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違いを生かし、味方を増やす 参院選、野党共闘の課題と希望

浦野英樹REPORT VOL.105 2016.07

違いを生かし、味方を増やす 参院選、野党共闘の課題と希望

■野党共闘による緊張感の実現
・参議院議員選挙が終わりました。今回の選挙、全ての一人区で“野党共闘”が実現し、与野党一騎打ち型の対決が増えたことが注目を浴びました。結果的に1人区では、与党21勝が野党11勝となりましたが、接戦と言われ、与党の閣僚・党幹部が多く投入された選挙区で野党側が多く勝利する結果となりました。大分県においても、約1000票差で、足立信也候補が3選を果たしましたが、野党共闘なしには勝利はなかったと言えます。今までなかった広い共闘体制により、一定の民意の力を与党に対し示し、激戦区で勝利できたことは、緊張感のある政治の実現に向け、一定の成果はあったのではないでしょうか。

■”1強多弱”は、変わらない
・しかし、全体の議席数を見れば、改選議席を減らしたのは野党側であり、退潮傾向に一定の歯止めをかけられたとはいえ、与党が圧倒的多数を占める1強多弱という現状に変化はありません。1+1を2にはできても、それ以上には広がらなかった訳でもあり、この点についてはきちんと総括すべきです。また、激戦区で勝利できたことについて、野党弟1党である民進党は、立候補を取りやめた党・候補者、調整役に回った党に対し、政策の一致以前の礼節ある対応がこれからも必要であると思います。

■違いがあるからこそ“共闘”
・共闘とは「共に闘う」のであって一緒になる訳ではありません。複数のグループが協力する中で、それぞれのグループの支持を増やしてゆかねば共闘の効果は上がりません。一致点で協力する一方で、中道右派、中道左派、左派、環境派 それぞれの政治的スタンスの違いを明確に主張する場面こそ、有権者に、選択肢を提供する上で、必要なのではないかと思います。

■味方を増やす度量と戦略
・改憲勢力“3分の2”阻止が、今回の野党共闘の目標でした。しかし、公明党は、安保法案は賛成に回りましたが、9条改憲について慎重姿勢は変わっておらず、おおさか維新も、党分裂前は安保法案に反対票を投じ、改憲についても憲法裁判所、統治機構、教育といった分野であり、9条については言及していません。十把ひとからげなレッテル貼りは敵を増やすだけではないでしょうか。野党共闘から、さらに穏健保守層にウイングを広げることも不可能ではないはず。味方を増やす度量と戦略が必要であると考えます。