 未調査
《私鉄・地下鉄境界駅(直通運転区間)》 中目黒・小竹向原・押上・泉岳寺・営代上原・営北千住
もしかしたら、経路によってこの他にも様々な駅名の経由印字が出たかもしれませんが、パスネットが使えなくなった今となっては永久に不明です。。。
この際なので、他のカードも紹介。こちらは京急が独自に導入していたルトランカードというもの。パスネットとは大きく異なり、20行までしか印字できないところ、印字面は光沢のあるアルミホイルのような質、酸化錫膜破壊方式というものらしいですが、パスネット導入当初このシステムが残っていた京急ではパスネットの使用は不可でした。
長々と書いてしまいましたが、パスネットがお金に代わる財産、有価証券として存在していたギリギリの2018年1月31日に、家に残っていた1000円×6枚分=6000円を全て払い戻してきました。
裏面に印字された2018年1月31日と処理した駅の最後の記録。これには感慨深いものがあります。。。
使い切りの磁気カードは終わってしまえばゴミとなり、それを現在は繰り返し使えるエコなICカードに変わったことを歓迎しつつも、ただピピッとタッチで処理され何も残らないところが何だか味気ないような。
この日から遡ってパスネット導入当日である2000年10月14日、東急桜新町駅の自動改札機で、ドキドキしながら投入したことがつい昨日のように思い出されますが、
ICカードに進化する過程の中で使われていた磁気カードと自動改札機の高い技術力、さらにカード裏面の印字に関して、この度パスネット払い戻し終了の機会に記録として残したいと思います。
(2018年3月1日)