異議ありっ!国民年金「運用3号適用」措置 | 浦野英樹オフィシャルブログ Powered by Ameba

異議ありっ!国民年金「運用3号適用」措置

離婚や配偶者の離職後、国民年金「第3号」から「第1号」への変更手続をせずに放置されている例が多数存在する問題で、1月より、政府は新たな救済措置を開始しました。しかし、この措置、問題があります。


■「第3号手続漏れ」問題
国民年金第3号被保険者は、一定の収入以下の会社員・公務員の配偶者で、多くは「夫が会社員の専業主婦やパートの妻」が該当します。夫が離職して会社員でなくなったり、離婚をした場合は、妻は第3号(保険料なし)→第1号(保険料あり)へ種別の変更手続を行う必要がありますが、手続が行われていないケースが数十万人~100万人程度存在することを、12月の三鷹市議会の一般質問や本レポート89号でとりあげました。手続が行われないと、未納期間が発生してしまい、年金受給に影響があります。


■「運用3号適用」措置
政府は、平成23年1月から、救済措置として新たな措置を開始しました。その内容は、

1.未手続期間について、過去2年間は保険料を徴収する。
2.過去2年間の保険料を支払えば、それ以前の「本来なら第1号」期間の保険料未納期間については第3号被保険者(保険料なし)とみなす。

上記の通りで、これが「運用3号適用」措置です。


■正直者が「2重に」損
この運用3号措置は2つの大きな不公平を抱えています。


① 運用3号に該当する人は過去2年間のみ保険料を納めればよいことになりますので、過去にまじめに手続をした人は、保険料をたくさん負担することになります。仮に10年前に離婚した場合、きちんと手続すれば10年間保険料を払い、手続してなければ2年間のみ払えばよいということになります。


② 運用3号措置は、平成23年1月以降に変更手続した人が対象になります。昨年以前に手続した人は、過去2年間は保険料納付可能ですが、それ以前の第1号期間は「未納」となります。手続が遅い人が得をする結果となります。


■解決策はある!
手続の広報ができていなかったことは、国は一定の責任があります。しかし、もっと公平な解決策はあります。年金保険料の遡及払いは原則、過去2年間ですが、無期限にすれば上記①の不公平は解消できます。もし、保険料を支払えない場合、カラ期間(年金額には反映されないが、保険料納付期間とみなされる)とすれば、納付が25年に満たず無年金という問題も解消できます。


■今すぐにでも廃止を!
第3号から第1号への変更は、離婚や離職だけでなく、第3号被保険者の収入増の場合(年収130万円超)も、該当します。きちんと手続をした人が損をするような今回の措置は年金不信をさらに増大させるだけです。厚生労働省の政務3役(大臣、副大臣、政務官)が何故このような措置を止めることができなかったのか残念でなりません。今からでも「政治主導」で、不公平を拡大する今回の措置を即刻廃止すべきだと考えます。


そもそも、年金の「申請主義」や第3号被保険者制度の不公平がこの問題の背景にあります。年金の「わかりにくさ」や「不公平」の解消は急務です。「建設的」な年金改革の議論を急ぐべきです。