雇用保険の格差是正 | 浦野英樹オフィシャルブログ Powered by Ameba

雇用保険の格差是正

アルバイトを雇用保険に加入させてなかったので、会社を辞める時点で、入社時に遡って資格取得の手続きをしたい… という相談を良く受けます。

賃金台帳等の帳簿が揃っていれば2年遡及可能で、雇用保険料が給料から引かれていれば、2年以上前の期間でも遡及でき、手続きとしてはさほど難しいものではないのですが、問題はきちんと手続きした労働者と手続きがされてないままの労働者で被保険者期間に差がついてしまう点。

失業手当受給の際、過去の「期間の長さ」により給付日数が決まってくるので、同じように働いた人でも、事業主の対応の違いで、将来、給付日数に格差が生じてしまうことがあるのです。

健康保険や厚生年金も事業主が手続きしますが、仮に事業主が「職場の社会保険」に加入させなくても、市町村での国民健康保険や国民年金第1号被保険者のように、「職場外」で加入できる仕組みがありますが、雇用保険にはありません。雇用されていても、保険料が引かれず、資格取得手続が行なわれず時間が経過すれば何も残りません。

短期雇用の労働者等、雇用保険の対象労働者は拡大されてきていますが、いくら対象を拡大したとしても、資格取得と喪失の方法が今のままでは、「雇われた事業主」によって将来の給付に差がついてしまう現象は起きてしまいます。手続がいいかげんな事業主に雇われた労働者は「運が悪い、お気の毒」としか言えないのが現状です。

雇用の形態は多様化し、パート社会保険加入枠の拡大の流れもあり、今後も雇用保険のあり方についての議論を国は進めてゆくべきですが、「手続きの方法」も事業主まかせではなく、所定の要件を満たした期間を機械的に雇用保険の被保険者期間とするようなシステムを検討してゆくべきだと思います。